高卒認定試験を解説:令和4年度第2回の地理A(4番の問4)と地理B(1番の問3)
問題文
コウジさんは,瀬戸内海において「渡し船銀座」と呼ばれる地域があることに興味をもち,その航路を示す資料9 を得て,その地図を基に「なぜこの範囲に三つも渡し船の航路があるのだろう」という問いを立てた。この問いに関して,資料10 と資料11 を見ながら考察しているコウジさんたちの会話文中の空欄X ~ Z に当てはまる記号の組合せとして最も適切なものを,あとの1 ~ 4 のうちから一つ選べ。
<資料9> 渡し船の航路とその周辺
地図の解像度が低くてよぉ見えんときはコチラをクリック ⇓
<資料10> 渡し船の様子
<資料11> 各航路の特徴
<会話文>
コウジ:資料9 の地理院地図を見ると,複数の渡船と航路の地図記号が確認できます。ここは「渡し船銀座」とも呼ばれ, 1 日に約300 往復も渡し船が行き交うそうです。資料10 の様子からも人々の重要な交通手段であることがうかがえます。この範囲にア~ウの異なる航路が存在しているのはなぜなのでしょう。
ケンタ: X の航路は尾道駅前から最も近いので利便性が高そうですね。地図の南西部に見られる中学校や高等学校にも近いので,学生の利用が多そうです。
カオリ:調べてみると,資料11 から分かるように,中学生や高校生は毎日の利用になるので,金銭的な負担が少なくて済むY の航路を利用する人が多いようです。
コウジ:原付自転車や自動二輪車の運賃や乗船可否も航路によって違うので,毎日利用する通勤客も通勤方法に応じた航路を利用すると思います。観光客はどうでしょうか。
カケル:自動車で日曜日に訪れ,車で向島へ渡る観光客はZ の航路を利用するか,東側にある尾道大橋を利用するしかなさそうです。航路によって利用する人々のニーズが異なり,利用者のすみ分けが行われているからこそ,「渡し船銀座」と呼ばれるほど,それぞれの航路で船が運航されているのですね。
コウジ:1968 年に開通した尾道大橋は当初,普通車の通行に150 円がかかる有料道路でしたが,2013 年に無料化され,来島者の橋の利用が増えているため,渡船会社の経営も厳しくなっているそうです。近年はサイクリングで訪れる観光客による利用も増えているので,観光資源としても伝統的な渡し船の文化が長く続いてほしいですね。
<選択肢>
X Y Z
1 ア イ ウ
2 ア ウ イ
3 イ ア ウ
4 ウ イ ア
最低限知っとくべき用語
渡船、渡し船
川や湖沼などの両岸を往復して客や荷物を運ぶ船。航路
船舶や航空機が通行する一定の経路。
by デジタル大辞泉
知ってると便利な知識
瀬戸内海にかかってる橋を紀伊半島に近い順に並べると…
明石海峡大橋・大鳴門橋
瀬戸大橋
しまなみ海道(尾道大橋と新尾道大橋、因島大橋、生口橋、多々羅大橋、大三島橋、伯方・大島大橋(伯方橋、大島大橋)及び来島海峡大橋)
瀬戸大橋全線開通の5年前に発表された作品 ⇓
考え方
ケンタが「X の航路は尾道駅前から最も近い」と言っているので、資料9からXはアorイ。「地図の南西部に見られる中学校や高等学校にも近い」とも言っているのでXはア。
カオリが「中学生や高校生は毎日の利用になるので,金銭的な負担が少なくて済むY の航路を利用する人が多い」と言っている。資料11で大人運賃が一番安いのはイ。
カケルが「自動車で日曜日に訪れ,車で向島へ渡る観光客はZ の航路を利用するか,東側にある尾道大橋を利用」と言っているので、資料11からZは自動車乗船OK&日曜日に運航しているウ。
この問題とは関係ないけど、ウチ今まで離島から本州の学校へ通うもんやと思ってた。逆のパターンもあるんやな、って目から鱗 (@_@)