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駅伝対策もイノベーションを

大学駅伝の序盤2戦が終わりました。出雲駅伝は2位を狙いながら7位、全日本大学駅伝は5位を目指して6位ですので、ともに目標達成とはいきませんでした。ただこの結果についての分析はできており、箱根駅伝に向けて悲観する必要はないというのが今の正直な心境です。

出雲、全日本を振り返った時、ロード対応でやや準備不足だったことがひとつの敗因として挙げられます。城西大学で推進している低酸素トレーニングはトレッドミルで走ります。これは呼吸循環器機能に刺激を入れる大きなメリットがある一方で、屋外の地面と違ってベルトが動くためアシスト作用が起き、着地時の衝撃が緩衝されて筋への刺激が弱まります。(故障の多い選手にはメリットにもなります)また速度が固定されるためペースを自分で作る意識を得にくいというデメリットもあります。トラックでのスピード練習や定期的なクロスカントリーでの距離走はメニューに取り入れていますが、他大学に比べるとロードを走る機会が少ないことは事実です。この差が実戦で出ていることを感じました。

出雲駅伝では7位入賞を果たしましたが、
悔しさしか残りませんでした

ただこの課題は徹底的にロードを走り込むというのではなく、「感覚の微調整」という形で解決できるのではないかと考えています。たしかに「ロードに対応するためにロードを走る」というのはトレーニングの特異性の原則を考えても理にかなっています。一方で私の心の中にはこれまでの常識を疑い、固定観念を覆したいという思いがあります。実際にこれまでの取り組み方で前回の箱根駅伝からすべての駅伝で主力選手の大半が故障なく継続的に出場している事実は大きな自信につながっています。

少し話はズレますが、トラックの世界大会に出場した日本代表選手から「海外勢のペース変化に対応できなかった」という話をよく聞きます。もちろん変化走を取り入れるなど、ペース変化を想定したトレーニングは有効だと思います。しかし、そのような展開においてもゆとりをもって対応できるだけの圧倒的な走力(スプリント力やスピード持久力など)を備えていれば、多少のペース変化でも疲弊しません。まずは根本的な走力を高めるトレーニングを積み重ねていくことが最優先であり、それと並行してのペース変化への対応を行うというのが適切な考え方ではないかと私は考えています。

低酸素のトレーニングでは、選手自身の感覚と
心拍数や酸素飽和度を確認しながら行います

駅伝も同様です。ロードでの距離走は有酸素能力を高め、スタミナ向上が期待できますが、将来、高いレベルでの飛躍を見据えた強化の視点から考えてもスピード面での強度が不足するように感じます。駅伝シーズンだからといって、ロード対策だけに重きを置くのではなく、引き続き低酸素トレーニングも継続しながら、スピードとスタミナをバランスよく強化し、そのうえでロードに向けた感覚を得るメソッドを作り上げれば、選手たちの能力開発をより進められるのではないかと思っています。実際、駅伝シーズンに入った今、そのメソッドの構築と実践に少しずつ手応えも感じでいます。

11月もトラックで記録を狙う選手も多くいますが、同時にロードへ対応するトレーニングを段階的に行い、箱根では結果を残したいと思います。あと2ヶ月、どのようなトレーニングを重ねてロードへアジャストするのか、想像を膨らませながら城西大学の選手たちの走りに期待を寄せていただければ幸いです。

箱根駅伝では揺るぎない自信を持って走り抜けます!


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