ただの母

愛おしくてたまらない小さな我が子と、不貞をした夫の話

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おしまい

あの日の事はね、多分一生忘れられないと思うんだ。 息をしたいんだけど、冷たい空気が入ってくるばっかりで上手く吐けなくて苦しくなっていく感覚とか。指先の感覚がピリピリ鈍くなって来る感覚とか。頭までドンドン響くような動悸とか。 ああやっぱり、あなたはそんなことする人じゃないもんねって安心できる、違う、違う、ちがうはずって最後まで信じてたんだよ、私も、きっとこの子も。 おしまいだね。 貴方がどう感じているか知らないけど、私の中ではもうおしまい。エンドロールも終わって、私とこの子

    • 父親は浮気して借金して母を殴って出ていったし家も無くなった

      中学生の時にピンポーン、ドンドン オオサカから借金取りが来た、2人。 母と妹と、必要な荷物だけ持って家を出て、市役所に行って母親が泣きながら沢山の書類の説明を受けて沢山の書類にサインをしていた気がする。後ろのベンチで妹とただボーッと何を話すことも無く座って待っていた。これからの事を考える気力も無かった。 その時父親はもう、随分家には帰ってきていなかった。 家族が終わった。 私の中の父親との思い出は 怒鳴り声 母の髪の毛を掴んで引きずり回す様子 これぐらい。 ホームビデオに残

      • 殺人鬼と暮らしてます

        夫の不貞を知った時、結婚2年目で、私は28歳で、娘は生後4ヶ月だった。 嘘だと思ったら本当にしっかり不貞で、私の大好きな夫はその時をもって消えて居なくなった。 「違うんだ、これは違うくて、」なんて不貞がバレた時のテンプレみたいなセリフをぽそぽそ言いながら突っ立っているのは、私の知らない気持ちの悪い男だった。 お前だよ。お前が殺したんだよ。 私の愛おしい夫を、お前が。殺したんだよ。 殺人鬼と暮らすことを決めたのは私。 私の娘はその殺人鬼の娘。 いつか壊れる?私の心が?この家

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