理学療法士が苦手とすること
専門家のはずが実は苦手だった⁉︎
私自身も理学療法士として医療や介護の現場に携わっていたからこそ『このままではいけない』と感じた点についてお話しようと思います。
先にお伝えしておきますが"全ての理学療法士"に当てはまる訳ではありません。しかし大多数の理学療法士に当てはまる内容です。
理学療法士を含むリハビリにあたる業種は日常生活動作の改善や維持に関わることが多い。
運動器と言われる筋骨格、他にも神経系、循環器など分野は様々あるが基本的には生活に関する機能の改善を目的としています。
つまり"動作を診る専門家"であると私は考えております。
結論からお伝えすると、動作を診る専門家ですが他学問の視点で動作を診ていないことが大多数の理学療法士の問題点です。
身体という学問でしか診ていない方も多いのではないでしょうか?
例えば五十肩で腕が上がらない人をどう診るか?
・医学所見・理学所見を確認
・患者の目標の確認
・検査測定
・検査測定結果から問題点の抽出
・アプローチ
・再評価
・考察
一般的な流れはこのような形が多いと思いますが、これら全て"身体"という学問の視点でしか患者を捉えられていません。
現在の資格取得のための学校教育からの流れでこうなってしまっているとも言えると思いますが、全てを学校教育の責任にすることは正解でしょうか?
臨床現場では学校で教わったことのほんの何%しか活かすことはありません。
教科書通りの症例はいませんし、学校教育は暗記科目のため暗記ができれば苦労しません。
そんな事より臨床で携わった患者の状態から思考・洞察することの方が重要となります。
この時に単一学問の視点でしか思考・洞察ができないと本質的な部分や根本的な部分が見えづらくなってしまうのです。
『痛みの原因は?』
・〇〇筋の筋力が弱いから
・〇〇筋の柔軟性が乏しいから
・〇〇と〇〇が協調して動いていないから(運動連鎖)
このような答えが後輩指導をしていた中でも多く聞かれました。
〇〇が弱いから鍛えましょう
〇〇が硬いからほぐす、伸ばしましょう
〇〇の動きが悪いのは〇〇の動きが制限されているからだ
こんな答えを出した経験はないですか?
私は理学療法士となり2ヶ月目でこんな答えを出した時に指導係の先生から〇ぬほど怒られました。笑
他業種との連携が必要不可欠
理学療法士がこのような視点に陥りやすい点として、医師を含む患者に携わる他業種と連携を取らなければいけないことも要因の1つだと考えます。
間違えてもらわないようにお伝えしますが、連携を取ることが悪いということではありません。
カンファレンス等で意見交換をする際、どうしてもエビデンスが必要となります。そしてそこで使用するエビデンスは医学寄りのものしか受け入れてもらえない事が多いのが現状です。
例えば患者が『長い距離を歩きたい』と希望があった時、理学療法士は歩行に関するデータや文献を用いますがそこには筋力や歩行速度、応用歩行検査の情報しかありません。
これを歴史の視点から『飛脚』の例を用いたり(長距離移動していた職業)、『履き物』の歴史から話をしたとして、その話を受け入れてくれる医療スタッフはいるでしょうか?
おそらく皆無だと思います。
しかし飛脚はより遠くへ移動する事に長けていた人達です。その例を考察して現代人の歩行へ当てはめることの何がいけないのでしょうか?
むしろ参考になる部分は大いにあると考えます。
他にも保険診療という枠組みも、理学療法士の視点や思考の偏りの原因となっていますがこれは後々述べていこうと思います。