未上場ベンチャーで出資を受けたら準備しておくこと(株主管理)
このnoteで対象としているのは、未上場スタートアップでVCやエンジェルから出資を受けており、株主に社外の人が多数いて、総会事務を一人で切り盛りしている担当者さんの参考になるかと思います。
未上場の株主総会
ベンチャーキャピタルやエンジェルから投資を受けると、定時株主総会、臨時株主総会の開催が必須になってきます。(出資を受けていなくても開催は必須ですが、利害関係者が多い場合は適法に成立させるための手続が厳密で頻雑であります)
ひとり株主&創業社長のスモールビジネスと運営上の大きな違いです。
我が社では、この株主総会事務の依頼を受ける事が多いため、今回はそのポイントをまとめていきたいと思います。
総会前に準備しておくこと
総会というと、まずは今回の議題は?定時であれば決算書類はいつできる?などを考えるとおもいます。
が、そもそも、総会前に整えておくべき重要な事項があります。
①最新の株主名簿
②投資契約に基づいた種類株ごとの承認事項の確認
③自社の招集手続きの期間、書面決議( =みなし決議)でやるのか議決権の代理行使やるのか
※未上場スタートアップを対象としているため、書面等による議決権行使については今回は検討外としています。
今回は①最新の株主名簿についてまとめています。
最新の株主名簿
株主名簿は、会社法上作成が義務付けられていますので、作成していないことはないかと思います。
が、適宜更新されて最新になっているかどうか確認が必要です。
株主名簿の必須事項は会社法の条文に記されております。
が、この内容だけでは運用はままなりません。
以下の項目も合わせ情報の取得、管理が必要です。
また、株主が増えてきた際に、書類作成に差し込み印刷機能を使う事を想定して、データを作成すると良いでしょう。
Excelやスプレッドシートで「
1.株主番号
株券発行時代には株券番号を管理していましたが。現在は基本的に株券を発行しませんので社内管理用番号です。
ユニークであればなんでも大丈夫です。普通に1番から連番で振っていくのでよいでしょう。
同一株主で、多種類の株式を持っている場合は同一としてと、別の番号を振ってもどちらでもよく、管理しやすい方法を選択しましょう。
2.株主名
企業が株主の場合は、役職に注意が必要です。
代表取締役だけではなく「社長」まで必要かどうかなど。
役職に法的効果はありませんが、会社によっては、契約時には必ず記載するなど独自ルールがありますので、先方に確認しておくのがよいでしょう。
3.住所
こちらも企業やVCの場合、ビル名が必須であるか、登記上とあっている必要があるかなど、注意が必要です。
ペーパーレスが進み郵送は減ってきてはいますが、万が一のために郵便番号も取得しておくとよいでしょう。
2.3.については、投資契約や譲渡契約(名義書換請求書)締結の際のサイナー内容と合わせておくのがベストです。
4.取得日
投資契約や譲渡契約に書かれた日付になります。
契約日と払込日が違う場合、基本は払込日になりますので、払込期日を確認する
5.株式の種類
種類株を発行している場合には、株式の種類
6.株式数
保有している株式数
ここまでが、外部に提出する場合などにに必要な内容となります。株主名簿を発行する場合には、ここまでを印刷範囲としておき、下部に以下を記載しておくとよいでしょう。
ここからは、株主総会開催のために準備取得しておく情報になります。
7.先方担当者名
8.担当者メールアドレス
9.招集通知送付方法(メール、チャットツール等)
10.招集通知送付先メールアドレス
11.委任状送付方法(電子契約の種類等クラウドサイン、ドキュサイン、紙)
12.委任状送付先メールアドレス(複数名いる場合や、承認ステップがある場合などは署名順)
13.備考
備考欄には、住所変更や譲渡履歴などを記載
最近は先方担当者とFBメッセンジャーやLINEでやり取りして、招集通知等もそこから送る場合があります。
しかしながら、メッセンジャーで1対1のやりとりになってしまっている場合は、担当者の変更や、社内で進捗が見えない等のリスクがありますので、特別な事情がない限り連絡方法を統一しておくのがおすすめです。
また、総会前には株主の名称や住所に変更がないか確認が必要です。
とくにCVCから投資を受けている場合、代表取締役が変更になることがしばしばありますので、総会前に変更がないか確認しておくことをお勧めします。
大きな調達の承認など、契約の詰めがギリギリになったりと総会開催までの準備期間が超タイトになることもよくあります。
(イレギュラーや、凡ミスなどが意外と発生するものです)
迅速に対応できるように、株主名簿の管理は事前に準備しておきましょう。