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お父さんは永遠のヒーロー
Mayuもお父さんに負けんごと頑張れよ!
電話口でお父さんはこんな風にわたしを励ました。
お父さんとの電話は何よりも元気をくれる。お父さんという存在がなかったら、自分が今こうして海外で頑張り続けることもなかっただろう。
スペインへ行く娘の背中を押してくれたお父さん
よく「スペインに行くって言ったとき、お父さんお母さんは反対しなかったの?」なんてことを聞かれる。
もちろん最初は「なんで行かなきゃならないんだ」という感じだった。まして大企業での仕事を辞めてまで。
生まれは大分、大学は熊本、就職は福岡というずっと九州で暮らしてきたわたし。お父さんもお母さんも、「東京や大阪じゃなくて、九州にいてくれたら嬉しいなあ〜」なんてことを言っていた。
そんな中で大阪も東京も吹っ飛ばして「スペインに行く!」だなんて言い始めるわけだ。そりゃ「なんで?」と疑問に思うのも当然だった。もはや「じゃあ東京でいい」ってなったのは間違いない
でもお父さんは最終的に首を縦に振ってくれた。わたしのやりたいことに対して背中を押してくれた。
お父さんもかつては「1人で独立して自営業をやっていくんだ!」と家族の反対を押しきって行動に移した身だったから、わたしの気持ちを理解してくれたらしい。
娘を海外にやるという決断は、とんでもなく勇気のいることだったと思う。まして3人兄弟の1人娘だ。なんならこのまま日本で孫の顔を早く見たいくらいの気持ちだっただろう。
それでも自分の気持ちを押し殺して送り出してくれたお父さん。
年齢を言い訳にしない、心も身体も若いお父さん
そんなお父さんは最近ジムに通い始めた。そう若くはない身体、ところどころ痛い部分が出てきたから、普段から仲の良い友だちとジムでトレーニングをすることに。
ジムに通うとだんだん身体の痛みも取れてきて、よく動かせるようになってきたらしい。
「Mayu!お父さん徐々に筋肉もついて引き締まってきて、若々しくなりよるけんな!若返りかな!恋愛が始まるかもしれんな〜!はっはーー」
と笑いながら言っていた。
わたしは微笑ましくて嬉しい気持ちで溢れかえった。
もう60代半ばで高齢者になろうかとしているところなのに、本当にたくましい。いつだって心は若い。年をとらない。
年齢は何かをすることと全く関係ないんだと、身をもって証明してくれる。
勉強を始めるのはいつだって遅くない
わたしが日本にいた頃、お父さんは国家資格の勉強をしていた。いまの仕事の助けになる資格らしい。
実家に帰ると勉強机として使っていたわたしのデスクには過去問題集がたくさん置かれていて、お父さんのぐしゃっとした字が所狭しと書かれていた。
「4択の問題はまだいいんだけどな。計算問題が難しいんじゃ〜。お父さんは若い人みたいに脳みそが柔らかくないからな〜」
なんてことも言ってた。わたしが見ても難しそうな計算問題だった。
秋になると大分から福岡に出てきて、資格の試験を受けにきていた。たくさんの人がいる試験会場で、お父さんのような高齢者の受験者は指で数えきれるくらいだったらしい。
負けん気の強いお父さんは、一度試験に落ちても諦めず、何度もチャレンジしていた。他の仕事仲間が勉強をやめても、お父さんは1回試験に落ちたときのあまりの悔しさから何回も挑戦していた。絶対受かってみせる!と躍起になっていたらしい。
わたしもなかなかの負けず嫌いな性格だが、お父さんの遺伝によるものだったのかと再認識した。
合格まであと1問足りなかった…と言っていた2年前は心底悔しそうだった。
それでも翌年また諦めずに試験を受け、見事合格。
何歳になってもチャレンジを辞めず、勉強し続けて結果を出す姿にはもう尊敬でしかなかった。自慢のお父さんとはこのことだとひしひしと感じた。
そんなお父さんはまた別の資格に挑戦するらしい。もうかれこれ30年以上も同じ仕事をしているが、その仕事に対する向上心は健在だ。
そしてスマホとかインターネットが苦手で、ずっとガラケーを使ってきたお父さんもいよいよスマホの勉強を始めるらしい。
資格の勉強に加え、スマホの勉強。
「勉強しなきゃいけないことはたくさんだ〜!はっはっは!Mayuもお父さんに負けんごと頑張れよ!お父さんが元気に動けてるうちは、力になれることがあればなんでもするからな!」
なんてことを言ってくれた。
こんなことを言われて、頑張れないわけがない。むしろやる気しか起きない。
お父さんも年齢を重ねて、最新の機器や情報に疎くなってくる世代だ。若い世代のわたしの方が知っていることも多いなんてつい思ってしまいがちだが、まだまだお父さんの背中は大きかった。
わたしは心からお父さんの娘に生まれてよかったと思った。お父さんの娘であることを誇りに思うし、お父さんの遺伝をもらえてなんて幸せなんだと心から思う。
お父さんに負けんごと、わたしも頑張るよ!
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