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大学教科書の付録で見つけた高校数学のトレビア

こんにちは。ワクワクと申すものです。

最近、専攻分野の専門書をペラペラめくっていて、後ろの方に、その分野で使う、基本的な数学や物理を解説している付録が気になり読んでみました。

その付録には、高校時代で習った(苦戦した)数学の内容が載っていました。そうだった、そうだったと、懐かしいものを見続けているうちに、妙に関心がぶり返してしまうものです。

改めてその内容を付録で見てみると、覚えたてのころと比べて、より俯瞰した見方で読めることに我ながら驚きました。特に、公式の導出を見ていて、別分野と思っていた分野が実はつながっていたり、覚えゲーで悩ましかった公式たちが、実は導出が簡単だったりして新たな発見があったのが美味しかったです。

今回は、理学書の付録で見つけた、高校数学の新しい発見を共有したいと思います。

以下の内容には、高校数学の「式の計算」、「微分・積分」、「数列」の内容が含まれます。共感できる方が限られてしまいますが、まあ、理系大学生が楽しそうにしてんなーと思って、最後までお付き合いいただけると幸いです。

① 部分積分は、積の微分から簡単に導出できる

部分積分と言えば、被積分関数が2つの関数の積であるときに使うものでした。

$$
\int f(x)g'(x)\ dx = f(x)g(x) -\int f'(x)g(x)\ dx
$$

当時の数Ⅲで習った私は、使うのに必死で、その公式の「出どころ」なんて気にしてられませんでした。これだけ見ると、こうも複雑に見える式が公式として使えるなんて不思議です。

しかし次の瞬間、この公式が一気に平易に感じるようになるでしょう。

積の微分の公式は「積分法」の序盤の方に出てくるシンプルな定理です。

$$
(fg)'=f'g+fg'
$$

こ れ を 積 分 し ま す !!

$$
fg=\int f'g\ dx+\int fg'\ dx
$$

そして、移項してあげると・・・

$$
\int fg'\ dx = fg-\int f'g\ dx
$$

実は、この式に、省略されていた$${(x)}$$を復活させたものが、最初の式となるんです!!あっさり導けましたね。

② 二項定理そっくりなライプニッツの定理

積の微分から導ける公式は、部分積分のほかにも、n階微分したライプニッツの定理があります。

$${fg}$$の1階微分が、積の微分と同じです。では2階微分はどうなるかというと、

$$
\begin {split} (fg)''
&=(f'g+fg')'\\
&=f''g+f'g'+f'g'+fg''\\
&=f''g+2f'g'+fg''
\end {split}
$$

となります。3階微分、4階微分は次の通りです。

$$
(fg)'''=f'''g+3f''g'+3f'g''+fg'''
$$

$$
(fg)^ {(4)} =f^ {(4)}g+4f'''g'+6f''g''+4f'g'''+fg^ {(4)}
$$

これをn階微分まで拡張して、∑を使って表します。

$$
(fg)^ {(n)} =\displaystyle\sum_{k=0} ^n {} _n C_{k}f^ {(k)}g^ {(n-k)}
$$

この形、どっかで見たなー、と思ったら二項定理マンマでしたね!!

$$
(f+g)^n =\displaystyle\sum_{k=0} ^n {} _n C_{k}f^ {k}g^ {n-k}
$$

「微分法」と「式の計算」とで別々に習ったはず内容が、意外なところでつながっていました。

③ 等比級数の公式の出どころは「n乗の差」

最後に、二つの分野の繋がりで面白かったものを紹介します。

「n乗の差」の因数分解

その前に、私が暗記で苦労した因数分解の公式で、こんなものがありました。

$$
x^3-y^3= (x-y)(x^2+xy+y^2)
$$

この公式について、何度も「なんで$${xy}$$に、係数2が付かないんだ・・・!!」と不満を覚えたものです。しかしその不満は、次の段落で解消されることになります。

この「〇乗の差」の因数分解は、実はn乗への拡張が可能で、n=1,2,3,4, nの場合を示すと次のようになります。

$$
\begin {align*} 
x^1-y^1&=x-y \\
x^2-y^2&=(x-y)(x+y) \\
x^3-y^3&=(x-y)(x^2+xy+y^2) \\
x^4-y^4&=(x-y)(x^3+x^2y+xy^2+y^3) \\
{・・・} \\
x^n-y^n&=(x-y)(x^{n-1} +x^{n-2}y+x^{n-3} y^2+・・・+xy^ {n-2} +y^ {n-1})
\end {align*}
$$

こうしてみると、中学校からお世話になっている2乗の差も、3乗の差と同じ式に帰着でき、係数が付かないことも当然のこととして感じられますね。

このn乗の差の公式は後で使うので、存在をお忘れなく。

等比級数の公式の導出

さて、いよいよ等比数列の和の公式を見ていきます。等比数列とは、例えば2から始まって2×3、2×9、2×27、といった、ある数「r」倍ずつ増えていく数列です。その和Snは、初項をaとして、r≠1のとき、

$$
S_n=a+ar+ar^2+・・・+ar^ {n-1} =\dfrac {a(1-r^n)} {1-r}
$$

いやー、この暗記はしんどかったです。どこから湧いてきた計算なのかと。見当もつかなかったです。今回の理学書の付録を読み、導出を知るまでは。

上記のうち、$${1-r^n}$$に注目しましょう。そしてここからが重要です。

$${1-r^n}$$を$${1^n-r^n}$$とみなして、因数分解するんです!!

先ほど扱った、n乗の差の公式に当てはめると、$${x=1, y=r}$$となるので、

$$
1^n-r^n=(1-r)(1+r+r^2+・・・+r^{n-2} +r^{n-1})
$$

となります。ここで、両辺を$${1-r}$$で割って、右辺にある級数の部分を左辺に移動してやると、

$$
1+r+r^2+・・・+r^{n-2} +r^{n-1} =\dfrac {1-r^n} {1-r}
$$

仕上げに、両辺に初項aをかけてあげて完成です!!

$$
a+ar+ar^2+・・・+ar^{n-2} +ar^{n-1} =\dfrac {a(1-r^n)} {1-r}
$$

3乗の差の公式にしても、等比級数の公式にしても、簡単に導出できてしまいました。もっと早く、n乗の差の因数分解に出会っておきたかったです。

終わりに

いかがだったでしょうか。大学で、ある程度数学を扱いなれてきたときの観点というのは、高校で習っていたときよりも、自由さが増しているような感じでした。

現在大学で学んでいることも、いずれは簡単に感じるときが来るんだろうなと思って、しっかり向き合おうと思います。

今回は、かなりコアな内容で、共感が難しいものだらけだったかもしれません。

そんな中、最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございました。

また、なんとなく、勉強してて面白いと思ったものがあれば、随時書きたいと思っております。

またいつかお会いしましょう!!

それでは失礼します。

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