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断髪小説「新旧美女ファイターの大晦日」

<あらすじ>
美人ファイターとして人気のアスカが勢いに乗る新人ファイターのレイと大晦日に断髪と引退をかけた試合を行う事に。
「新旧美人ファイター」の対戦に数年ぶりとなるテレビ中継が急遽決定されるなど、メディアやSNSが盛り上がりを見せる。
そんな注目試合の前日計量にて、アスカがまさかのオーバーしてしまう。
そこでアスカがとった行動とその代償とは?

アスカは美女ファイターとして活躍している25歳。

デビューから勝利を重ねて
美しい髪とルックス、格闘技の実力から

「戦うやまとなでしこ」

というキャッチコピーでたちまち大人気ファイターになった。

髪を短くしたり、派手なカラーをしたりするファイターが多い中でアスカの美しく長い髪はリングの上でライトに照らされると一層映えている。

しかし、そんなアスカに対して

「ルックスだけ」
「お偉いさんに気に入られているのでは?」

などといった声が同じ女性ファイターやファンから挙がっている。

アスカは内心それを気にしてはいたが
プロレスのように"敗者断髪"があるわけではない

髪を切らされることはないだろうと楽観的に考えていた。

実力的にも負ける事はないだろうと高をくくっていたのだ。

しかし、最近アスカはパフォーマンスがいまいち上がらない。

前回の試合では外国人ファイター相手とは言え判定負けを喫した。

アスカの久しぶりの敗戦を受けて
格闘技専門メディアでは

「"戦うやまとなでしこ"アスカが敗戦、実力の衰え隠せず」

などと報じられた。

久しぶりに敗戦はしたものの、
日本人ファイター相手には未だデビュー以降の無敗は継続中である。

時を同じくして
"期待の新星"とよばれる美女ファイターがデビュー3連勝を果たして大きな話題になっていた。

彼女の最近の勢いは
アスカのデビュー当時と重なるところがある。

「彼女は"ポストアスカ"になるのではないか?」
「彼女がアスカの対日本人ファイター無敗記録を止めるのではないか?」

そのような声が日に日に高まっていった。

"ポストアスカ"と呼ばれるファイターの名前はレイ

レイは金髪でショートにしており、
「レイ=金髪ショート」
というイメージは格闘技ファンにはもうお馴染みになっている。

レイはアスカとは違ったタイプではあるが、
ルックスの良さと実力を兼ね備えているという点でアスカと比べられることが増えていった。

"日本の美女ファイターの二大巨頭"
として比べられることが多くなってきた。

(時は流れ…)

『今年の大晦日「アスカvsレイ」実現!ついに相まみえる2人!』

大晦日の格闘技イベントにて
ついにアスカとレイが対戦することが発表された。

この対戦カードについて
格闘技専門メディアのみならず、地上波ニュースや大手ネットメディアなどもこぞって取り上げた。

「"新旧美女ファイター"が大晦日のリングへ!」
「ついに!レイが世代交代の挑戦状!」
「アスカの時代もここまでか!レイが下剋上へ!」

この盛り上がりを受けたテレビ局は
急遽大晦日の「アスカvsレイ」の地上波中継を決定。

しかし、試合が近づくにつれて
メディアの煽りがアスカの想定外にエスカレートしていく…

「アスカ!レイ戦の敗戦で引退か!?」
「レイがアスカに髪切りマッチを要求!?」
「アスカが敗戦の代償に断髪か!」

アスカもレイもメディアが報道しているような
引退宣言や敗者断髪などを全く口に出してもいなかった。

しかし、このメディアの煽り報道がSNSにも飛び火してあたかも"敗者断髪
敗者引退マッチ"
が確定したような空気が作られていった。

この流れにアスカは危機感を感じて自身のSNSで火消しを試みる

アスカ
「今回、レイ選手の対戦において"引退"や"断髪"といった声がSNSで上がっていますが、そのような契約は全くございません」

「お互いに格闘家として大晦日のリングにあがるだけですので、過剰な煽りなどはやめていただければ幸いです」

このSNSの発信にアンサーを返したのは
まさかのレイだった。

レイ
「アスカさん、往生際が悪いですよ」

「私が大晦日で世代交代させますから、負けたら断髪、負けたら引退でやりましょうよ」

このSNSでのやり取りをメディアが逃すわけもなく

「アスカとレイがSNSで場外乱闘!」
「【ガチ】断髪&引退マッチが実現へ!」
「レイの口撃にアスカだんまり!トラッシュトークはレイに軍配」

アスカも敗者断髪と敗者引退を受け入れざるを得なくなった。

アスカ「こうなったら勝つしかない」

その後、アスカは大晦日に向けて激しい練習に取り組んでいった…

(試合前日)計量会場にて

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