EricksonA

奈良県のErick's Counseling Roomの心理カウンセラーです…

EricksonA

奈良県のErick's Counseling Roomの心理カウンセラーです。小説を書くことが趣味です。小説は「田乃中保護司の事件簿 絆」「ドラッグ 等々力観察官の事件簿」、「駄菓子屋の銀じいさんの夏休みの宿題」を出版しています。これからは自由に書いていこうと思っています。

最近の記事

海岸の葉っぱ

富山県にある砺波海岸に葉っぱがひとつ、砂浜に刺さるような形で打ち上げられていた。 どこかの木から落ちてきたものが偶然刺さったのだろう。 人々はそう思った。 実はそうではなかったのだ。 ある日白い鳩が大きな木の枝に留まって毛づくろいをしていた。 そのとき風が偶然吹いてきて鳩が留まっていた足先に大きな葉っぱが一枚ひっかかった。 鳩がそれを見て、嘴に挟んだ。 風がぴゅーんと吹き、枝を揺らしたので、鳩は飛び立ち、そのまま海岸あたりを飛んでいた。 嘴からするりと葉っぱが抜け落ち、

    • 不思議なお菓子屋さん

       5年2組の教室、ぼさばさ頭の健太、三角顔の庄一、おじさんのように太った克也、そしていつも教室のすみっこにいる静子の4人が居残りで宿題をしていた。 「ああ、俺たち進歩しないよなあ」と克也がため息をついた。  担任の達川先生がやってきて、 「もうみんなできた。」と言いながら4人の間を一周して、 「今日はこれで帰りなさい。明日から宿題忘れるんじゃないぞ。」 と言って4人を見回した。    この4人はクラスの中では何をやってもだめなやつと思われていた。  そのせいかなんとなく気が

      • レモンの島

         四国の瀬戸内海の小さな島にレモン畑ができていた。 島の斜面を利用して作られたレモンは何十年もその地に植えられていた。 レモンってもともと外国産なのにどうしてこんな小さな島にレモンが植えられたのか不思議だった。  小学校6年生の健一は、父親から初めて一人旅の話を持ちかけられたときはびっくりした。  同じクラスの友達に祖父母のところへ一人飛行機に乗って行ったという話は聞いたことがあった。  しかし、健一にはそんな話は自分には関係のない出来事と思っていた。  まさか自分

        • 写真館

          ある高台の町に高齢の晋作さんが住んでいました。 晋作さんは3年前に妻を癌で亡くし,失意にうちひしがれ,近所の人達とも会話もなく,孤独な生活を送っていました。 晋作さんは重いうつ病に罹っていました。 食事も満足に取らず衰えていく様を近所の人は心配して,精神科医のエリクに相談したのでした。 エリクは晋作さんと診察室で会いました。 「初めましてエリクと言います。あなたの手助けをできればと考えています。毎日きっちり食事をとっていますか」 「食欲がありません。食事がおいしくないの

        海岸の葉っぱ

          僕が書き始めるとき

          はじめに これは誰だろうか。ミルトン・エリクソンという人物だ。 全米催眠療法学会を設立した催眠療法の筋では有名な方です。 「その写真を出しておまえは何をするんだ!」 最初から叱られてしまった。 私はericksonAと名乗っているが、Milton.H.Ericksonその人の名前を借りた。 「一体、エリクソンというのはどんな人物なんですか。」 「あなたが、名前に冠したいほど気に入っているその人の功績が知りたい。」 実は、私自身もエリクソンの功績はよくわからない

          僕が書き始めるとき

          Erick’s Counseling Roomをやり始めたわけ

          私は、元法務省の保護観察官だった。 勤続37年、長いと言えば長いし、短いと言えば短い。何とも中途半端な年数。 「保護観察官って名前は聞いたことはあるけど、一体どんなことをする仕事かい」 そういわれると思う。保護司は最近、「前科者」という漫画やドラマ、映画で注目を集めた。その保護司と一緒に犯罪や非行者の処遇を担当する国家公務員だ。 保護司の上司という見方をされるが、うーん。有村架純がペコペコ頭を下げているのが保護観察官だけど、上司ではない。同僚だけど、一応保護司が所属す

          Erick’s Counseling Roomをやり始めたわけ