【映画評】ヴィットリオ・デ・シーカ監督『靴みがき』(Sciuscia, 1946)
いわずとしれたネオレアリズモの代表作である。というよりは、むしろ、本作の監督デ・シーカと脚本家チェザーレ・ザヴァッティーニによって体系化され、アンドレ・バザンによって敷衍された概念をして我々は「ネオレアリズモ」と称しているわけだ。第二次世界大戦直後の荒廃したイタリアと、かの地に生きた人々が『靴みがき』の真の主人公である。
冒頭、少年二人を乗せて美しい馬が駆け行く。普段は靴磨きに勤しむ彼らは、この馬を手に入れんとして、知らずに強盗の片棒を担ぐ羽目に陥る。送られた少年院で別々の房に入れられ、次第に互いへの疑心を募らせていく二人。それが晴れるのは、脱走した一方が命を落とし、馬が彼らの元を永遠に去るときだった。