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私の52個のエートル トゥルマンテ ◆9個目◆

◇小さなカバンは買えない私◇
同じフロアで働く、優雅で激細の契約社員さんがいます。私の中では「ラフィさん」と呼んでます。フランス語で「上品」を意味する「raffiné(ラフィネ)」から勝手に命名したんですが、これがまたピッタリなんです。

ラフィさんは何から何までコンパクトでシンプル。
荷物もいつも最小限ですし、出勤前にはコンビニで小さなエビアンを買ってくるので、水筒なんて持ち歩かないんです。
iPadも基本的には会社に置きっぱなしだとか。
スマートな働き方ってこういうことなんでしょうか。

ある日、会社で取引先からカレンダーをもらいました。
昨今カレンダーをもらう機会も少なくなりましたが、結構立派な壁掛けカレンダーだったので争奪戦に。
私も風景写真が美しい大型カレンダーをなんとかゲットしたんです。
でも、いざ持ち帰るとなると、どうやって運ぼうかと悩みました。

するとラフィさんが、「それ、送るんですか?」と聞いてきたんです。
え!?送る?送料かかるし、そんな発想はなかったので「いえ、持ち帰りますよ」と答えました。

そしたらラフィさんが驚いた顔で、「えっ!どうやって…」と言うんです。
全然平気ですよって言って、「丸めて筒にして輪ゴムで止めて、ビニール袋にでも入れて持ち帰りますよ」と説明しました。

するとラフィさんは大きな目をパチパチさせて、「タクシーで帰るんですか?」と聞くんです。
え?タクシー?そんな大荷物でもないし普通に電車で帰るつもりだったので、「電車で帰りますよ」と答えると、「袋からはみ出ますよね、恥ずかしくはないんですか?」とまで言われてしまいました。

え〜!ビニール袋からはみ出たものを持ってるのって、そんなに恥ずかしいの?知らなかった!

いつも小さなバッグを持ち歩いるラフィさんにはありえないことなんですねぇ。
以前、同僚が芋掘りに行ってきたときにお芋を配ってたんですが、「重いから…」と丁寧に辞退してました。
そもそも、重いものは受け取らない、お芋なんてありえないですね。

気になってバッグの中身を聞いてみると、なんと、お財布、ハンカチ、化粧ポーチ、スマホだけ。
しかもお財布は薄くて、ポイントカードもクレジットカードもほとんど入ってません。小銭もほぼゼロ。

試しに私のバッグを見せたら、「一泊旅行に行くみたいな大きさですね。何が入っているんですかぁ?」とすごい興味深げに聞かれました。
確かに私のカバンは色々入ってて、どっしりと重いんです。
その上、ビニール袋に入れたどでかいカレンダーまで持ち帰ろうとしてるんですから、ラフィさんが驚くのも無理はありません。

帰って家族にこの話をしたら、「心配性の人って荷物多いよね。なんでも持ってないと安心できないんでしょ。でも持ち歩く方が無くすリスクもあるんだよね」と言われました。「あなたも荷物減らしたら?本当に必要なものだけ持ったらいいのに、あっ!バッグ!小さいなかって物理的にいられないようにすればいいんだよ!」と言われましたが、全部必要なんですよ!水筒2本だって、外でお茶買うと高いし、傘だって日傘にもなるしいつ雨降るかわからないし、ビニール傘なんて絶対買わない!エコバッグだってレジ袋代もったいないし!
iPadも仕事の連絡があるかもしれないし、万が一のときに何か調べたいし…と反論してみました。

「ケチで心配性…もうずっと重い荷物持ち歩く運命ね」と家族は笑ってましたが、私も同感です。
きっとこの先も、小さなカバンを持つことはなく、この先ずーっと大きなカバンを担いで歩く自分が見えました。

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