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エピソード4 Story of Ruth
ルースのシェアハウスでドードーとルースが作った海苔巻きを食べている時、ある置物が目に入った。不思議な形で、アジア人の様な目の人形だ。
「ねぇ、ルース、その人形はなんだい?」とロドリゲスはルースに聞いた。
「ああ、この子が気になった?この子との出会いで私の人生が変わったのよ。ちょっと長くなるけど話を聞いてくれる?」とルースは語り始めた。
「あれは、私が11歳になったばかりだった。ある日、友達のマリーの家へ遊びに行ったの。彼女はイギリス人の父親と日本人の母親を持つミックスで、イギリス人の家にはない珍しいアジアの物が沢山あるの。そうそう、ディナーに食べた豚の角煮は絶品で忘れられないわ。
彼女の家でこの子に会ったの。
赤ちゃんみたいな顔で私をじっと見ていて‥。
本の影にあって、ちょっと不気味だった。まあ、元々、私はちょっと怖いものが昔から好きだし。
余談になるけど、小さい頃はナイトメアビフォーアクリスマスが好きで何回もあの映画を見た。今でも、ジャックと一緒に寝てるのよ。
忘れられず、家に帰ってインターネットで調べたわ。
どうやら、この子は日本と言う国で生まれた、こけしという民芸品だと分かったの。
次の日、学校でマリーに尋ねると、あれは家族でママの実家がある日本へ旅行へ行って、ついでに温泉地に泊まった際、買ったお土産だと答えたの。
学校が終わり、家に帰るとマリーがこの子を手に持って私の家で待っていたの。
「これ、あなたにあげるわ。ママに話したらプレゼントしましょうって。」
この子を手にした時、涙が出てきた。
それぐらいこの子が好きになっていたって初めて気づいた。
マリーにはこんなに素敵な子を贈ってくれて、感謝してもしきれないわ。
これがきっかけで、この子の故郷の日本を知りたい!と思ったってわけ。
マリーの家によく通ったし、彼女の母から簡単な日本語を習ったり。それから、自分なりに日本の歴史や言葉を勉強した。
私が16歳の時、父がアメリカの大学に赴任することになって。
私の父はドクターで、母はナース。
私も日本に詳しい教授がアメリカにいると言う事で家族でイギリスからアメリカへ行くことに決めたわ。
イギリスからアメリカへ来た時、私は訛りがあったし、なかなか周りと馴染めず苦労したわ。
でも、この子が側で寄り添ってくれたからなんとか乗り越えられたのよ。
その後、無事、その教授がいる大学に入学し、日本のことを勉強中ってわけ。
日本って不思議だわ。日本に行くとイギリスに帰った時と同じ気持ちになるの。ああ、帰ってきたって。
将来は日本に移住して、研究を続けたいわ。」ルースは目をキラキラさせながら話した。
「そうそう、面白いことにこの子、首を回せるの!」
手で回すとキュッキュッと音がした。
ロドリゲスは、「わっ!それは不気味だなー!」と言って笑った。