長生きするって…

長生きするって】
病院の患者さんって圧倒的に高齢者が多いですが、整形外科って特に多いですね。
これからさらに増えるんでしょうね。
昨年の暮れ、診察を待っていると、二十歳前後の女の子が来て、何やら受付で事務の方と話しているんですよ。
珍しいな、と思っていたら、いつのまにか居なくなった。
するとしばらくして、その子が別の入り口から、おばあさんが乗った車椅子を押して入ってきて、私の近くに来たんです。
車を横付けして車椅子で入れる入り口を開けてもらっていたんですね。
その女の子はおばあさんの孫かと思ったら、どうやらひ孫のようでした。
なぜなら、二人のいろんな会話で、おばあさんが96歳だとわかったから…
けっこう若く見えるおばあさん、でも転んでどこか悪くしたようで元気なく、車椅子でしか移動できないみたい。
聞くまいとしても距離が近すぎて耳に入ってきてしまう二人の会話…
せつないですよ…
以下、一部抜粋
👵🏼おばあさん
「もう歩けないし生きていても…」
👩🏻‍🦰ひ孫
「なに言ってんの」
👵🏼「施設にも行きたくない…」
👩🏻‍🦰「ダメだよ、おばあちゃんの年金だけじゃお金足りないから、〇〇おじさんの年金だって使わせてもらっているんだよー」
👵🏼「もう行きたくない…」
👩🏻‍🦰「すぐそう言う…」
👵🏼「この前…、死ねばよかった、死にたかった…」
👩🏻‍🦰「転んだけど、死ななかったじゃない」
👵🏼「死にたい…」
👩🏻‍🦰「みんな忙しいなか、おばあちゃんのためにがんばってるんだよ」
👵🏼「死にたい…」
👩🏻‍🦰「転んでも死なないじゃない」
👵🏼「死にたい…」
👩🏻‍🦰「・・・」
なんだかなぁ…
ひ孫の女の子、親や祖父母?が、ひいおばあさんを持て余しているので、代わりに病院に連れてきているのかもしれない。
会話からは、生きていたくない、と言うおばあさんを励まそうという気持ちも伝わってくるんだけど、いつもの慣れたやりとりか、それともつい本音か、時々、ハタから見ると棘のある言葉も出てくるんだよねー
私、耳がダンボになっているくせに、聞いてませんよーって素振りで手元の手帳に目をやり、西暦和暦年齢表を見てみると96歳って昭和3年生まれでした!
この女の子とたいして変わらない年の頃は戦争真っ只中、青春どころではないよね、そして戦後を生き、昭和の生き字引、そして、平成、令和、と生きてきた。
それでも今、ひ孫に色々言われている。
家では、孫や子どもにもキツいこと言われているのかもしれない。
友達とかも、もうほとんど先に逝ってるんだろうし、寂しいんだろうなァとも思う。
弱音を吐いて愚痴って甘えているのかもしれない。
介護する側の大変さもわかるし、される側のおばあさんの気持ちもわかる。
長生きすることは、周りも本人も辛い面も多いのよ。
若い頃の元気さをそのままで90歳以上なんてなかなか難しいよ。
さすがに「寅さん化」の私も口を挟むわけにもいかず…
診察室に呼ばれてホッとした次第…
思ったのは、「人生100年時代」なんて謳い文句は、綺麗事、大っ嫌いだ!ってこと😠


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