4月に読みたい学級経営「♯1 自分の思いを,自分の言葉で」
教育探究所Piste Stories(ピスト・ストーリーズ)
学級経営について,これまでの知識や経験から得た知識や具体的なノウハウを書いた記事です。元小学校教諭が16年間,学校現場で積み重ねてきた実践を踏まえて,毎周2000〜3000文字の記事を配信しています。
本屋には学級経営の本や雑誌が棚にズラリと並び,インターネットで検索すれば夥しい数の件数がヒットします。この探究所では,具体的な方法や実践よりも「考え方」を重視した内容をお届けしています。なぜなら,学校現場において「絶対的な正解」が存在しないからです。表面だけを取り繕っても,上手くいくどころか逆効果になってしまうことだって当たり前のようにあります。だからこそ,私自身が失敗してきた経験も含めながら「どのような考え方で」という部分をしっかりと押さえた上で,方法や実践例を伝えていく必要があると考えています。
記念すべき1本目の記事は,始業式(入学式)を迎えるにあたってのマインドや考えておくべきことを中心にお話しします。
4月1日,緊張感とリラックスムードが絶妙に混じり合う空気の中,担任・校務分掌の発表でスタートした新年度。自分の担当や同じ学年を組む先生は知っていても,やはり実際に始まって動き出すと気が引き締まりますね。
目次
教育探究所Piste Stories(ピスト・ストーリーズ)
🟧始業式(入学式)までは,時の流れが3倍速‼️
🟧必要なのは「◯◯◯◯て,◯◯にすること」
①自分が学級で大切にしたいこと
②自分の教育観
③校務分掌に対する今年度の目標
🟧エンディング&次回予告
🟧始業式(入学式)までは,時の流れが3倍速‼️
子どもたちは春休みとはいえ,年度はじめの1週間は本当に怒涛です。鬼のように怒涛です。アニメワンピースのスリラーバーグの終盤で,ゾロが「災難ってのは立て続けに襲ってくるものだ」というようなセリフがあったと記憶していますが,まさにその通り‼️
準備しなければならないことはエンドレス。
大事にしたいのはマインドフルネス。
もっとじっくりすればいいのに・・・際限なく働き続ける先生たち。私も現役時代,始業式までは起きている時間は,ほぼ学級経営のことしか考えていませんでした。もちろんそれには理由があります。
✨✨1本目今回は,全て無料公開しています✨✨
みんなわかっているんです。
この1週間での準備や計画が「1年を左右するんだ」ということを。
だから,力のある先生たちがこぞって4月5月に全力投球をするのです。
まぁ子どもたちと出会ってから考えればいいでしょ・・学級経営はそんなに
甘くありません。働き方改革など教員の労働環境が世間では話題になっています。それに逆行しているようですが,事実そうなのです。仮に,楽観的に構えてあまり準備をしている中堅・ベテランの先生が職場にいたらしっかりと見てください。仕事ができる・結果を出している・同僚からの信頼があつい先生は,適当にやっているように見えて,実はめちゃくちゃ考えています。物理的な準備はしていなくても,脳内ではきちんと組み立てて準備をしているはずです。
・・・そうでなければ,本当にただただ楽観的な先生です笑
🟧必要なのは「◯◯◯◯て,◯◯にすること」
新年度の春休みに,最もリソースを割きたい業務は
「考え抜いて,言葉にすること」です。次から次へとやることは降り注いできます。それらをきちんと分類して「考え抜いて言葉にする」という時間を確保しなければ,いざ始業式!となった時に,
・・・ヤバい,大切な部分が曖昧なままだ・・・という状況に陥ります。
物理的な準備さえできていれば,最初の3日くらいはなんとかなります。
ですが,「考え抜いて言葉にする」ができていなければ確実に,いずれ少しずつボロが出てきてしまいます。逆に,物理的な準備は最低限あれば,意外となんとかなるとも言えるのです。
では,「何を」考え抜いて言葉にすれば良いのでしょうか?
①自分が学級で大切にしたいこと
学級経営において,担任のここがブレないことが一番重要です。
あなたがこの1年,自分の学級で一番大切にしたいことは何でしょうか?
それは,なぜでしょうか?
そうすることで,子どもたちがどのように成長していくのでしょうか?
学級開きの際に,自分の中でこれらの問いに対して明確な答えがあるか。
「こんな感じ」ではなく,考え抜いた言葉にできていることが第一歩です。
ついつい,配布物や座席,給食・掃除などの学級のルールなどをどうするかという目の前の問題に追われてしまいます。集中して,これだけを考える時間を意図的に作らなければ,絶対にそのような時間はやってこないということを知っておきましょう。
②自分の教育観
担任は自分の教室で子どもたちだけと関わっていくわけではありません。
自分の大切にしたいことを,同じ学年を組む先生たちにも積極的に伝えることは,とても大切なことです。それぞれの先生たちが,どんなことを大切にしているのかを共有していないと,行事や学年で取り組む活動が一部の人にとって,とても窮屈な時間になってしまいます。
しかし,さまざまな先生がいるのでこれがそう簡単にはいかないのです。
自分のやり方を曲げない頑固なベテラン・中堅教諭がいたり,特に信念などを持たずのらりくらりの学年主任がいたりします。学年主任がどんな先生かはかなり影響が大きいですね。
私が声を大にしてみなさんに伝えたいことは
「そんなこと関係なく,自分の教育観を声に出せ!」と言うことです。
否定されるかもしれないし,もしかしたら説教されるかもしれません。
でも,声に出していれば「あの先生は,あんな風に考えているんだな」というのは少なくとも周囲の先生に伝わります。そのような芯を持っていると伝え,知ってもらうことが重要なのです。「あなた」という存在を認知していもらうことで,きちんと間違ったことは指摘してもらったり,異なる考え方の先生と正しい議論をすることができたりします。それが,教諭としての成長に欠かせません。学級でも子どもたちに「自分の思いは言葉にしないと伝わらないよ」というような話をすることがありませんか?子どもたちが,自分の思いを素直に言葉にできる学級は,どんどん成長していきます。それは大人だって変わらないのです。実践するか,上手くいくかはさておき,自分の思いを表に出さずにいると,だんだんとしんどくなって自分自身を追い詰めてしまう可能性があります。
③校務分掌に対する今年度の目標
学級経営と関係ないじゃん・・・と思うかもしれませんが,実は大事な部分です。学校現場では,担任業務だけでなく校務分掌だってあります。何を受け持つかにもよりますが,今年度の校務分掌に対する目標です。
これを設定することで「学級経営」に割く時間をしっかりと確保することにつながるからです。ここが曖昧だと,ただでさえ業務と時間に追われていく毎日の中で,際限なく校務分掌に時間を奪われかねません。明確な目標を作っておくことで「ここまでやればいい」「これができればいい」のラインをはっきりさせることが重要なのです。教務・体育・研究・ICT・特活・・・などのチーフ(主任)を任されると,業務量は跳ね上がります。学級経営がスタートする前に,今年度の校務分掌に対する自分の目標設定を確実にしておきましょう。そして,それを声に出して伝えておきましょう。
新年度を迎えるにあたって,新しいノートやルーズリーフを用意してますよね。真っ白なノートを準備する時って,何だかワクワクしませんか?
開いた1ページ目にお気に入りのペンで
①自分が学級で大切にしたいこと
②自分の教育観
③校務分掌に対する今年度の目標
これらを書き綴って,新年度をスタートさせましょう‼️
この1年の自分を支えてくれる大切な1ページになるはずです‼️
🟧エンディング&次回予告
「4月に読みたい学級経営♯1」始業式・入学式までについてお話ししました。次回♯2では,学級開きや「黄金の3日間」(まだこれって言われてる?笑)のあたりを取り上げたいと思います。また,取り上げて欲しい内容などがありましたらコメント欄の方へ記入をお願いいたします。最後まで読んでいただき,ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。