見出し画像

【ドイツ語】「als ob」の後ろは接続法Ⅱ式?Ⅰ式?

こんにちは!

初級ドイツ語文法を学んだ際に、「als ob」(まるで~かのように)の後には接続法Ⅱ式が来ると習った方が多いのではないかと思います。

Tobias spricht Japanisch, als ob er Japaner wäre
(トビアスは、日本人であるかのように日本語を話す)

なお、いきなり本題からずれますが、この「als ob」の代わりに「als」1つだけを使うこともできます。
ただし、この際には語順が変わり、「als」の直後に動詞が来るようになるので、ご注意を。

Tobias spricht Japanisch, als wäre er Japaner. 

個人的にはこの2番目の構文をよく使っています。
1番目のように枠構造の場合だと、動詞を忘れちゃうことが多いので…。

さて、本題に戻ります。
実は、この構文では接続法Ⅰ式を使うこともできるんです。

Tobias spricht Japanisch, als ob er Japaner sei
Tobias spricht Japanisch, als sei er Japaner.  

何が違うのでしょう?
接続法Ⅱ式は非現実のことを表現し、Ⅰ式は主に間接話法で使いますから、
接続法Ⅰ式の方がⅡ式より「現実味を帯びている」ということでしょうか?

ネイティブの知人に尋ねてみました。
実は、意味合いには違いはほぼないそうです。
何に違いがあるかというと、「表現の硬さ、高尚さ」の点です。
接続法I式を使う方が「学のある」感じに聞こえるそうです。
それも、場合によっては、学をひけらかしている感じに聞こえるのだとか。

そうやって注意して見てみると、確かに「南ドイツ新聞」のような高級紙や学者の書いた文章などに「als ob +Ⅰ式」がよく登場するのに気づきます。

ドイツ語では接続法Ⅱ式は日常的によく使い、特に口語では一部の動詞を除き「würden」で代用しますので、存在自体は珍しいものとは認識されていなさそうです。

一方、書き言葉であれば、動詞の接続法Ⅱ式の活用形を使うのもありです。
「lernen würde」ではなく「lernte」みたいな感じですね。

これだけでも充分「表現の硬さ」や「教養の差」を見せつけられそうですが、実は更にもう1段階、接続法Ⅰ式を使用するという場合があるのです。

同じ接続法でも、Ⅱ式よりⅠ式の方が格調高く、縁遠いと受け止められるのは面白いですね!

最後にDudenの記述を紹介します。
なんとDudenはこのテーマについてわざわざウェブページを作っています。

「als ob」「als wenn」「wie wenn」のような非現実の比較をする文の中では、接続法I式もⅡ式も用います。
例)Du tust ja geradezu, als ob du zu gar nichts zu gebrauchen wärest.
Du tust ja gerade zu, als ob du zu gar nichts zu gebrauchen seiest

ですが、接続法Ⅱ式の方がよく使われます。
これは「als」を使った非現実の比較の文でも同様です。
Sie lächelte, als hätte sie niemals lügen müssen.
Sie lächelte, als habe sie niemals lügen müssen. 

ただ、非現実の比較の文であっても、激怒して言うときには接続法Ⅱ式しか使えません。
Als ob ich meine Zeit gestohlen hätte!

「激怒して言うとき」・・・。

私たちノンネイティブは、頭に血が上っている時に「自分は今怒っている。だからⅠ式は使えないんだ…」などと考える余裕がなさそうです。

やはり、外国語として学ぶ際は「als obはⅡ式を使う」とだけ覚える方が効率は良さそうですね。

ここまでお読みいただきありがとうございました!