DINKSの私が「存在のすべてを」を読んで。
「存在のすべてを」を読み終えた。
(これから読む方はUターンお願いしますෆ)
描写や言葉の表現力、展開の面白さを楽しみながら読み進めていた。
気持ちがぐっと入り込んだのは、「空白の3年間」。
特に、優美の心情。
子を持つことを諦めて、愛する夫との生活を守ってきた。
そこに関する心情は書かれていないが、葛藤が想像できるし共感できて心が痛かった。そして他人事として見られなくなった。
亮と過ごした日々は本当に幸せな瞬間に溢れていたんだろうな。
「お母さん」と求められる嬉しさ、充足感、自分の価値を感じる瞬間。
貴彦と亮が並ぶ姿を見つめる優美の幸福感と安心感。
どれもが優美に幸せを感じさせるもの。
それと同時にいつ別れがくるか分からない不安と恐怖。
想像するだけで心が痛かった。心が張り裂けそうだった。
実際に別れたあとの夫婦の虚無感、温もりを知ったあとの二人での生活。
乗り越えることが容易ではないことは明確だ。
優美の心情を考えれば考えるほど心が痛く涙が止まらなかった。
結末では、優美の穏やかな姿を想像出来てホッとした。
しかし、それまでに至る夫婦ふたりの人生を想像すると心がギュッとなる。
けれど、「また読みたい」と思う素敵で素晴らしい物語でした。