【ドイツ語】漢字で覚える前つづり:zu【「向」「閉」「加」】
こんにちは。
今回は、前つづりの「zu」について見ていきたいと思います。
「zu」にも意味の異なるさまざまな種類の「zu」があり、また、いくつかの前つづりと対義語の関係になっています。
「zu」と読まれる前つづりには、「向」「閉」「加」といった意味があります。
「向」は「目標への接近」を表し、「an」と対照的な使われ方をします。
「閉」は英語の「closed」に該当し、ドイツ語の対義語は「auf」です。
「加」は英語の「add」に該当し、ドイツ語の対義語は「ab」です。
それでは一つずつ見ていきたいと思います。
1.「向」のzu:目標への接近を表す
この「zu」は、動作がある対象に向かっていることを表します。必ずしもその動作が対象に到達するところまでは描きません。あくまで動作を「向ける」ことに重点が置かれています。
「向かう対象」は3格で表します。これは要注意ポイントです。
日本語では「~を向ける」という風に訳すことができます。
たとえば、
zu/schauen 眺める(=視線schauen を向けるzu)
zu/schicken 送付する(=小包を誰かに向けてzu 送るschicken)
zu/wenden 向ける(=誰かに向けてzu 身体を動かすwenden)
zu/hören 耳を傾ける(=誰かの方に耳を向けてzu 聴くhören)
zu/schießen シュートする(=ゴールに向けてzu ボールを打つschießen)
などがあります。
これに対して、必ずしも上記と一対一の対応はしていないのですが、「an」の前つづりが付く場合は、対象にじっくり密着している感じがでます。「zu」にはこの「密着感」はありません。
an/schauen じっくり見る、an/wenden適用する、an/hörenじっくり聴く、 an/schießen射撃して傷を負わせる
テレビや映画のように一点を見つめるのはanschauen、サッカーや野球の試合のように全体を眺めるのはzuschauen、という違いが分かりやすいかと思います。
🍀「an」の記事はこちらです🍀
2.「閉」のzu:「閉める」動作を表す
この「zu」は「向」のzuとは全く違う前つづりで、対義語は「開」を表す「auf」です。
この「zu」だけでも前置詞として「閉める」という意味を表すことができます。
目的語は4格で表します。
Die Tür ist zu. 扉が閉まっています。←このzuは前置詞で、前綴りではない
「閉」の「zu」を使う動詞を見ていきましょう。
zu/machen 閉める(zu閉めるmachenする)
👆このmachenには強い意味はなく、「zuする」くらいの意味。そのため、「閉める」という具体的な意味を持つ「zu」が強調される。
zu/schließen 鍵をかけて閉める(鍵をかけてschlißen 閉めるzu)
zu/decken ふたをする(ふたをしてdecken 閉めるzu)
zu/drehen(栓などを)回して閉める(回してdrehen 閉めるzu)
🍀「auf」の記事はこちらです🍀
3.「加」のzu:増「加」や追「加」、添「加」
3つ目の「zu」は、上記2つのものと全く異なり、増加や追加、添加などの「加」を表します。この「zu」も非常に良く使われる前つづりです。
この「zu」の対義語は「ab」ですが、全ての動詞で一対一対応をしているわけではありません。
目的語は4格で表します。
「加」の「zu」を使う動詞を見ていきましょう。
zu/setzen 付け加える(加えてzu 置くsetzen)
zu/fügen 加える、添加する(加えてzu つなぎあわせるfügen)
zu/zahlen 払い足す(加えてzu 払うzahlen)
zu/nehmen 太る(加えてzu 取るnehmen)
🍀「ab」の記事はこちらです🍀
🍀ここまでお読みくださいましてありがとうございました!
次回は、「vor【先】」をご紹介したいと思います。
【写真:Ryan McGuire(Pixabay)】