阪神・村上は沢村賞も夢ではない。
交流戦が開幕。
今さら騒ぎ立てることもないけど、普段はパ・リーグの取材に行くことが多いので、楽しみに取材観戦して来ました。取材パスが降りたのは西武だけですが。
今日の注目はなんと言っても、阪神のエース・村上。完全試合途中降板からプロ初完封など、今季のセ・リーグを席巻しているピッチャーと言えるでしょう。智弁学園時代に何度か取材をしていたので、どれだけ成長したんだろうという期待感で試合を見てました。
素晴らしかったですね。
特に、ストレートが群を抜いていた。最速は148キロで、右投手としては特に速いわけではないんだけど、”コマンド”というクラスの制球力の高さが光りました。
何よりストレートを投げるときの迷いがない。
簡単に言えば自信を持っているということになるのですが、肚が座って投げている。初球からどんどん攻めても、打者が刺されているんですね。
球速があるわけでも、球威があるわけでもないのに、刺される。
すごいストレートだなと。
切れ味とか、気持ちが入っているとか、そういう次元ではなかった。
上原浩治さんを思わせるようなストレートでした。
その上原さんはメジャー相手に、ストレートでバンバンカウントを取っていました。スプリットが持ち味のように言われていたけど、何よりあのストレートの質の高さが彼のピッチングを引き立たせていましたよね。
村上投手はそんな上原さんと重なる印象でした。
1年間、どれだけ投げることができるか。沢村賞も夢ではない投手ですね。
ストレートに迷いがないから、それに刺されることによって、打者は変化球に対応できない。カット、スプリット、ツーシーム。どれも球速帯が大きく変わることはないから、対応しずらいんですよね。
それを体現する投手でした。
村上投手を見ていて思ったのは、ストレートを極めたということ。だから、変化球に逃げることがないんですね。もちろん、駆け引きがあるので、変化球を使うんだけど、彼はストレートにしっかり取り組んできた。極めてきた。投げたい場所に投げて、打たれないような間合いを作る。
極められない投手はどうしても、変化球に頼らざるを得ない。結局、ストレートを極められていないというのがあるから、変化球に逃げるんですよね。場合によっては変化球多投になる。
最近は、変化球をたくさん投げる投手はいますけど、これは是非に、投げかけたいですね。ストレートあっての変化球であるという意識をどれだけ持てているか。いや、それだけストレートを極めて来たという自負がどれだけあるか。それは問い直したいですね。
高校生の強豪校でなくても、投手はいろんな変化球を投げるけど、やっぱりストレート。120キロそこそこでも、これがないと変化球は生きない。
高校時代の村上投手というと、選抜の開幕戦で投げ8安打くらいを浴びながら完封勝利。当時の智弁学園はベスト4が一つの壁になっていたけど、それを乗り越えて優勝まで成し遂げた。
優勝は村上自らが打ったサヨナラ打だった。
当時の取材ノートにある村上の言葉を掘り出してみた。
いつかは沢村賞投手になってほしい。