見出し画像

男性管理職が育休を取った話

みなさん、こんにちは。「乗換案内」エンジン担当です。

乗換案内公式のnote記事を書くのはずいぶんと久しぶりです。
というのも、ここ半年ばかり育児休業をいただきまして、先日復帰したためです。

今回は乗換案内からは少し外れますが、男性管理職が育休を取ることについて書いていきます。
本記事を通して、乗換案内を開発しているジョルダンの社風や雰囲気を感じていただいたり、育休について考えることがあったら嬉しいです。

最初に

先に少し私の状況を。

  • 男性

  • 管理職(乗換案内のエンジンの保守部門の責任者)

  • 子供二人(育休の対象は下の子)

なぜ育休を取ろうと思ったか

男性かつ管理職で育休を取る、というのは、世間的にはおそらく結構なレアケースかと思います。
そもそも管理職の全就労者に占める割合は11.5%と低く、管理職まで出世している職員の平均年齢は部長53歳、課長48.9歳と高いので、管理職というのは新生児が少ない属性です。

男性の育休取得率は12%なので、単純計算で1.3%のレアキャラですね(ガチャならURとはいえませんが、SSRくらいはいえそうです)。

さて、そんな私が育休を取ろうと思った理由はいくつかあります。

  • 周囲に男性で育休を取ったモデルケース(友人、取引先など)があり、自分も育休を取って自分の子どもに向き合いたかった

    • なおこの取引先は外資です

  • 妻からの要望

    • 家事しながら新生児と幼児と、子供二人の面倒を見るのは、かなりの高難度ゲーです

  • チームメンバーの成長のため

    • 上司(私のこと)と一緒に仕事をしていると、メンバー自身で決断できることもしばしば私に回ってきてしまったり、上司である私自身も上手くメンバーに任せきれてないと感じるときがありました

    • 私がいなくても、メンバー自身が正しい、うまく行くやり方を考えて、仕事を進める経験を積んでほしかった

  • 男性育休取得の実績を残しておきたかった

    • 2022年10月から育児介護休業法が改正されて男性育休が取りやすくなり、社会の情勢も少しずつ男性も育休を取る方向へ進んでいます

    • 男性でしかも管理職であっても育休を取れるという、社内に対してはモデルケースとなり、社外に対して実績として語れるのは次の世代の社員や中途採用にとって重要なことと思います

    • なおジョルダンは、女性社員も多く、女性社員の育休取得実績は多くあります。ただ男性社員の育休取得実績は私の知る限り一例のみで、管理職となるとゼロです

会社と周囲に言ってみた

乗換案内を開発しているジョルダンは縦に短い会社で、階層が少ないです。私の場合、直属の上司は社長でした。

なので、まず言うべきは社長です。

実は一人目のときも育休の相談はしていて、そのときは、妻との話し合いもあり、結果として育休は取りませんでした。
しかしながら、自立できる人材なら働き方は自由でいいとのことで、コロナ前の当時で社長から在宅勤務を提案いただいたので、在宅勤務してました。

相談も2回目なので今回はどうだろ?と懸念もありましたが、すんなり許可いただけました。
むしろ3ヶ月欲しいと言ったところ、どうせならと6ヶ月取って良いと。
お言葉に甘えて6ヶ月取って、結果として本当に良かったので、社長には感謝してます。

社長は割と、仕事には遊びが大事と考えているようで(実際かなり多趣味です)、人生の中でたまには仕事から離れて、普段できないことをやってこいという意味もあったようです。

あと社長自身、お子さんが小さいころに仕事しながらお子さんの面倒をみていたこともあるそうで、育児の苦労を肌で知っていたのもあるのかもしれません。

周囲の反応も、反対だったり難色を示されたりということはありませんでした。
ただ、部員には不安はあったでしょうし、社内外で部以外の仕事も多く行っていたので(このnoteもそうです)、その点でも不安に思う人もおそらくいたと思います。
そうした意味で、快く育休に送り出していただき、不在時の仕事をカバーいただいたジョルダンの仲間にも深く感謝しています。

ジョルダン自体は、1979年創業で古い会社ではあるのですが、こういうところは古さを感じない会社です。
(ネットのパパ仲間からは時折、男性だと育休取るのに難色を示される事例は聞きます…)

仕事の引継ぎ

管理職とはいえ、仕事の引継ぎはおそらく一般の社員とそう大きくは変わらないと思います。

  • 業務をリストアップする

    • いらないものは終わりにする、無駄な手順は簡略化する

  • 引き継ぎ書(作業マニュアルとか、現状とか)をつくる

  • 担当決める。場合によっては説明、OJTする

ただ、管理職になると、非定型の業務、とくにプロジェクトを切り盛りする仕事が増えます。
たいていのプロジェクトは、育休前に終わらせるか、道筋をつけて一緒にやってた人に任せられました。

問題は、私の本業である乗換案内のエンジンの保守(改正に対応したり、新機能作ったり、問い合わせ対応したり)です。
これは実務も持っていますし、方針考えたり決めたりの上流工程も担当になっています。

実務面は、あまり引継ぎに問題はありません。
関わっているチームメンバーが複数人おり、スキル(開発言語や作業手順)は標準化されています。
強いて言えば、運賃関係には、鉄道各社の旅客営業規則など運賃関連規則の知識がいることでしょうか。

問題は上流工程です。

乗換案内は、フロントとバックエンドのうち、バックエンドのレイヤーが多いですし、toBとtoCとまるで異なる要件を持つ商流があります。
(このあたりの話も機密保持に反しない範囲でいずれしたいけど…)

いつぞや記事にしましたが、乗換時間ひとつ取っても考慮する点は多く、知識、経験、決断のいる仕事です。

こうした特徴を持つ乗換案内の開発運営に携わった経験があり、鉄道はじめ「交通」分野の知見があり、お客様にとっての最善を追求して、メンバーから信頼され指示を下せる人材というのは、社内でもめったにいません

乗換案内のかじ取りについては、noteの中の人のうち「部長」や、乗換案内の生き字引みたいな運営のプロがおり、彼らと協同してかじ取りしてたので、彼らを信頼して後を託しました

彼らがいなかったら、本気で育休が取れなかったかもしれません…

いざ!育休の日々!

さて、ネットで男性の育休について調べると、たまーに見聞きするのが、大きい子供が一人増えるだけで邪魔だったという言説です。

また男性が育休を取って、何ができるのか?が気になる人もいらっしゃるかと思います。

ここでは育休中にどんなことをしていたかを書いていきたいと思います。

育休中の生活サイクル

平均的な一日

育休後半は、だいたいこんな感じです。
前半は私が新生児の夜間のミルクなどをしてたので少し異なります。

主には二人いる子供の上の子を散歩に連れて行ったり、妻が家事をしている間、子供二人の面倒をみてました。
おおむねは上のタイムラインですが、ある程度は臨機応変で、私が買い物行ったり、食事の支度をしたりと役割が変わる日もあります(タイムラインにはないですが掃除は私担当)。

散歩は、あちこち行きましたねえ。
地域の児童館や子育て広場で遊ばせるのが主ですが、広い公園で散歩したり、乗り物が好きな子なので、バスや列車に乗って遠出したり。
平日の午前だと、児童館などはほぼお母さんしかいらっしゃらないので、最初はずいぶん肩身が狭かったです。
何度も通って顔見知りになり、少しずつ雑談するうちに肩身の狭さは感じなくなりました。慣れ。

子供が寝てる時間が夫婦でおやつ食べてお茶飲んだり、勉強したりの自由時間です。ないことも多いです。あっても疲れて寝ることも少なくないので、感覚的には1週間に1日くらいですね。

育休中やっていたこと

育休中、仕事してたらやりづらいことを始めてみました。

  • パパコミュニティへの参加

    • オンラインのパパコミュニティがあったので、交流目的で参加してました

  • 地域のシビックテックグループへの参加

    • こちらはまだ参加しただけでなにか活動してるわけではないですが…

    • そろそろなにかしたい

  • AIの勉強

    • 社長からも空いた時間でこれまで勉強できなかった分野の勉強したらいいと、自然言語・文章生成系の研究テーマをいただいたので、それをやってました

    • その間のやってたことは、Qiitaにぽつぽつ投稿しています

    • ただ終盤は、画像生成AIのDALL Eやmidjourney、Stable Diffusionが面白くてそっちの動向に着目したり、遊んでました

    • 今回の記事の見出し画像は、育休中に触って遊んでいた、OpenAI社が開発した画像生成AI「DALL E」で生成したものです。
      1024x1024で生成されたものを無加工でnoteに見出し画像としてアップ。アップの際にトリミングしています。

育休中のお仕事

原則、育休中は業務ができません(半育休で月10日、80時間以内など一定条件下で働けないわけではない)。
なお、2022年10月から施行される産後パパ育休は取得中の業務が可能です。

なので、私も育休期間中は基本的に働いていませんでした

ただ、やはり残してきた業務やチームの様子が心配だったのと、ビジネスから離れることの錆びつきの懸念はあったので、たまに社長と話したり、チームの定例会に顔を出したりはしてました。

育休を取って感じたこと

取って良かったですね。

もし私が育休を取らず、妻一人で子供二人を見てたらかなり大変だったと思います(というか復帰した今、大変になってます)。

とくに産後3ヶ月程度までは、女性の身体も回復しませんし、その状態で子供の面倒をつきっきりでみるのは相当しんどいです。
離乳食も進み、授乳間隔も延びてリズムができてくる7か月まで育休を取れたのはその点でよかったです。

また上の子と過ごす時間が長かったので、上の子からの信頼と愛着は増した気がします。

家族の父親以外に個人としても、仕事を離れて、普段ならやらなかったであろうことにチャレンジしたことは、刺激になりましたし、新しいスキルや経験も積めました。

普段ならほぼ接点のない、地域社会と関わることできたのも貴重な経験です。
思い返せば、「仕事」でも「家族・友人」でもない人と話す経験って大人になるとほとんどないんですよね。
「仕事」的な視点以外で人と接したのは、視野が広がる感覚がありました(いうなれば一人ダイバーシティ?)。

育休復帰後

戻ったとき、仕事がなかったらどうしようかと実は不安でした。

これは管理職かどうかや男女に限らないと思います。中長期で不在になるなら、会社・部署としては当然、業務に代行を当てます。結果、いない間も業務が回っていたなら、戻る場所はありませんの可能性もあります。

私不在中も残してきた案件のいくつかは無事終わりを迎えていましたし、乗換案内の定期的なバージョンアップの対応もされていました。

通常の業務について、チームメンバーだけで回せるようになったことは収穫です。

しかしながら、乗換案内の多重レイヤーを通貫した技術知見があり、プロジェクトの統括ができる人材が1人欠けるのは、なかなか影響はあったようで完全に止まっている案件もいくつかありました。

戻ってやることがあるのか、不安はありましたが、幸い(?)、この会社でやることはまだまだあるようなので、(まだ休みボケが抜けきってませんが…)引き続き乗換案内の開発に勤しみたいと思います。

最後に

男性の育休は2020年には12%を超えましたが、まだまだ女性の80%超の割合には及びませんし、取得期間も2週間、1か月以下がほとんどです。

取る取らない、どのくらい取るは、家庭や個人の選択ではありますが、男性だから取らないではなく、男性だけど取ってみるに意識を変えてみるのもいいと思います。

いいなと思ったら応援しよう!