【ドイツ語】漢字で覚える前つづり【über(分離)】【上】【移】【溢】
こんにちは!
今回は、分離前つづりの方の「über」を見ていきたいと思います。
前回は、非分離前つづりの「über」を見ました。
分離前つづりについては、前回にも書いたとおり、
というのがポイントです。
もう少し言うと、「動作の結果、目的語(4格)はどうなるのか」というのを表すのが分離前つづりの役割です。
形容詞のような感じでしょうか。
この分離前つづりの「über」は、主に以下の3つの意味を持ちます。
一つずつ見ていきましょう。
分離「über」:「上」
非分離「über」の「覆」という意味とも関連していますが、この分離の「über」は「上にかぶせる」「上に載せていく」という意味を持ちます。
この場合、
「den Mantel = über 」
という関係が成り立ちます。つまり、
「マント=上にある」
という関係ですね。
これが、「分離前つづりは目的語を説明する」ということです。
ちなみに何の上かというと、例文では3格目的語「ihm(彼)」の上です。
ですので、「den Mantel = über ihm」(マント=彼の上)という関係があると言っても良いかもしれません。
また、「分離前つづりが主語を説明する」場合もあります。
これは、目的語を取らない場合、つまり自動詞の場合です。
「家の」とカッコで付け足したのは、ここで定冠詞が使われている理由のためです。この前で家の話をしているから、家の部位が特定されるわけです。
さて、前つづりの話に戻りますと、この例文の場合は、
「Der Balken = über」
という関係が成り立っています。
「梁=上にある」
ということですね。
自動詞の場合は、分離前つづりは主語の状態を説明します。
この「上」という意味を持つ「über」を含む動詞の例は以下の通りです。
über/ziehen ~を着て上に載せる ⇒ ~を羽織らせる
über/legen ~を置いて上に載せる ⇒ 上に置く、~を着せる
über/hängen ①~を掛けて上に載せる ⇒ ~を羽織らせる
über/hängen ②~掛かった状態で上に載せる⇒ 上に張り出す
分離「über」:「移」
これは非分離「über」にも共通する意味ですが、分離の場合は動作が具体的になります。
上記の例文の「über/gehen」はいずれも自動詞なので、
「sie = über (彼女=別の場所に移った)」
「er = über (彼=別の場所に移った)」
という関係が、主語と前つづりとの間に成り立っています。
いずれの場合も、主語(彼女、彼)がある場所から別の場所に移動しています。具体的です。
非分離の場合は、übersetzen(翻訳する)のように、具体的な場所の移動はありませんでしたね。
「ある文章を中国語から日本語に訳す」とは、
「ある文章を中国語という場所から日本語という場所に移動させる」
という意味ではありません。中国語や日本語は本棚や引き出しとは違って抽象的なものですよね。
それでは、この「移」の「über」を含む動詞を見ていきましょう。
über/laufen【自】走って別の場所に移る ⇒ 寝返る
über/gehen【自】行って別の場所に移る ⇒ 移行する、移る
über/setzen【他】置いて別の場所に移す ⇒ (船で)渡す
über/steigen【自】乗って別の場所に移る ⇒ 乗り移る
über/gehen【分離】は「移る」ですが、übergehen【非分離】は「見過ごす」。意味が違うので要注意です!
もっとも、über/gehenの方が頻繁に使いますが。
分離「über」:「溢」
最後に紹介するのは「あふれてしまう」という意味の「über」です。
über/fließen 流れだしてあふれてしまう ⇒ あふれ出る、こぼれる(※)
über/laufen 走ってあふれてしまう ⇒ あふれ出る、吹きこぼれる
※【非分離】überfließenは「覆」の意味で、「覆いつくすように流れる⇒水びだしにする」です。
意味的には似ているのですが、イメージする絵に違いがありますね。
いかがでしたでしょうか?
「über」は、分離と非分離で意味と使い方に違いがあることが多いので、比較的区別しやすいのではないかと思います。
ここまでお読みくださいましてありがとうございました!🍀🍀
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