観劇ねこ

ミュージカルが好き。音楽と「ことば」に注目し、気になる作品は英語版もチェックします。英…

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ミュージカルが好き。音楽と「ことば」に注目し、気になる作品は英語版もチェックします。英語の勉強もかねて気づいたこと、その他ミュージカルに関すること色々書きます。

最近の記事

小説「帝冠の恋」感想:ゾフィーの物語

『帝冠の恋』 須賀しのぶ 著 徳間文庫 ミュージカルエリザベート観劇後、SNSで流れてきたこちらの小説。 これを読むと物語の内容理解をより深くめることができるということで読んでみた。 ミュージカルではシシィ(=エリザベート)と折り合いが悪く、伝統としきたりを重んじる「悪役」として登場する義理の母ゾフィ。そのゾフィの若かりし頃の物語なのだが、この小説を読むとまた違った視点からゾフィという人物を見ることができる。 賢く、自由奔放な少女時代から描かれるこの物語は、最初読み始め

    • 舞台「しびれ雲」 感想

      ケラリーノ・サンドロビッチさんの戯曲「しびれ雲」を観に行った。初めての本多劇場、上演時間3時間半という大作であったが、長時間であることを感じさせることなく、没入した。 SNSでの感想を見ると「多幸感」という言葉がたくさん見られる。私も見終わった後、あたたかい、幸せな気持ちになった。 この多幸感は何なんだろうと考えたところ、「ダイバーシティ」が1つのキーワードなんじゃないかと思う。この作品に出てくる人は本当に色んな背景があって、家族構成だけみても ・3世代同居 ・母娘2人暮

      • ミュージカル エリザベート 初見感想

        10/31 ソワレ (花總、山崎、佐藤、甲斐、香寿、上山) ついにエリザベートを観た。もっともチケット入手が困難といわれる人気作品。その楽曲はコンサートでもさまざまな人に何度も歌われ、色々知識はあったし、DVDも出ていたが、何となくタイミングを逃して本当に初見となった。 定期的に再演され、チケットが取れない人気作ということで、「レ・ミゼラブル」とか「オペラ座の怪人」などをイメージしていたが、これはいわゆる「一般受け」する作品じゃないのではという感想。暗い。私は全然嫌いじゃ

        • 観劇振り返り2022年10月

          10月の観劇は3本。引き続き財政緊縮期なので、全てB席での観劇。そんな中、劇団四季のチケット値上げのお知らせもあり、ますますチケット代が高くなるのではという予感も。やむを得ないことであろうし、作り手サイドの方も十分な報酬を受けてほしいと思いつつも、毎回S席で観るのは厳しくなるかもしれない。 10/16 キンキーブーツ@シアターオーブ  あのシアターオーブがほぼ満席!すごい盛りあがりだった。とにかく楽しくて誰でも楽しめる作品。城田さんローラ、華があった。身長があるので舞台映え

        小説「帝冠の恋」感想:ゾフィーの物語

          ミス・サイゴン Please

          作:アラン・ブーブリル クロード=ミッシェル・シェーンベルク 日本語訳詞:岩谷時子  この曲もあまりメジャーな曲ではないですが、ミスサイゴンで最も好きな歌のひとつです。メロディーも美しく、ベトナムから帰国後のクリスとジョンについて知ることのできる、ストーリー上も結構重要な曲。 (JOHN) PLEASE - HE WENT CRAZY WHEN HE LOST YOU SPOKE TO NO ONE FOR A YEAR THEN HE FINALLY SAID "I'M

          ミス・サイゴン Please

          観劇振り返り(2022年9月)

          8月に観たい作品が重なってしまい散財したのと、来年年明けからすごいスケジュールになりそうなので今月は観劇は控えめに、行ってもB席で節約モードでしたが、それでもトータル3回観劇しました。 ★ピピン@シアターオーブ 森崎ウィンくんのピピン、良かったです。 どちらかというと、歌よりダンスやアクロバットで魅せるタイプの作品かと思いました。「自分探し」の物語ですが、自分以外のものに注意が向いけた時、探しているものは自分のすぐそばにあったことに気づくという点、先日観たダディ・ロング・レ

          観劇振り返り(2022年9月)

          ミス・サイゴン Let Me See His Western Nose

          作:アラン・ブーブリル クロード=ミッシェル・シェーンベルク 日本語訳詞:岩谷時子  キムがトゥイを撃った直後、エンジニアに助けを求めるシーンで歌われる曲。日本語訳がないので、英語の歌詞のみ見て気づいたことを。 この歌、元々はジジ (キムと同じバーで働くバーガール)が歌う、Movie In My Mind (我が心の夢)のメロディーが一部、リプライズとして使われています。「自分には手に入らない幸せを夢見て」歌う歌。 ちなみにレ・ミゼラブルの「夢やぶれて」と雰囲気も内容も似

          ミス・サイゴン Let Me See His Western Nose

          ミス・サイゴン Why God Why

          作:アラン・ブーブリル クロード=ミッシェル・シェーンベルク 日本語訳詞:岩谷時子  日英楽曲比較、次はミス・サイゴンにします。 オリジナルの脚本・作曲を担当したアラン・ブーブリルさんは、訳詞への要望がとても厳しく、日本語訳詞を担当した岩谷時子さんはとてもとても苦労なさったとか。 「1音1文字」(=1音1音節) は鉄則、しかも発音もできるだけ英語に近づけるという条件を満たすため、情報を厳選し、それでいて全体の意味がわかるよう、表現を変えている部分もあるので、英語の原文を見る

          ミス・サイゴン Why God Why

          ミュージカル ダディ・ロング・レッグズ日英楽曲比較12 マイ・マンハッタン

          My Manhattan 音楽・詞 ポール・ゴードン 訳詞 今井麻緒子 こちらの「マイ・マンハッタン」は私が持っている日本語版CDには収録されていません。なので、「日英比較」ではないですが、英語部分で知らない単語がたくさんあったので、気になった部分を調べてみました。 (Jervis) The Algonquin  (Jervis & Jerusha) ...is the rage Caruso on the stage (Jervis) Write a page ab

          ミュージカル ダディ・ロング・レッグズ日英楽曲比較12 マイ・マンハッタン

          ミュージカル ダディ・ロング・レッグズ 日英楽曲比較11

          「なりえない男」The man I'll never be 音楽・詞 ポール・ゴードン 訳詞 今井 麻緒子 ナイツテイルにも「後ろめたい男」や「悔やむ男」(新版)という歌がありますが〇〇な男シリーズ(笑) 何となく内容も似ています。 imposter 詐欺師 ペテン師 「ついた嘘の湖で」がナイツテイル味を感じるというか、文学的な表現で好きです。英語部分の直訳は「自分の嘘の波に溺れている」 英語版だと"Like the lady of the lake"というフレーズが

          ミュージカル ダディ・ロング・レッグズ 日英楽曲比較11

          ミュージカル ダディ・ロング・レッグズ 日英楽曲比較10

          「幸せの秘密」The secret of Hapiness 音楽・詞 ポール・ゴードン 訳詞 今井麻緒子 脚本・演出 ジョン・ケアード 物語の中でもっともメッセージ性が強い重要な曲の1つ。 「見つけた、幸せの秘密」というフレーズが繰り返され、幸せでいるにはどうすればよいか、色々なアイディアが出てきます。「過去を悔やまない」とか「未来を恐れない」とか。 でも、英語版の歌詞を見て、すべては最後に集約されてるんだ!と気づきました。韻を踏んでいる"Clear", "Near",

          ミュージカル ダディ・ロング・レッグズ 日英楽曲比較10

          ミュージカル ダディ・ロング・レッグズ 日英楽曲比較9「他の子たちとは」

          他の子たちとは Like other girls (Reprise) 音楽・詞 ポール・ゴードン 脚本 ジョン・ケアード 訳詞 今井麻緒子 短い曲ですが、好きなので取り上げてみます。 手紙に自分のことが書かれているので「養育者としての仕事なのか、盗み読みなのか」と迷うジャーヴィスの心情を歌っています。 私としては「盗み読みでは…」とツッコミたくなりますが(笑) ジャーヴィスの英語は難しい。ジルーシャの英語と明らかに違う。 もちろん大人ということもありますが、教養人の英語

          ミュージカル ダディ・ロング・レッグズ 日英楽曲比較9「他の子たちとは」

          ミュージカル ダディ・ロング・レッグズ 日英楽曲比較8「あなたの目の色」

          「あなたの目の色」The Color of your eyes 音楽・詞 ポール・ゴードン 訳詞 今井麻緒子 ジルーシャのルームメイト、ジュリアの「叔父さん」として大学を訪れるジャーヴィス。ダディにあてた手紙の中で突然の訪問者(=ジャービス)について語る歌。 最初にCDを聴いた時、気づいたのが「目の色」の違い。 日本語では「見つめる、茶色い瞳」となっているところが "Oh, and his eyes are both blue by the way"で「青い目だったのか!

          ミュージカル ダディ・ロング・レッグズ 日英楽曲比較8「あなたの目の色」

          ミュージカル ダディ・ロング・レッグズ 日英楽曲比較7

          先日観たミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ」がとても良かったので、英語版のスクリプトをみながら、英語と日本語の歌詞の違いをまとめています。 「いつ会おう」When Shall We Meet? 音楽・詞 ポール・ゴードン  訳詞 今井麻緒子 ジルーシャには一方的に手紙をもらうだけで返事は書かないと言っていたのに、返事を書きたくてたまらないジャーヴィス。 for a man who loves to correspond というのが意外でした。 手紙を書くのが嫌いなの

          ミュージカル ダディ・ロング・レッグズ 日英楽曲比較7

          ミュージカル ダディ・ロング・レッグズ 日英楽曲比較6 ジルーシャが知らなかったこと

          「知らなかったこと」 Things I didn't know 音楽・歌詞 ポール・ゴードン 日本語訳詞 今井麻緒子 周囲の裕福な家庭出身の女の子が知っていることを自分は何も知らないと、ダディへの手紙で語る歌です。日本語版に入ってないもの、変更されているものがかなりありました。 知らなかった ヘンリー八世が何度も結婚したの 知らなかったわ 人間がもともと猿だったなんて 信じていた『エデンの園』は本当にあると 読んでない『戦争と平和』 エウリビデスの『エレクトラ』も 会って

          ミュージカル ダディ・ロング・レッグズ 日英楽曲比較6 ジルーシャが知らなかったこと

          ミュージカル ダディ・ロング・レッグズ 日英楽曲比較5

          「他の子のように」Like Other Girls ダディ・ロング・レッグズの中で最も好きな曲の1つです。 最も大きな違いは 日:りんごの        パイを焼く 英:Make lemon pie         Like other girls 「レモンのパイを焼く~」よりも、りんごのパイの方が日本人に馴染みがあったから?「りんごのパイ」の方が歌いやすそうでもありますね。可愛らしいし。 誰もわからない いつも お下がり  それも大嫌いな子から You can't

          ミュージカル ダディ・ロング・レッグズ 日英楽曲比較5