在日米軍の最高責任者が大将になるということ

米国防長官 “在日米軍司令官の階級を大将に格上げ検討”(NHK, 2024/06/04)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240604/k10014470481000.html

あまり話題にならなかったこのニュースについて今更ながら感想を。

恐らくほぼ全ての方々にしてみれば
「ふーん、そうなんだ」
程度だったこのニュース。
個人的に今月の中で一番の衝撃的でした。

自分の為にも分かりやすく説明すると、戦争など万が一の為に、日本にも米軍の部隊がいます。この米軍は日本にいるので在日米軍と呼びます。
立ち位置としては、米国の米軍を本社としたら、在日米軍は日本支部って感じですがね。

で、このニュースなんですが
「本社には社長がいますが、日本支部にも新しい社長を据えます」って意味です。


どういうこと?となりますよね。
私もなりました。

鋼の錬金術師とかで名前ぐらいは見たことあるかもしれませんが、米軍の階級は上から
大将>中将>少将>准将>大佐>.…となります。
会社で言うなら、大将は社長、中将は専務ですね。

で、これまでの責任者としては、
・米国本社=代表取締役(大統領)
・本社アジア太平洋総括部門=社長(大将)
・日本支部=専務(中将)
という感じで役割分担してきました。
日本支部は本社アジア太平洋部門の下にいるので、役職も一つランクが低かったんです。

けどこのニュースでは日本支部の責任者を格上げすることになりました。
つまり専務ではなく、社長が日本支部を動かすことになり、本社総括部門の社長の下で働くことになります。

わかりにくいですよね。
豆知識ですが、法律的に会社の一番偉い人は「代表取締役」で、「社長」は取締役の一人となっています。例えるなら大野智は嵐のリーダー(代表取締役)ですが、同時に二宮和也や松本潤と同じメンバー(社長)です。代表取締役&社長と名乗れるのはこんな仕組みだからです。

本筋に戻りましょう。
立場としてはアジア太平洋部門>日本支部なのに、責任者の立場は同じになります。
ややこしい話ですが、これは日本政府がずっと前からお願いしていることでした。
今まで日本支部の一番偉い人は専務でした。けどもし戦争が起きても、専務は自分で判断する権限がありません。なので何かするときは一度社長と相談しなければいけなく、そうなると間に合うものも間に合わなくなります。だからいざって時は自分で判断できる社長を据えて欲しかったんですね。

つまり今回のニュースは米国政府が日本政府のお願いを聞いたということになります。

いや何でそうなったかは分かるけどね?
社長の下に社長がつくってどうよ?

そんな質問に対して言える事は、
「いや全然想像出来ない」です。

というのも、米軍にとってはこんな人事配置は初めてじゃないでしょうか?少なくとも私は聞いたことがありません。

軍という組織は特殊なので、階級絶対主義です。
上からの命令は絶対。まぁ、そうじゃないと軍隊なんて成り立ちませんからね。

そしてこのニュースはそのお約束を破る事になります。
勿論、実際は「同じ役職でも総括部門責任者の方が権限強い」ってするのでしょうが、にしてもずっと前から続いていた当たり前を破る事になります。

これはどういうことか。少なくとも
・米国政府も同じ様に、すぐ動ける状況が必要と考えてる。
・しかもこれまでの伝統を変えるぐらい真剣に考えてる。
そう私は捉えました。

すぐ動かなきゃいけない状況が何を意味するのかは分かりません。台湾有事なのか、はたまたもっと先の状況なのか。

いずれにせよこの先日本近辺でも、きな臭い状況になる事は確かみたいです。

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