日曜の夜、2時間だけ、私たちは姿を変える
黒いジャケットがはためく。ヒールがステップを踏む。歓声が上がる。篠原涼子の『恋しさと切なさと心強さと』が流れる。観客はいない。でもその空間は、ステージさながら輝いていた。
日曜の夜、月曜が始まるほんの少し前の、ほんのわずかな時間。主婦や会社員や学生や母親なんていう肩書きをかなぐり捨てて、私たちはただ音楽に身を委ねる。私たちの心は丸裸になっていた。
大変な毎日かもしれない。きっと身も心も疲れている。忙しすぎてうんざりしているだろう。すり減らす日々を送っている。他人に見せるた