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【覚書】ロバート・ゼメキス監督『ロジャー・ラビット』(Who Framed Roger Rabbit, 1988)

 「この映画は、無批判のままアニメのキャラクターを過去から現在に連れてきたのであり、初期のアニメ映画からの不快な表象がまたぞろ繰り返されているのかどうかを問う視聴者もいた。キャスリーン・グレゴリー・クライン教授が書いたように「この映画は(中略)アメリカにとって大いに好まれる他者の最悪のステレオタイプ——即ち黒人——の特徴を召喚する。それは過去2世紀に渡るアメリカの大衆芸術の中から集めてこられなければならなかったのだ」。偏見が、多くの場合、初期アニメーションに欠かせない要素であったとするならば、なぜ疑いを持つ人々がいるのかを理解することは難しくない」(Arnold 206)。

 周知の通り、この映画では2大動物キャラクター、ミッキーマウスとバッグスバニーが初めて共演を果たした(写真上)。
 詳細は別稿に譲るが、ミッキーマウスを初めとする初期アニメーションに登場する「白手袋をした黒い動物」たちは、「白人」が「黒人」を笑い物にしたミンストレル・ショーと深い関係をもっていた。あるいはバッグスバニーや本作の主人公ロジャー・ラビット、『ズートピア』(2016)のジュディのような「擬人化された兎」が活躍するアニメーション作品は、とりわけ黒人民話集『リーマスじいやの物語』(1800)をその雛型としている。つまり、アニメーションにおける「動物」と「黒人」の関係、その表象のあり方は、映画史のごく初期の段階から、決して避けて通れない検証課題として私たちの前にあるのである。

出典:Gordon B. Arnold, Animation and the American Imagination: A Brief History, California: Praeger, 2017/Kathleen Gregory Klein, Diversity and Detective Fiction, Bowling Green, OH: Bowling Green State University Popular Press, 1999, 144.

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