子宮全摘出 手術後〜翌朝
遠くから、私を呼ぶ声が聞こえて目を開けた。
「終わりましたからね」
「え?」…一瞬何のことかわからなかった。
そうだ、手術していたんだと思い出して「記憶がない」と呟くと、「記憶があったらそれは困ります 笑」と主治医。
ぼんやりしながら、手術は無事終わっていること・癒着があり予定より時間がかかったこと・摘出した子宮は筋腫だらけで1kgほどあったこと・家族には電話で連絡済みであると教えてもらう。
時計を見ると17時だった。時間にして4時間ほどか。
とにかく、終わったんだ...と安心し、ここからまた記憶がない。再び眠ってしまったようだ。
次に目が覚めたのは、病室。
何だか色々な管が身体から伸びて、身動きができず喉が痛い。さらに酸素マスクと、血栓防止のフットポンプが装着されていた。
腕が動いたので、枕元の時計を見ると22時である。時計は簡易なものがあると便利と入院経験のある友人に聞き、ダイソーでデジタル表示の300円(電池別途)のものを購入した。スマホも鍵付きのセイフティボックスに入れていたので取り出せず、長い夜に時間が把握できる時計を持参して本当に良かった。
やたらと暑く、かつ毛布で包まれているようで、うまく動けずモゾモゾしていたらそのうち看護師さんが血圧を測りにやって来た。
暑いと訴えると電気毛布を除けてくれた。真夏だが、術後の体温低下防止とのこと。これで少し体を動かせるようになった。
喉が痛くうまく発声できないが、前日の麻酔科レクチャーで喉に管を入れるためそのような事はあると聞いていた。数日で戻るそう。
なんだか吐き気がしてきたので、トレイのようなものをお借りする(のちに、ガーグルベースンという名称だと教えてもらう)
切開した部位の痛みは感じない。痛みが出てきたら、管につながっているポンプのボタンを押すように言われる。押すことで鎮痛剤が背中から注入されるらしい。
痛みはないが眩暈と息苦しさと吐き気のコンボで辛かった。吐こうとしても絶食で胃液しか出ないし、寝返りもうまく出来ずに目を瞑ってウトウトしてはまた覚醒しての繰り返し。
何よりお腹に力が入らない。
じっとしているとフットポンプのプシューという音が規則的に聞こえる。意外と足マッサージャーのようで悪くない。
と、フットポンプのアラームが鳴り出して止まらず、初めてナースコールボタンを恐る恐る押してみる。時間は午前1時。やって来た看護師さんに「夜分に申し訳ありません」と言ったところ「なかなかそんなこと言われた事ないです 笑、気にしないで呼んで下さいね」と優しく対応してくれる。弱っているのもあるが、皆さんが女神のようである。ナースステーションには男性看護師も結構居るのだが、婦人科患者は女性看護師が担当しているようだった。
夜明け前にだんだん腹部が痛みだして、鎮痛剤のボタンを押す。
血圧がかなり低かったようで、定期的に血圧測定がなされ、朝5時には横になったまま採血。
長く辛い夜だったが、外が徐々に明るくなってくるのを励みに過ごした。