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ジジイと何かが通り過ぎた

 参考書を抱えて駅前を通り過ぎる女子高生を見て、「若い人は未来があっていいなあ」と考えているお爺さんは、空飛ぶ車椅子に乗っている。見てくれを気にしているうちに性格がつまらなくなってしまった男はとりあえずプリン屋さんで働くことにした。印刷会社よりはプリン屋さんの方が、何かがどうにかなるのではないかと思っている様だ。豪邸に住んでいる夫婦は忙しそうにしている。本当に忙しいのかも知れないし、忙しそうにしていることによって生活が保たれているのかも知れない。真実はわかりません。商店街でアートブレイキーの曲が流れている。この曲は特にドラムの遊び心が感じられて楽しい。唐揚げ専門店では甘辛い味を選んでおけばまず間違いはないだろう。住宅街を歩くと、家の前の段差をなくすための金属の短いスロープみたいなのがある。これは鋳物かな。違うかな。猫に名前をつけてあげるとしたらなんとつけますか。鳴き声に切れ味のある子がいたので、「メス」と名付けてみた。性別は知らない。
 ある男は、ある日突然太ったので、ベーシストになることにした。もちろんやる気はあるので、頑張って弾いている。指は痛いし、ベースが重くて首も痛くなる。急にベーシストになることが可能か不可能かは置いておいて、大変であるということがわかった。ちなみに彼の特技は犬と会話ができることである。これは別に嘘ではなくて、本当に犬と話すことができる。しかし、たとえ言葉が通じたとて知らない人には話しかけない様に、通りすがる知らない犬に話しかけることはないし、向こうから話しかけられることもない。

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