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【カモになる前に知っておきたい】会場ガイダンスのワナ

無料で大学や専門学校の最新情報を入手できる会場ガイダンス。

1学期は高校3年生が中心となり情報を得ようと動く傾向にあり、全体的には来場者は多め。2学期は高校1年生、2年生が中心に高校からの案内を受け参加するものの、平日開催の場合は部活動とも重なり、全体的に来場者数は少なめ。3学期はどちらかというと「会場」ガイダンスはあまり開催されず、高校内での開催が多い傾向にあります。

会場でのガイダンスですが、高校の授業後に無料でバスで会場まで送ってくれた後は、友達と一緒になんとなく聞いたことある大学に着席。そして、やけに親切な対応を受ける一連の展開がありますが、参加する高校生は「クモの巣」に引っかかっている状態に気づいていない場合が多いため、注意が必要です。会場ガイダンスを開催する理由は、大学が生徒を取り込むためです。本日は主催者側の事情も知ることで、どういった姿勢で臨むべきか、その準備を解説させていただきます。

各会場で開催される進路説明会

小さな貸会議室や大きなイベント会場、中にはドームまで定期的に開催される「会場ガイダンス」。

参加する高校生は無料ですが、ガイダンスを主催する業者に料金を支払うために成立します。その金額は、1会場あたり1万円から40万円程度。2020年はコロナによって、1〜6月のガイダンス(高校内のものも含め)が全て中止となり、その期間だけで1億円の損失となった業者(営業所単位)もありました。このようなガイダンスは在庫を抱える必要がないために、仲介業者にとっては大きな収入源となります。

「先生に言われて参加した」は危険

会場ガイダンスであっても、時に「開始2時間は○○高校専用の時間」と高校行事の一環として強制的に参加しなければならない状況もあるかと思います。その場合、高校の先生から「あの大学の説明を聞いてきなさい」と誘い(正確には命令)を受けることもあります。

高校には「進路指導」や「キャリア開発」「探究学習」としてこのようなガイダンスが年間行事に入れていたりもしますが「大学や業者の商売」という本質を考えると的外れで、本当に信じられません(特に私立高校で見られます)。大学側からは「押しに弱い生徒は説得して来させる」と、あの手この手で良いところをPRしてきますし、オープンキャンパスに誘導しようとしてくるからです。

「参加する高校生のための開催」は確かなのですが、運営する仲介業者にも注意です。

例えば高校生が業者のスタッフに「保育系」のある大学を尋ねるとします。
(この時点で罠にかかってしまうのです。)業者は会場全体を見回して「保育のある大学の中から、着席の少ない大学」を探し、誘導するのです。しかし、その大学の良し悪しや適合性を決めるのは、高校生自分自身であるわけで、良さそうな大学だったらオープンキャンパスに行ってみたいと自然と考えるはずです。わざわざ紹介されなくても良いですよね。「ハズレくじ」を渡されたくなければ、本来なら事前に調べておくべきだったのです。業者から紹介されるのは空席だった人気ない大学の場合もあるのです。

ここまで会場ガイダンスの闇の部分をお伝えしてきましたが、メリットもあるものです。それは、進路を強制的にでも考えるきっかけであり、「自分の判断軸を持つ」良い機会といえます。事前準備をしたうえであれば、モチベーション向上のためにも、高校1年生のうちに1回ぐらい参加しても良いでしょう。

時期や天候による影響

会場の種類も様々です。インフルエンザやコロナの状況を考えると、密状態を避けるためにも「天井の高い広い空間の会場」へ向かうことをお勧めします。悪天候のときは本当に湿度が高く、息苦しくなり集中力も途切れてしまいがちです。雨の多い時期は圧倒的に来場者は減ります。また台風など異常気象時も同様です。

以前、5月に開催された会では全体の参加者がたった「7名」といった事態も起こりました(通常、400名程度の来場者数が見込まれる会場です)。これは、開催都市の都道府県がコロナによる「緊急事態宣言下」であったにも関わらず、業者がキャンセル料を支払いたくないために強引に開催したものでした。

時期としては、中間テストが終わった午後と、良いタイミングではありましたが、新型コロナウイルス感染拡大防止のための「緊急事態宣言」の意味を全く理解されていませんでした。高校生は参加を渋るのも当然で、私も大学担当者として業者に前日、1週間前と何度か開催の有無を伺っていましたが、利益重視のためか相手にしてもらえませんでした。

主催業者による悪質な圧力

会場ガイダンスでは時に参加者が全くおらず、本当に開催しているのか不安になる高校生や保護者の姿を見かけます。そんな時、最も悪質に働くのが主催業者です。少しでもお金をもらっているブースへ協力しようと、生徒や保護者に無理やり他のブースに着席させようとするのです。

そんな時は狙ったブースにだけ着席し、すぐに帰りましょう。 もし業者から声がけされても「用事ができた」と言って帰るのが賢明です。特に、1年生を中心にした「分野が決まってない場合」は特に注意が必要です。やはり前述したように、業者から着席が無く困っている大学や専門学校のブースに誘導されてしまうからです。

大学側の面談相手が、公立高校の校長上がりだったら最悪です。話が長い、自分の事ばかり、大学のコース紹介ぐらいしか説明できず、「どう役立つか、なぜそれらがあるのか」など、肝心なポイントまで考え抜かれていない場合がほとんどです。その証拠に高校生の表情から、おじいちゃんの長いお話に合わせてあげている様子だったり、いやいや着席し完全に飽きているオーラ、などすぐ分かるものです。しかし、相手は気がつきません。苦痛で、時間の無駄でしかありませんよね。

この先は、これらの問題を避けるためにも、どんな準備が有効か解説していきます。

会場ガイダンスには事前準備が必要

会場ガイダンスには、当日会場に到着するまでハマってしまうか分からないリスクが潜んでいるものです。ただし、事前準備次第では、大学側の話を聞くことは大きなメリットにもなりますので、ここからはそのポイントを解説します。

大学側へ聞くべき質問内容

本題ですが、会場ガイダンスに参加する前にするべき準備があります。やはり志望校または競合校が参加しするかどうか、必ず事前に調べる必要があります。これらは志望大学のサイトに掲載される場合と、そうでない場合があります。掲載されない場合は仲介業者のサイトやチラシから確認するべきです。

そして、質問内容や他大学と比較したいことを定めておくことも大変重要です。高校生と面談すると、これらの当たり前が大半の高校生にできていないと感じます。そのため漠然とブースに着席し、大学の概要を聞かされ、オープンキャンパス参加を言いくるめられ、嫌な思いを抱くことになるのです。では、どんな質問が有効か。大学側の立場を経験する私が高校生の立場なら以下の観点を尋ねます。

  • 過去3年の進路先と起業支援状況
    :終身雇用の時代は終わっているが、有名企業・難関企業へ入社できる教育力を持っているか確かめるため尋ねるべきです。また、個人として自立し起業する支援の有無は、これからの時代を生き抜くために必要となるため聞くべきです。

  • 4年間の授業の流れと授業名
    :1〜4年でどのように授業が展開されるか、知っておくことで流れを掴むことができます。授業以外の活動への余力や時間を割くことができるか、相互作用が生まれるかなど、他の可能性も検討できるようになるでしょう。

  • 学生満足度調査のHP公開の場所
    :信頼できる口コミとして「学生の声」は聞いておきたいところです。それを掲載していない、調べることができないのは「意図的に隠している」と判断でき、教育内容や支援体制の質は信頼できません。

  • 不本意入学者や意欲喪失学生へのサポート体制
    :一定数、大学へ不満を持つ学生はいます。しかし野放しにするのではなく、フォローする体制をどう整えているか、大学側の姿勢や意図を聞いておきたいところです。入学前は意欲的でも、今の時代いつモチベーションが低下するか分からない時代です。

  • 大学祭の店舗数、サークルと部活の種類と数
    :学生時代の醍醐味となるイベントの規模、日常の学生生活の参考にできます。広報側、大学側として把握していないようであれば、その担当者は失格で、いついなくなるか分からない程度の方のため信用できません。

  • 競合大学(併願される大学)は?:大学側として知っていて当然のため、言いたく無い、言い難いようであればおかしなことです。参加する高校生のためのガイダンスのはずですが、そこが分かっていなければ大学側の視点での説明が延々と展開されることになりそうです。

そしてお勧めする手順は次の5点です。

1)事前質問を表にしておく
2)参加大学を事前に調べ(先生に聞いておく)、ブースに着席。
3)聞きたいこと以外は聞かない、パンフを貰う。家で読むからと無駄な時間を省く。大学側も長時間の面談は嫌がるため、質問が決まっていた方がラクです。
 ※「今は分からない、後でメールやLINEする」にも注意です。個人情報を渡した時点で、しつこく連絡が入ります。質問に答えられない時点で、広報失格であり、入学後の学生生活の体制が不十分であることが考えられます。「では結構です」と塩対応でいきましょう。
4)他大学(希望分野のある他大学)に着席し、同じことを聞いてみる。当日初めて知った大学に行ってみることで視野を拡大させましょう。ただし、鵜呑みは厳禁。あくまでも自分の軸を元に、比較するのです。
5)帰宅後の冷静な頭の状態で振り返り、自分なりの志望順位と理由を明確にする。

他大学との比較のためには各質問項目に1点(悪い)〜4点(良い)と点数化させるのが良いです。時期に応じて好みも変わりますし、パーフェクトな大学はありません。現時点の最適解を算出するには、ご自身の軸を元にした点数化を定期的に行うのがベストです。志望大学がなくても、似た規模で同様の学部を持つ大学が参加するのであれば、比較対象としてブースに着席してみるのも良いです。

オンライン参加の大学もありますが・・・

時にオンラインで参加している大学も見られますが、個室が確保されていないなら帰宅する方が良いです。パソコン1台が置かれ、生徒や保護者が着席すると主催業者がオンライン上で待機する大学担当者を呼び出しますが、普通に会話内容が筒抜けです笑。大学担当者側は会場の様子は分かりませんので、相手に聞こえるようにただただ大きな声で話します。生徒側の悩みや不安を周りにぶちまけているようなものですね。

またオンラインだと「1:1」ではありますが多少、一方通行な説明になります。生徒へあえて考えさせるような会話は難しく、満足度は低くなります。
会場に出向くまで「オンライン参加なのか」は分かりませんが、オンライン接続での相談であれば、電話と同じですので早急に帰宅するのが賢明です。

最後に、少しでも多くの高校生が、大学と業者によるワナに引っ掛からず、自分軸を持ち、納得した人生を歩める一助となれば幸いです。


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