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【英語】「了解」と「Understood」

僕がモヤモヤし続けている表現。
ビジネスのやり取りで「了解しました!」と言うとき、
その英訳表現として「Understood!」が使われることです。

これの何にモヤモヤするかと言うと、
英語の「understand」は「know」などと同じように「状態」を表す動詞だからです。

つまり「understand」は「(今)理解している」
「understood」は「(以前)理解していた」となるはずなのです。

「分かりました!」の持つような、
「今この瞬間理解しました!」
というニュアンスがどちらにもないのがポイントです。

ちなみに「know」の場合も、現在形の「know」は「知っている」
過去形の「knew」は「知っていた」、現在完了形の「have/has known」は「知り続けている(知っている)」で、

「彼が会社を辞めたことを知った」のような「知る」には、全く別の動詞「learned」を使ったりします。

なので、「了解しました!」のつもりで
「I understood!」と言うと、
「いや、分かっていましたから、前から!」
みたいなニュアンスになりかねません。

「分かりまし『た』」と過去形(完了形?)で言う場合も、
英語では
「I understand now」と現在形を使うのが自然です。

では「Understood.」はどこから来たかと言うと、

「It is understood」という、受け身の表現から来ているそう。

これも時制は過去形ではなく現在形なんですね。

「understand」は、「分かった瞬間」に注目するのではなく、
「分かっている状態」を表します。

分かった瞬間がいつかは表現されていないわけですね。

ところで、上の説明と矛盾するのが、

「この件について了解しました/承知しました」という時の

「Understood about this matter.」です。

これが「it is understood about this matter」では説明できないのは、「it」の指すものが何もなくなってしまうからです。

直訳すると

「この件についてそれが理解されました」

となりますが、

「『それ』って?」

という疑問が残り続けます。

そして、これを説明するために、
ここから上で説明してきたことと完全に矛盾することを言い始めます。

この「Understood abut this matter」は、

「I have understood about this matter」

の略ではないか、ということです。

(ネイティブ同僚談。いつも何億人ものネイティブの代表をさせてごめん)

つまり、受け身形ではなく、「I」が主語の現在完了形というわけです。

そして「現在完了形」とは、「変化がおきた瞬間」と「変化が起きた後の状態」の2つの意味を併せ持つ時制です。

「その瞬間、分かりました。それ以来、今も分かっています」という意味を表すわけです。

………

いや、「understand」は「分かった瞬間は表せない」って言ったばかりだよね?

そうなんです……。
そうなのですが、この表現が存在する以上、これは「I have understood about this matter」の略だ、と言うしか合理的な説明ができません。

これが「I understood about this matter」ではないのは、
「私はこの件について分かっていました」
という意味になるからです。

なるほど。で、今は?

「今分かっているか」の話をしていないので、「了解しました」のニュアンスとは合いません。

現在完了形の話を出してしまうと、
正直、「Understood!」単体だって「I have understood (something)!」の省略だと考えても良い気がします

なお、ネイティブの同僚によると、「Understood about ~!」は正しいけれども自然ではない表現だそうで、

本人的には
「Thank you for letting me know about…」
「Thank you for the information about…」
と言った表現を使うのだそうです。

「Understood」を理解するのはなかなかに難しい。

長くなりましたが、少しでもご参考になれば幸いです。