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ドイツ語を学んだ人が初めて学ぶ英語
こんにちは。
今回紹介したい言語は「英語」という言語です。
皆さんが学ばれてきたドイツ語と親戚関係にある言語ですが、どのように違うのか、見ていきたいと思います。
英語はドイツ語ととても近しい関係にありますが、
ドイツ語と大きな違いがあります。
それは、「格」と「性」がないということです。
厳密にはドイツ語の1格、2格に相当する2つの格がありますが、
2格は単純に名詞の後に「's」という形を使うだけで、名詞一つひとつについて覚える必要がありません。
3格と4格は、名詞では全く同じで、1格と同じ形をしています。
事実上、格はほぼ無いと考えてOKです。
そのため、覚えなければならない定冠詞も、「the」1つ。
これは、格によって変化しません。
そもそも、格がありません。
さらに、「性」がないということは、
冠詞も性によって変化する必要がないということです。
ドイツ語については、der, des, dem, den, die, der, der, die, das, des, dem, das, die, der, den, die…と、12個の形を暗誦して覚えたかと思いますが、
英語は「the」1つだけです。
そして、「性」がないので、
英語については、名詞を覚える際に、いちいち性を気にする必要がないのです。
そもそも、性がないからです。
「性」はないのですが、代名詞には「he」「she」「it」と、まるでドイツ語の、「男性」「女性」「中性」のような区別があります。
ただ、面白いことに、名詞自体の性がなくなってしまったので、
「he」及び「she」は人間の男性や女性に使われ、
それ以外の場合は全て「it」を使うことになります。
ドイツ語で「月」は男性、「太陽」は女性ですが、
英語ではどちらも「it」で受けます。
ドイツ語ではこの世の全ての名詞を3種類の代名詞で置き換え、使い分けてきたわけですが、
英語は、人間か人間でないかで使い分けるので、
「it」の負担がとても大きくて、区別が大変そうですね。
さて、「格」と「性」がないということで、もう一つ忘れてはならないのが、「形容詞」です。
ドイツ語であれば、形容詞は、男性か女性か中性か、単数か複数かで、
1つの形容詞を使いこなせるようになるためには
12個の形を覚える必要があったわけですが、
英語はたった1つです。
なんと、形容詞は、格や性で変化しないだけでなく、
「数」でも変化しないのです。
単数形でも、複数形でも、同じ形。
とても単純ですね。
このように、英語は、ドイツ語と違って、「格」「性」がなく、
「数」によって形容詞が変化することもない、
とても多くの要素をはぎ落した言語と言えるわけです。
この省略化の波は「動詞」にも顕著に見られます。
例えば、ドイツ語であれば、
1つの動詞を現在形で使えるようになるためには、
6つの形を覚える必要がありましたが、
英語には、2つしかありません。
そのうちの1つは、辞書の形、すなわち不定形と同じ形をしています。
つまり、覚えるべきは1つだけなのですが、
その形さえも、規則的に作りだせるので、変化形の丸暗記が不要です。
さらに、過去形に至っては、
1つの動詞につき、変化形は1つしかありません。
もはや、「変化形」と読ぶべきなのか迷うところです。
また、ドイツ語であれば、相手との距離感によって
「君」と「あなた」に使い分けていた2人称ですが、
英語は、「君」と「あなた」の区別だけでなく、
「君」と「君たち」、「あなた」と「あなたたち」の区別もしません。
2人称には、1つしか代名詞がないのです。
よって、親しみ度合いの違いによって主語や動詞の形を変える手間も省けてしまいますが、
その一方で、親しみの差をはっきり表現することもできなくなります。
また、英語にも一応、ドイツ語の直説法、命令法、接続法に対応する法が存在してはいるのですが、
驚くことに、同じ形を使いまわしているだけで、
その法だけに出て来る独特な変化形がないのです。
英語の動詞の変化形には、
辞書の形、それにsをつけた形、sの代わりにedをつけた形。
この3つしか存在しません。
これで、全ての法に対応しています。
ドイツ語の辞書の後ろに書いてあるような、時制や法ごとに6つずつ書かれた動詞の変化形。
あれが全く必要ないのです。
とても省エネである一方で、
一体どの法が今使われているのか、分かりにくくなる可能性もあります。
ですが、ここまで単純化されてしまうと、
そもそも「法」なんて概念を学ぶ必要もないかもしれません。
いかがでしたでしょうか?
ドイツ語と近い関係にあるとはいえ、文法的にはかなり単純化された言語、それが英語。
それでは、これから英語をじっくりと学んでいきたいと思います。
【画像】Biljana Jovanovic さま(Pixabay)