【不動産投資】日本政策金融公庫のリフォーム費用の融資について

公庫への融資申込から面談までの経緯をまとめました。
きっかけはこしょーさんの少し前のポストで、これに呼応(「真似」ともいう)するような形で、私自身の経験を詳らかにしたいと考えました。
公庫未経験者の方の何かの参考になるかもしれません。


0 結論

・実績は大事
・当然にやるべきことをやることも大事

1 属性

はじめに属性を説明します。何かを論じようとするとき、自らのポジションを明らかにすることが重要と考えるためです。

(1)配偶者
今回は私の配偶者の物件について融資申込をしています。スペックは以下のとおりです。
〇住所…東京都
〇職業…公務員
〇年収…約650万円
〇不動産投資開始日…2023年1月
〇事業形態…個人
〇規模…首都圏築古2棟8戸
〇満室想定家賃収入…400万円弱
〇借入…住宅ローン約4000万円
    アパートローン約1500万円
〇自己資金…約300万円

(2)私
後述しますが、私の分の資料提出も求められていることから、私の分のスペックも紹介します。
〇住所…東京都
〇職業…公務員
〇年収…約700万円
〇不動産投資開始日…2022年6月
〇事業形態…個人
〇戸数…首都圏築古2棟8戸
〇満室想定家賃収入…500万円弱
〇借入…住宅ローン約2000万円
    アパートローン約3600万円
〇自己資金…約100万円

2 目的

配偶者所有物件の空室2部屋分の原状回復費用として、約100万円の借入を希望しています。

3 理由

手元資金がやや心許ないというのもありますが、一番の理由は「独立した事業として確立させること」です。

具体的に言い換えると、これまでの過程で本業収入からの貯金を相当程度注ぎ込んできましたが、これからは、家賃収入増加(=空室を埋める)のための借入をし、その家賃収入から返済を行っていく、というサイクルを確立していくということです。
本業収入を活用すれば100万円程度の支払はできないわけではありませんが、今後は家賃収入できちんとやり繰りできる体制を整え、「事業」としてのあるべき姿を少しずつ構築していきたいと考えています。

こう書くとめちゃくちゃ当たり前のことを言っているのですが、開始して2年でやっと自分の中で確たる方針を持つに至ったところで、そのきっかけとなったのが、融資がうまくいかなかったという私のポストに対して不動産仙人さんからいただいたリプでした。

4 面談までの経過

以下面談までの経過を時系列で記します。

〇10月1日 相談申込
↓のページからオンライン申込ができます。

申込に当たっては相談先の支店を決める必要がありますが、個人事業のため、自宅の所在地を管轄する支店を選定しました。
相談方法として実地、オンラインのいずれかを選択できますが、出向くのが面倒くさかったためオンラインを希望しました。

〇10月8日 相談(オンライン)
前日に支店担当者からウェブ会議の会議コードがメールで共有されます。
申込時に相談内容を記入する必要があり、担当者もその内容を把握して対応しているためスムーズに進行し、約10分程度で相談は終わりました。

内容としては、融資申込までの手順とスケジュールの案内で、概ね以下のとおりでした。

・融資申込は↓のページからオンライン申込が可能

・申込時に必要な資料は次のとおり。申込時にファイル添付が必要
①企業概要書 
↓からダウンロードして作成します

不動産賃貸業の記入例はないので、それとなく書きました。
②確定申告書
今回は配偶者分なので1期分でしたが、事業期間によっては1期以上の期間分を求められるかもしれません。
③原状回復工事の見積書
④免許証又はパスポート(本人確認資料)

・スケジュールは次のとおり。
申込―(約2週間)→支店での実地面談
  ―(約2週間)→審査結果の通知+融資手続き
  ―(約10日間)→着金

〇10月15日
相談時に指示された資料が揃いましたので申し込みました。
見積書は相談前にほぼ揃っていたので、相談時から大きなタイムラグもなく申込まで行けたと思います。

〇10月22日
支店担当者から電話連絡がありました。日程調整を行い、面談日が10月29日に決まりました。
加えて、追加提出が必要な資料一覧を郵送するので準備するよう指示を受けました。

〇10月24日
資料一覧が速達で届きました。内容は以下のとおりです。
⑤預金通帳
ネット口座の場合は取引明細の印刷が求められます。
⑥借入金の概要資料(返済予定表等)
こちらはアパートローンだけではなく住宅ローン分も求められました。
⑦固定資産税納税通知書と領収書
⑧私の確定申告書と決算書(直近1年分)
企業概要書に配偶者の経営に関する記載項目があり、そこに私の情報を書いたことが影響したと思われます。
⑨レントロール
今回借入を行う物件についてのみ求められました。物件単体の収支を見る目的と推測しましたが、別に損することはないだろうと考え2棟分作成しました。

5 面談対策

役所では法令改正や政策に関して外部から質問を受ける場面に備えて「想定問答」を作成する習慣があります。
面談に際しても、カンペを作らずとも頭の整理だけは付けておきたいと考えていた中で、冒頭のこしょーさんのポストをお見かけしました。

これらの項目について以下の回答を考えました。


Q1 この事業で食べていけるかどうか
A1 現状では難しいが、長期的に規模を拡大しつつ、将来的には公務員を退職し専業を目指している(積極的に退職を志向しているわけではないが嘘ではない)

Q2 本業のお給料で払える金額をなぜ借りるのか
A2 これまでにも本業からの収入を事業に投入してきたが、これからは事業のみで収益構造を完結し、独立した事業としての体裁を整えていきたい

Q3 資産形成のための不動産ではないか
A3 不動産賃貸事業と認識している。本業と両立させながらではあるが、業者選定や物件の維持等の事業活動を主体的に実施してきているところ
今回の融資を活用して空室の原状回復工事を行い新たな方に入居いただき、事業としての収益性を更に向上させていきたいと考えている

Q4 兼業許可を得ているか
A4 職場の基準上では兼業許可を要する規模に達していないため許可は得ていないが、今後、許可が必要な規模に達した時点で速やかに許可申請を行う予定である


6 面談当日

予約の時間に事務所を訪問し、担当者の案内のもと、個室の面談スペースに通されました。
実際の面談では以下の流れで進んでいきました。

(1)資料確認
当日持参を指示されていた資料を提出しました。
インターネット口座については、その場で口座番号や残高を確認できるページを提示するよう指示がありました。
その後、各種資料の内容についての質問に移りました。

(2)企業概要書
目立った質問としては、本業が公務員という点に着目して、
・副業禁止との兼ね合い
・同僚で他に不動産賃貸業を営んでいる者はいるか
といった点を聞かれました。
ちなみに、これまでの十数年の職業生活で不動産賃貸をやっているのを知っている人は2人しか知りません(うち1人は相続)。

(3)レントロール
こちらは売上がどのように立っているのかを確認する趣旨であったと理解しましたが、資料外の話として、
・所有物件の構造や築年数
・物件の購入基準
について質問がありました。

(4)決算書
決算書に関する質問が質量ともに最も大きかったですが、これは、決算書の内容をある程度理解しているか、事業者としての最低限の姿勢を問うことが目的だったと思われます。なお、2人分の決算書は私が作成しているので、私が同席していなければ終わっていました。

・昨年度の決算書の内容
決算上は数万円程度の赤字でしたが、減価償却費が100万円強ありましたのでひとまず受け入れてもらえましたが、突っ込まれたのは「その他の費用」について、他の費目に比べて多額の費用が計上されていた点でした。
こちらは、2件購入したことによる諸経費が重なったことが主な要因と説明し、固定的な出費ではないということで理解が得られました。(計上すべき費目を間違っている可能性もありますが…)

・今年度の決算の着地見込
売上及び減価償却費の具体的な数字見込に加えて、昨年度より支出は下がることから数十万円の黒字を予定していると答えました。
この部分については後で深堀ります。

(5)融資条件
主に手続上の話で、
・元本返済の据置期間は必要か
・契約方法は紙と電子どちらを希望するか
・審査、審査結果の伝達及び着金までのスケジュール
・返済期間の希望
・利率
について説明がありました。

以上で面談は終了しました。面談時間は45分程度で、終始淡々と進行していきました。
結果として、用意していた想定問答の出番はほとんどありませんでしたが、別の機会に役に立つこともあり得ますので、今回をきっかけにして整理できたのはよかったです。
また、配偶者の物件に関する面談に私も同席する形となりましたが、私が口を出しても特段気にされている様子はなかったです。

7 面談後

〇11月5日(面談から5日後)
担当者から電話で連絡があり、兼業許可の取得状況についての確認がありました。
こちらは面談時にも説明しましたが、公務員が不動産賃貸業で兼業許可を要する規模に達していないため許可は得ていない旨説明しました。

〇11月6日(面談から6日後)
担当者から電話で連絡があり、以下の条件で融資承認とのことでした。
・融資額 申込金額の満額
・利率 固定1%台
 女性の起業支援?の枠組を利用できたとのこと
・返済期間 5年
・融資日 11月20日

8 振り返り

面談時に感じたことや反省点を振り返っていきたいと思います。

(1)ほぼ決算書しか見てない
はじめに面談のところで書かなかったエピソードを紹介します。
今回2部屋分の原状回復工事費用に充てることを予定していましたが、近日中にもう1部屋空きができることが分かっていました。
そのため
「担当者にその分を追加することは可能か」
「仮に今回融資となったとして間を置かずに別の融資を申込むことは適切ではないと相談時に聞いているがどうか」
といった質問をしたところ、担当者から、短期間で別融資に応じることは難しいというのはそのとおりとした上で、そもそも
「この決算書の内容では〇万円が限度」
という話がありました。

この言葉を聞いて、決算書の内容で既に大勢は決していたのかなという印象を受けました。
融資を受けるためには、融資先として足りる何かを証明する必要があり、その証明の最も分かりやすいものが、これまでの事業活動でどの程度の数字をあげたのか、それが明確にされた決算書ということなのだと感じました。
見込の話であれば、(もちろん仮説の精度の高低はありますが)何とでも言えてしまうので、実績という確固たるものがあると話は全然違うのではないかと思います。

(2)年度途中の試算表を作成するべき
決算書に関する話と地続きですが、来年度の着地見込について質問した面談時の担当者は、
「昨年度は臨時出費が理由で赤字になったことは分かった。じゃあ今年度は黒字になるはずだよね」
ということを確認しにきていたのだと思います。

ここで面談時によくなかったことは、疎明資料がない状態で大体の感覚で今年度の着地見込を答えてしまったことです。
持参資料で提示されていなかったというのもありますが、元々作成していなかったので、少なくとも融資申込の事前には作成しその内容を正確に把握すべきだと思います。

(3)これって色んなコラムで書いてある内容じゃね?
読まれた方は気づいたと思いますが、全然大した話じゃないんですよね。
言い換えると、無料で情報収集できる範囲で習得できる知識ということです。

私は横着なので、知識としては分かっていても行動には移さず、実際の場面で痛い目を見てその重要性に気付いたというわけです。
いずれにしても、机上の知識に実感が伴う経験ができたのはとても勉強になりました。

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