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子宮全摘出 開腹手術当日

「おはようございます、◯月◯日◯曜日、朝6時です」とのナースコールで起床

ついに当日である。今まで、生理が辛かったな..色々あったなと少し感傷的になる。大きな筋腫が鈴なりで、今まで子宮もさぞ大変だったことであろう。
9時までは水分を摂って良いのだがあまり喉も乾かない。
看護師さんがやってきて検温や血圧測定をしたり、主治医も様子を見に寄ってくれた。
ワンピースのような手術着に着替える。パイル生地でなかなか着心地が良い。
その後は私が一番恐れていた浣腸である。
なぜ恐れていたか、普段からお腹の調子がすこぶる良いので下剤の世話にもなったことがないからである。不自然に浣腸などしたら、お腹が痛くて大変なことになるのではという不安があった。
前夜から下剤で対応する病院もあるようだが、こちらの病院は下剤ではなく浣腸という工程らしい。
観念しているとひんやりした水分がお尻から吸収され、あっという間にお腹がギュルギュルと痛くなってきた。部屋のトイレへ駆け込む。
そうすると看護師さんによる排便確認もあるので、出たら呼ぶようにというではないか。人の排泄物をチェックする看護師さん、なんて過酷な仕事なの...
さて、お腹の中のものが出尽くしたところで仕方なく看護師さんを呼び、心を無にしてチェックして貰う。
悪夢のような一連の工程が終了したら、今度は点滴のセットをしてしばらく待機。
予定は13時ということで、貴重品入れに鍵を掛けたり仕事用のスマホで軽く業務チェック。今更ながら業務ステータスを「しばらく連絡不可」に変えたりしていた。今更ではあるが。
13時少し前に看護師さんのお迎えで一緒に手術室へ向かう。
手術室の入り口で、手術担当看護師さんとバトンタッチ。昨日の麻酔科医と主治医も含めて皆さんが優しく迎えてくれる。婦人科の手術ゆえか、全員が女性なのも何だか安心である。
手術台は意外と小さく狭い。横になると、音量控えめでおしゃれで軽快な音楽が流れているのに気がついた。「何かする時は必ずお声がけするので安心してくださいね」と、リーダーの看護師さんが心強い。そうか、チームのリーダーは対外的に安心させる役割もあるのだなと同じような職責の自分を顧みる。
まず硬膜外麻酔の管を入れるため背中を丸めていると、ひんやりした感触。これは管を入れる前の麻酔とのこと。
次に「少し痛いですが、すぐ終わりますよ」と、キリッと痛む感覚があり、これで管が入った模様。
「では眠くなるお薬を点滴で入れるので、楽にしていてくださいね」まな板の上の鯉みたいだなぁ、と思ううちになぜか脳内で椎名林檎と宮本浩次の[獣ゆく細道]がリフレインし、ここで記憶が途絶えた。文字通り、あまりに丸腰だったからだろうか。

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