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【語学】今日のアハ体験【英と独】

別に全てが今日体験したものではないのですが、少し書きためていたものを紹介しようと思います。

1.「verboten」は英語でも使う

ニューヨークタイムズのポッドキャストをYouTubeで視聴していたときに、急に「ヴァボウトゥン」という耳慣れない言葉が耳に入ってきました。字幕機能をONにすると「verboten」の文字が。

意味はドイツ語の「verboten」と同じく「禁止されている」。つまり英語の「forbidden」と同じです。ですが、発音は英語風に「/vɚˈboʊ.tən/」となります(アメリカ英語の場合)。「V」がちゃんと「ヴァ」行で読まれるんですね。

アメリカ人ネイティブ(1人)に訊いたところ、「NGみたいなニュアンスかな?」と言われました。

2.「forlorn」という、とってもゲルマンな英単語

私がよく読んでいるDaniel Silvaのイスラエル人スパイGabriel Allonシリーズで今読んでいる「The Rembrandt Affair」で、次のような文がありました。Glastonberyというイギリスの町の大修道院が、昔は栄えていたけれど今は廃墟になっている、という情景描写の文です。

Now, two millennia later, the abbey was but a glorious ruin, the remnants of its once-soaring nave standing forlornly in an emerald parkland like gravestones to a dead faith. 

Daniel Silva "The Rembranth Affair", p.10 

この文の中で「forlornly」という単語がひときわ目につきました。他の単語はどこかで見覚えのある単語だったのに、これだけ一度も見たことがないし、意味も想像できなかったからです。

ジーニアス英和大辞典で形容詞「forlorn」の意味を調べてみると、

1.あわれな、(ひとりぼっちで)わびしい;(場所が)さびれた
2.(・・・に)見捨てられた、(希望などの)ない

と書いてありました。
しかし、私の目を引いたのは、定義ではなく語源の項でした。

〔初12c以前:古英語 forelēosan(失った、捨てられた)。「for-(強意)+ -lorn(失った、衰えた=lost)=何もかも失った」〕

これを見てピンと来たドイツ語学習者の方はいらっしゃるのではないでしょうか?

そう、ドイツ語で言う「verloren」(verlierenの過去分詞)だったのです。

確かに、言われてみれば形も意味もすごく似ている……。
しかも、「-lorn」部分が今の英語の「lost」と繋がっていると分かると、
なぜ「verlieren」の名詞形「Verlust」の後半部が「lost」に似ているのかも辻褄が合います。

こういう、文語表現で時たま顔を出す英語の中のゲルマンゲルマンした表現を見つけるのが大好きです。

2つしか書いていないのにもう記事が長くなってしまいましたので、今回はこの辺で。

【画像元】Digs & Discoveries - Legends of Glastonbury Abbey - Archaeology Magazine - March/April 2016