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論文紹介:特発性肺線維症患者における有酸素運動と呼吸運動は呼吸困難、運動能力、QOLを改善する

特発性肺線維症患者への運動療法の影響をシステマティックレビューで調べています。


方法

検索戦略

期間:検索開始(時期不明)から2019年1月22日までの収録論文
対象:英語と日本語で発表された研究
検索ワード:
【参加者】間質性肺疾患(ILD)、特発性間質性肺炎(IIPs)、特発性肺線維症(IPF)、肺線維症、非特異的間質性肺炎、肺線維症 
【 介入】 有酸素トレーニング、レジスタンストレーニング、呼吸筋トレーニング 
【アウトカム】運動能力または呼吸困難またはADLまたは健康関連QOL(HRQL)

研究基準

対象:
(I)  IIPs患者を含むコホート

(II) 運動プログラムが主要な介入であり、単一の介入あるいは主要な介入
  (運動プログラム:有酸素運動、レジスタンス運動、IMT(呼吸筋トレー
  ニング)または呼吸運動トレーニングを組み合わせたもの)

(lll) いずれかのアウトカムを有するもの
6MWD、最大酸素消費速度(peak V̇O2)、ピーク仕事率(peak WR)、一定仕事からの持久時間(endurance time (tlim)、呼吸困難スコア(安静時および運動後)、Medical Research Councilスコア、mMRCスコア、Baseline Dyspnea Index(BDI)、呼吸困難を評価するvisual analog scale(VAS)、St. George's Respiratory Questionnaire(SGRQ)、SGRQ-I(IPFバージョン)、36-Item Short-Form Health Survey(SF-36)を用いて評価したHRQL

(IV) 試験デザイン:ランダム化比較試験(RCT)、前向き観察研究(pre-post design)

除外基準:
(Ⅰ) IIPs、結合組織障害、実質外制限の原因以外の参加者を対象としたもの(Ⅱ) 横断的、後方視的、システマティックレビュー、編集レター、または
    フルテキストのない学会抄録

統計分析

コクラン・システムティック・レビュー・ソフトウェアであるReview Manager(バージョン5.3.5)を用いて、運動群と対照群の平均値の差、あるいは運動前と運動後の効果の差の絶対値を算出し、平均差を求めた。さらに、95%信頼区間もこのソフトで計算した。運動能力、呼吸困難、HRQLに対する運動トレーニング介入の効果を評価するために、メタアナリシスが実施された。6MWD、ピークVO2、ピークWR、および一定WRサイクルエルゴメトリー試験によるtlimの変化を連続アウトカムとして解析し、平均値および95%信頼区間の群間差として表した。個々の研究における運動の効果を表示し、統計的異質性を評価するために、フォレストプロットを作成した。
統計的異質性を評価するためにフォレストプロットを作成し、I2値がそれぞれ25%未満、26~74%、75%以上は異質性が小さい、中程度、大きいことを表した。解析には固定効果モデルを用いた。

結果

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