憂鬱 エッセイ

なんだか、訳の分からぬところにいる気分である。というのも、わたしは一つの精神として、何も為さず、ただ漂うだけだからである。思想みたいな大胆なものは持たないし、変に悟って、なんだかつまらない。わたしは知恵あるものとしてあるわけでもないし、何者でもないのである。ただ何者かになりたいというこの欲求、それ自体を否定しなくてもいいのだろう。
 わたしは何がしたいのか、何を為したいのか、暗がりの中で思想をこねくりまわす乞食みたいだ。つまらない生き方を嫌い、好奇心にまかせて生きたいのである。そういった中で何かしら見いだすのが、哲学者なのだろう。
 わたしは確かに憂いを感じている。その憂いは、わたしを捉え、離さないのだ。勉学に励み、仕事に励んだところで、いつか死ぬのだ。死という事実は、確かにあり、それを見ないように、快楽にふけるだけのようにも見える。だいたい、死というのは観念的なものであり、実質的なものである。いつから、こんなに長い時間生きていたのか?

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