見出し画像

のりかな毎日エッセイ241118:迷える専門家は迷路を自慢し始める;比較が大切

2024年11月18日、23時39分。
さて。
先週はボルテスVの話からエヴァの話に入っていったけど、
今週はどうなることやら。

エヴァについてちょこっと余談。
エヴァというアニメは、専門用語とその解説がやたら多いアニメだと思う。
例えば、wikipediaで「使徒」で検索してみると…
使徒 (新世紀エヴァンゲリオン) - Wikipedia

エノク書、S2機関、ジオフロント…にも解説がそれぞれある…。

数えたら、3千文字くらいあった。のりかなエッセイ1回分くらいの量だ。
要するに機械獣みたいなものなのだけど、そういうとファンは怒るんだよね…。いや気持ちは分かるけど。僕もモビルスーツをロボットと言われると激怒するし。
ちなみにボルテスVに出てくる敵戦闘メカ「獣士」の説明記事は無い。
この使徒に関する説明は、作品内で暗喩的に語られる説明や、監督が要所で語った言葉、ムックや雑誌類、二次創作などをもとに、コアなエヴァ愛好家の間で共通認識になったものだと思う。でもこの熱量は何なのだろう?
この記事は「使徒って何だろう?」と思って見に来た素人への解説文になっているのだろうか?
僕には素人を拒絶する心の壁、ATフィールドに感じられる。
「お前ら素人にこれが理解できるか?これを理解できなければエヴァを見たとは言えないぞ。エヴァを語っていいのは、エヴァオタクを名乗っていいのは俺達、古参勢だけだ。」
と言っているようだ。愛するエヴァを自分だけのものにするための防壁、一般人からキモいロボットアニメと見下されないために、攻撃されないためにやたら高尚で難解で崇高で壮大なお話だと思わせたがる、ファン語り。
「この俺が愛している作品は、高尚で特別で一般人の手の届かないものでなければならない。」こういう態度が「名作」を神棚の上に上げてしまう。
こういう態度はエヴァオタクだけではなく、他のアニメのコアなファンでも、サブカルオタでも、文芸ファンでも、或いは音楽雑誌を買っているような人たちも…やたら専門用語で音楽を語る人たち…。自分たち、「理解(わか)っている専門家」だけがこのジャンルについては語っていいという同調と締め出しの圧力。
学者の世界でも、歴史研究の世界でもそういう「専門家」はいる。
「○○時代の××という武士」について語っていいのは専門家の俺だけだ。
憲法解釈にも専門家がいるらしい。憲法9条は、

第二章 戦争の放棄
第九条
 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

というものだけど、この「解釈」を巡って法律の専門家たちが長年議論を続けているらしい。とりあえずこの議論の歴史を一通り勉強しないと、9条について語ってはいけないようだ。エヴァ専門家が知識で武装するのに似ている、と僕は思うのだけど。憲法解釈は俺らのものだ、という縄張り意識。
なんの話だっけ?
といってもそんな、専門外の素人が語るのは許さん!なんて突っかかってくる「専門家」なんて実在するんだろうか?
寝ぼけた人が見間違えたんじゃないかな?
お化けなんてないさ♪お化けなんてウソさ♪
僕がエヴァの素人感想を書いて、怒る人なんているのかな?
被害妄想かもしれない。
それに専門家の知識は、専門のことばかりに熱くなるから、ドグマ的になってどんどん妄想が膨らんでしまうというか…。
他の作品と「比較」するだけでも広がると思うけど、唯一無二の神作品を他の駄作と比べるなんてありえない、ということなのかな?
僕は同じロボットアニメのボルテスVと比較することで、エヴァを、難しい専門用語無しに、S2機関とか、第一始祖民族とか、黒き月とかガフの扉とか、綾波レイとかも使わずに一般の人にも説明できるのでは、要するにこういうことだよ、ということをやって見たつもりだけど。でもそれは正解じゃなくて解釈の一つでしかない。エヴァは暗喩的なセリフの多い作品だから、観た人それぞれに答えがあっていいのでは、と思う。
でも時間が経つと、それらの答えの優勢なものたちが、偉い先輩がそう言ってたとか、スタッフや監督が作品外でそう言っていたから、とかで用語や作品世界の「正解」を決めていってしまう。で、用語解説とか始めるのだけど。
そうじゃないよ、という人がいないと、作品の解釈が一つになってしまう。
エヴァはこんな壮大なお話なんです、と自慢したい専門家たちに都合がいい解釈に収斂していく。
「エヴァは子供だましの古臭い昭和の巨大ロボットアニメとは違う。勧善懲悪じゃないし、聖書の話とか出てくるし、40億年前の第一始祖民族の到来から始まる宇宙規模の壮大な叙事詩で、ほらwikiの専門用語のオンパレードを見てよ、すごいでしょ。オレ第一人者でさ。エヴァについて語らせたらうるさいよ?」
こういう裸の王様に、「王さまは裸だよ?」という子供でありたいと思う。
エヴァは、普通の人が試しに見てみるのをためらうような、崇高で難解なものでは全然ないし。作中の分からないセリフや用語は、「分からない」のが目的なので。シンジ君の疎外感、蚊帳の外に置かれてる感を視聴者にも感じさせるために「分かってないただのパイロット」にされているわけなので。分からないまま悪の組織ゼーレにいつの間にか敗北するお話だし。
「分からない」ようにするためにちりばめたトリビアに食いついて迷路に迷いこんでる専門家たちが、やたらと迷路の中の道順とかに詳しくなって威張ってる状態というか。迷路に詳しくなってどうすんだよ。
エヴァに限らず、専門家の人は専門にばかり熱中して迷路に迷い込んでる気がする。迷路をやたら大きくして、迷路の専門家になっている。
僕は素人なので、迷路に入る義理は無いし、迷路とは別のわかりやすい道を僕の文章で示していければいいな、と思う。エヴァに限らず。
などと偉そうに抱負を述べたところで、今日は終わりにしようと思う。
「エヴァのオタ話は来週はしない」と言ったけど…これは専門家についての話だから!
では、また明日♪

いいなと思ったら応援しよう!