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元祖平壌冷麺屋note(49)
夏がUターンして戻ってきた。対向車線から、恥ずかしげもなく。
娘は、太陽が暑すぎて焼き豚になっちゃうよ、牛だったらステーキになるね、と漏らしていた。
喫茶エルでモーニング。常連さんには、ピアノのお嬢ちゃんと呼ばれるようになった。
娘は終日、冷麺屋で過ごす。夏がカムバックしたためか、行列が閉店まで途切れず。それでも一夏の成果で、ペース配分をしながら製麺できるようになってきた。
娘はハンメと、お客さん(遠い親戚)からお小遣いをもらい、帰り道で、鬼滅くじを引いて、シークレットキャラのキーホルダーを当てていた。
岡女で夕食。たまに会うイタリア人のシモーネさんに、イタリア語であいさつ。再来月からスイスとドイツに引越しして、また日本で仕事が見つかったら戻ってくるらしい。
いつか、自分のクラリネットと娘のピアノと、シモーネさんのサックスで演奏したいですね、とかなんとか話していると、娘がゲラゲラ笑い始めた。
「?」
メモ帳に、何やら一所懸命に書き込んでいた、娘が見せてくれた、文字を読んで、吹き出した。
すきなのリスト。それは、下ネタのオンパレードだった。シモーネさんが、不思議そうにしていたけど、お見せすることはできないやつだった。
娘に、「おしっこ」に、小さい「つ」が抜けているよ、と小声で助言した。
シモーネさんには、娘のマイ・フェイバリット・シングスが可笑しかったんですと説明した。それから、ヴォナノッテ(おやすみなさい)、と言って別れた。