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THE BEATLES SONGSの邦訳タイトルを考察する⑥

「恋を抱きしめよう」(We Can Work It Out)

予告通り今回主に取り上げる予定の6thアルバム「ラバーソウル」はどういうわけか異様に邦題曲が多いので、できるだけサクサク進めたかったのですが、いきなり躓きました。
同時リリースシングルのこの曲です。
分量を考えれば前回のリストに加えるべきだったんだけど、やはり曲調というか「同時リリース」という意味を考えれば「ラバーソウル」の前に置くのが適切だろうと。
ちなみにこのシングルは「デイトリッパー」と両A面(これは死語じゃないみたい)なのですが、レコード会社(およびその他多数)がこの曲をA面に推したところ、ジョンが「デイトリッパー」をA面と譲らなかったため……だからだそうです。

さて本題に入りますが、タイトルを和訳すると「僕らは上手くやることができる」。非常に前向きなメッセージで、ティモンディの高岸のネタである「やればできる!」を英訳するとこんな感じになるのかな。
少なくとも「恋を抱きしめよう」という訳ではない。
というか、いくら「抱きしめたい」が売れたからって何でもかんでも抱きしめりゃいいってもんじゃないや。
歌詞のどこにも「恋を抱きしめる」という描写はないし、そもそも日本語としておかしいんじゃないか、これ?

「ノルウェーの森」(Norwegian Wood)

あまりにも有名な邦題なのでいまさら自分がどうこう言うのもあれなのですが、一応言及しておくと「wood」という英単語は、定冠詞をつけた「the wood」や「woods」という複数形にしない場合は「森」と訳さないそうです。
ここまで続けてきて今更なのですが、ビートルズソングの邦題はすべて高嶋弘之氏のインスピレーションで決まったそうなので、高嶋氏が「森」と言ったら森なのでしょう。
それより、後付けではあるのですが、この邦題はボクが死ぬほど嫌いな作家を思い出して非常に不快なので、会話の中では原題を使うようにしています。

「ひとりぼっちのあいつ」(Nowhere Man)

原題を直訳すると「居場所のない男」。転じて「ひとりぼっちのあいつ」はそれほどおかしな邦題ではないです。
第三者を描きながら、実は自分のことを歌っているという実にジョンらしい一曲です。

「嘘つき女」(Think For Yourself)

これも昔から謎だった邦題の一つです。
直訳すると「てめえで考えろ」。
「自分のことを考える」と訳すこともできそうですが、歌詞の意味を取ると前者のほうがふさわしい気がします(言葉が荒いのはわざとです)。
で、この邦題なのですが、たぶん「You're telling all those lies」(君はいつも嘘ばっかりついている)という歌詞からのインスピレーションかと思われます。
ただどうやらジョージはこの曲で恋愛を描きたかったというより政治批判をしたかったようで、結果的にこの邦題がつくことでテーマが矮小化してしまったとも言えます。
あと、次回掲載予定の「浮気娘」は「娘」なのに、こっちは「女」なのが非常に気持ち悪い。

「愛のことば」 (The Word)

「これ無理に邦題化する必要あった?」シリーズの一つ。
直訳すると「その言葉」。
「その言葉=愛」とネタ晴らしされるのでそれは別にいいんだけど、邦題を当てはめると「愛の愛」になるのでやっぱり下手に邦題をつけるべきではなかったかと。

予想通り一回じゃ終わらなかったな。
次回、B面やります。
ではまた。


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