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ep26 榎谷の悲劇② (探報)

過去記事 榎谷の悲劇①

 2024年1月7日。この日は第70回十津川村駅伝の開催日であり、私は補欠要因として十津川村内で待機しておりました。70年の歴史ある駅伝大会で、十津川村に7つある各区が競い合う伝統的なレースです。

沿道にはほとんど人がおらず、ほぼトンネル走るコースもあります。昔の国道168号線はトンネルが少なかったので、川に沿って蛇行するコースで距離の長い駅伝大会でした。最近は道の整備が進み、直線的にトンネルが掘られているため、その中を走ることになります。

私の所属する四村区は合計3チーム出ており、Aーチームが今回2連覇の優勝を飾ることができました。里帰りして走る人もいたりするなど大変盛り上がります。

榎谷の遭難事故

 さて、駅伝大会が終わって時間があったので、前回書き記した榎谷に行く時間が出来ました。
最初に言うと目的地まで行けなかったのでのですが、多くの情報が集まりました。続編を書き残します。

 村境のある伯母子岳から、清水ヶ峰に向かう途中、山天辻と言う場所があります。昭和5年4月、旧制中学郡山中学校の生徒5人と教員2人が伯母子岳からの下山ルートを間違えたのか分かりませんが、榎谷へ迷い込みました。野迫川から伯母子岳に登っていたので、単純な道間違えだったのかどうか分かりません。
当時は4月でしたが、雪が降り低体温になったり、山小屋へ避難するも教員1名、生徒2名の合計3名の犠牲者が出ました。現在もその場所には石碑が建てられていると聞いています。どうしても見たかったので、地元の高齢者の方にお話を聞き行って参りました。
※訂正、旧制中学(郡山中学)生徒6名と教員1名

榎谷へのルート

 榎谷は村境北部のルートが水源となり、神納川へ注ぎます。紀伊半島大水害後、多くの崩落箇所が確認され、下流域は川砂利が押し寄せだだっ広く、水は伏流水となっています。山天集落から榎谷までは地図上にない道があります。時々釣りに入る人がいるので、踏み跡もあり、奥には村有林もあるそうなので、所々目印のテープが巻かれています。

反対側の集落は内野
ネットに引っかかって死んだ鹿の遺骸
伐採時に使われていたと思われる
ここは元々田んぼがあったそうです。
西郷隆盛が島流しになって幽閉されていた小屋🛖を思い出す

 集落から山沿いにしばらく進むと、谷で道が消えてしまいます。途中から河原に出て、ひたすら上流に歩いて行くのですが、今回は水に行く手を阻まれ、川渡りの準備をしていなかったのと、愛犬を連れていたので引き返すこととしました。

石垣は強く逞しい。今も微かに道ありかを示します
川渡りできずここで終了です。目的地はもっと奥です。

  地元の方によると、川沿いの少し平らなところに大きな石碑があると聞いていたので、それらしい場所をチェックしながら進みましたが見つけることができませんでした。

村境山天辻から山天集落へ向かう左下の谷が榎谷
今回歩いたルート。ガレ場、倒木、川渡りで前に行けず
もう少し奥に古いモノレールと小屋、石碑があるはずです

収穫なく戻ることとなったのですが、初めて行く場所でもあり、熊がよくいる谷ということでドキドキ感がありました。

帰り道に見つけた田んぼ跡。住居もあったのでしょうか。
今も現役らしいモノレールです。

 山天集落に戻って、知り合いの高齢者の方にお話を伺うと、私が行った先ずっと奥に石碑があると言うことでした。手前で折り返した様です。昔は岩沿いに道があったそうですが、今はほぼ消えています。

 河原に降りてすぐ右手に村有林へ続くモノレールがありましたが、さらに奥に進むと、もう一つ山小屋があり、モノレールがあるとのことです。その辺りに石碑があると伺いました。

 この場所で釣りキャンプをしている記録を見つけました。水害より10年程前の結構古い貴重な記録です。当時は山小屋に住み込んで山仕事をしている方がいた様です。モノレールのレールが写真に写り込んでいたのでこの場所で間違い無いでしょう。
https://4travel.jp/travelogue/11593929

 帰り道、車で知り合いの方とすれ違う際、地元の人なので話を伺ってみると、、、なんと!

「石碑を見たことがある」

と言うではありませんか!釣り好きな方で、かなり前になりますが、その場所を訪れたということです。
確か堰堤があったような…ということなので今度行く時は愛犬に留守番していただき、川を歩けるような格好で行く必要がありそうです。

 今回は目的地の石碑に到達することはできませんでしたが、おおよその場所がわかったので、再チャレンジしたいと思います。村境に関連して探報したい場所が増えるのもこの企画の醍醐味であり、安全意識にもきっと役立つはずです。

 ただ、次回1人で行くには気持ちは悪い場所なので、誰か興味のある人がいらっしゃれば一緒についてきてください。

よろしくお願いします。

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『活訓悲話 噫山の犠牲』
どれだけ探しても出て来なかったネット上の情報ですが、書籍が残っていました。久しぶりに古い本を買って読もうと思います。
目次を見るだけでおおよそのルートや当時の様子が想像出来ます。

https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=439704485

『7人同行』
以前地元の高齢者が語った7人で出かけるもんじゃ無いと言ってた意味が分かりました。なるほど。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%83%E4%BA%BA%E5%90%8C%E8%A1%8C

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