3週間ぶりのチーム復帰で起きたこと
先日日本への一時帰国を経て、無事スペインへ戻ってきた。
果たして日本に帰れるのか、スペインへ戻ってこれるのか、という瀬戸際に立ち朦朧としながらこんな記事を書いていたため、喜びもひとしおである。
スペインに戻ってきた次の日から早速所属しているチームへ合流。
まず最初に監督と出逢い、満面の笑みといつもより長めのハグで迎えてくれた。
その後は選手たち。
拍手をしながら駆け寄ってきてくれて、1人1人とハグをした。今までに見たことがないような、とろけそうな笑顔で。
3人くらい一気に来て、身動きが取れなくなることもあった。こんな幸せなことがあるだろうか、、
彼らは14歳くらいの子どもたちなわけだけど、普通に考えれば思春期の子どもたちである。親から離れ始め、ツンツンしていてもおかしくない年頃。そんな子たちがMayu〜と言いながらハグしてくれるなんて、嬉しいかぎりだ。
そしてコーチ陣から、わたしが不在中に起こった用具関係のことを色々と聞いた。それがなんともおもしろかった。
不在中に起きた用具まわりの変化
ざっとまとめるとこうである。
①ボールは3つ紛失
②マーカーはなぜか倍以上に増えていた
③ビブスはとにかく臭い
④ボトルは洗っていない感満載
⑤キャプテンマークが消えている
わたしの役割をアシスタントコーチが担ってくれていたのだが、彼だけでなくチームスタッフや選手たちの性格や行動はわかっていたので、何かしら紛失するだろうとは予想していた。うん、予想通りだった。
①まず最初にボール。
チームが保有するボールは元々8個で、それほど多いわけではない。だからこそボール1個がものすごく大切なのである。(逆にいえば、その少なさで3つ失くせるのがすごい)
合流してから監督に話を聞いたとき、「ボールは今8個ある!」と言われたので、
「まさか、、1つも失くさずにいてくれたのか。。。」
と感動の涙があふれそうになった。
がしかし、わたしの考えは甘かった。ボールの入ったバッグを見てみると、「これどこから拾ってきた?」みたいなボールが3つまぎれこんであった。
失くすのも上手いが、補填するのも上手い。
②謎に倍以上に増えていたマーカー。
使ったマーカーを袋にしまうという、なんの難しさもない行動がときに不足する彼らなので、よくよく聞いてみたところ、一時期マーカー6枚にまで減っていたらしい。
監督が練習前に「よし練習メニューの準備するか」と何の気なしにマーカーを手にとりグラウンドに向かおうとしたところ、「ん?」となったらしい。
果たしてマーカー6枚でどうグラウンド作りができるだろうか。
さすがにこれはマズいとなって、アシスタントコーチが監督をしている別のチームとマーカーを共有することになったらしい。その結果マーカーは倍以上に増えた(実際はほとんど別のチームのものだが)
なぜもうちょっと早くマーカーの少なさに気づかなかったのだろうかと、考えただけで笑えてしまう。
③ビブスと④ボトルは誰も洗おうという発想に至らないので、臭いのは仕方ない。(復帰した日すぐに持ち帰って洗った)
⑤キャプテンマークはこれまで私もだいぶ格闘してきた部分だ。
どこやらここやらに放置する癖のあったキャプテンが、最終的にはわたしに手渡しで返してくれるようになったところだった。
ここでわたしが不在になった場合を想定することを完全に忘れていた。やられた。これまでの苦労を口酸っぱくコーチ陣に伝えておくべきだった。
結果としては、わたしの不在中にキャプテンマークは3回失くなったらしい。
もはや失くしたことは置いておいて、失くすたびにその都度何とか発見に至れる力を讃えたい。(ボール同様リカバリー能力は高いらしい)
そしてわたしがチーム復帰してから、通常の置き場所になかったキャプテンマークの行方をあらためて聞いてみた。
なんと3回の紛失に懲りて、いよいよキャプテンに自身の持ち物として管理させるようになったとのこと。
これはいい。上手い解決策である。キャプテンとしての自覚にもつながり一石二鳥だ。
おとといの試合の日、ちゃんと彼が持ってきたか心配になり「キャプテンマーク持ってきた?」と聞いたら、まさしくキャプテンマークを握りしめた状態で「うん!」とわたしに見せてきた。(よっぽど懲りたんだろう)
不在中に起きた事件
ある日うちのチームのGKが、同クラブの別のチームの試合へ出場することになった。
うちのチームで招集したあと、次の日の当該試合のため選手証をGKに持たせなければならなかったとのこと。
これはあらかじめ統括マネージャーから監督へ伝えられていた。そのときの会話をのちに聞いてかなり笑った。
統括「いいか、Mayuはいないんだからな!ちゃんと覚えておけよ!」
監督「わかってるよ、まあ落ち着いて」
……
この会話を経たのち、監督は結局GKに選手証を渡し損ねて危うく出場できないところだったらしい。(うっかり者の監督が愛らしい)
サッカー以外の部分になるとすぐ忘れてしまう監督をサポートするようなかたちで二人三脚でやってきた感があるため、なんとなく責任感を再確認した瞬間であった。
他にも選手たちの家族からたくさん歓迎してもらった。幸せなかぎりである。
おとといの試合では、試合開始直前の誰もいないピッチでボールを探していたところ、選手のパパか誰かから「Mayu〜、Mayu〜」とコールがかかって焦った。(恐縮のあまり思わずお辞儀をしてしまうワタシを見て笑っていた)
フレンドリーなスペイン人の国民性はいつだって笑顔にしてくれる。
一時帰国で不在になるたびに、チームが愛してくれていることを実感する。わたしにとってスペイン生活でのかけがえのない宝物だ。
今年も残りリーグ戦1試合。難しい戦いになりそうだが、なんとか勝って気持ちよく年越しをしたい。そのためにわたしはチームに全力で尽くすのみだ。
¡Vamooooos!