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【ドイツ語】漢字で覚える前つづり:er【始/化/得/死】
こんにちは!
今回は、ドイツ語前綴りの中から、非分離前綴り「er」を見ていこうと思います。
「er」という形をしている前綴りには様々なものがありますが、その中でもよく目にする3つのものを取り上げてみることにしました。
1.「始」のer:動詞が示すものが、「今始まる」という意味
よく使われるのがこの「始まり」を表す「er」です。
本動詞(前綴りerを取った動詞の残りの部分)が示す動作が、まさに今始まった、という意味を表します。
この意味で使われる「er」のつく動詞には、自動詞(4格目的語を取らないもの)が多いように思います。
erklingen 響き始める
erglänzen 輝き始める
erblühen 咲き始める
2.「化」のer : 動詞(の中にある形容詞)の状態に変化する
「始」のerは「状態の変化の開始」に着目しますが、「状態の変化の結果」の方に注目する「er」もあります。「化のer」と名付けることにしました。
いずれも「状態の変化」を表していることに違いはないので、意味的には「始のer」ととても近いものが多いです。
動詞部分には、「どう変化するのか」を表す形容詞が隠れている場合が多いです。
これは、形のよく似た「ver」という前綴りと類似した用法です。
erröten 赤面する(←rot 赤い)
erstarren 凝固する、硬直する(←starr 硬直した)
erweitern 広げる(←広い weit)
erkranken 病気になる(←krank 病気の)
ermöglichen 可能にする(←möglich 可能な)
3.「得」のer:動詞の結果、何かを獲得する/完遂する
次の「er」は、「化のer」とも似ていますが、特に、「ポジティブな結果に終わった変化」「首尾よく終わった動作」を表します。
「~を得る」と訳せる動詞がよく目につくので、「得のer」と名付けることにしました。
erwerben 獲得する、入手する
★労働、行動、購入、交渉、練習、学習などによって何かを手に入れるということを表すのに使います。
★「werben」は、「募集する、募る、売り込みをする、得るために努力をする」と言った意味で、これに更に「獲得」のニュアンスが加わりました。
erlangen 手に入れる、獲得する
★努力によって手に入れる、という意味。
★「langen」は「手を伸ばす、達する」という意味なので、「erlangen」は、「手を伸ばして手に入れる」という意味になります。
erzielen (目標を)達成する、狙い通りに手に入れる
★目的語には通常、「目標としていること」が来ます。
★「zielen」は「狙う」という意味なので、「狙って手に入れる」という意味になります。
erlernen 習得する
★「lernen」は習うという意味なので、「erlernen」は「習って手に入れる=習得する」という意味になります。
他にも、
erhalten 受け取る(手に持つ+獲得する➡獲得して手に持つ)
erfahren 経験する、知る(移動する+獲得する➡もともとは、「旅をして知見を得る」という意味だった)
erreichen 達成する(届く+獲得/到達する)などがあります。
4.「死」のer:動詞が表す動作・状態の結果死ぬことを表す。
これも「結果」に注目した「er」の使い方ですが、今回の場合の「結果」はちょっと怖くて、「死」です。
自動詞につくときは主語が「死ぬ」、他動詞につくときは目的語を「殺す」という意味になります(ertrinken溺死する←→ertränken 溺死させる)
上首尾に終わった「得のer」とは方向がまた違いますね。
本動詞が表す動作や状態の結果、死んでしまうことを表すので、この「死のer」を見た時は要注意です。
ertrinken 溺死する(trinken 飲む)
erschießen 射殺する(schießen 撃つ)
erwürgen 絞め殺す(würgen の首を絞める)
erdrücken 圧殺する、押しつぶす(drücken 圧迫する)
ersticken 窒息する;窒息させる(sticken 息が詰まる)
erhängen 絞首刑にする(hängen 吊るす)
これで、色々な殺し方をドイツ語で表現できるようになりました(怖い)。
ちなみに、餓死するは「verhungern(自)」です。「erhungern」という単語は存在しますが、意味が異なります。
「erhungern(他)」の「er」は「得のer」で、「食費を削って(=腹を空かせて)手に入れる」という意味になるそうです。使ってみましょう(笑)。
ここまでお読みくださいましてありがとうございました!!
【画像:Couleurさま(Pixabay)】