
「徳を積む発信」というヴィジョン:女性起業家 川田和代さんとの出会い
2年前の2023年3月、私は25年続けてきた高校教師の仕事を辞め、作家として再スタートを切った。人生の半分を過ぎて、今なら子どものころからの夢、作家という職業にチャレンジできると思ったからだ。最初は右も左もわからず、思いのほか孤独を感じたこともあった。でも袋小路に陥ったように思えても、必ず何かしらの助けを得てきた2年だった。
この記事では、「推したい会社」と聞いて真っ先に思いついた、女性起業家で作家の川田和代さんについて書いてみようと思う。会社ではなく個人の紹介になるが、彼女の発信に対する在り方にふれて、私自身の書き手としての意識をより深めることができたからだ。
彼女の職業観を伝えることで、発信に行き詰る方々へのヒントになってくれれば本当に嬉しく思う。
①自費出版への挑戦
1作目の作品(「貴婦人の予祝」)を書き上げ、Kindle出版やnote、アメブロの使い方について必死に学んだのが、退職後の1年ほど。デジタル機器に疎い私には何もかもが初めてのことだったが、「自分の力で本を出版できるんだ」という夢のような世界での毎日は、楽しくてしかたがなかった。
ただ、実際にKindle出版で本を出してみたものの、知り合い以外の方にはほとんど見向きもされないという現実に、胸を痛めたのも事実だ。
「無名の私の作品を、お金を出してわざわざ買ってくださる方がいる。その事実を、もっともっとありがたいと思うべきだよ」
今なら当時の自分にそう言ってあげられるだろう。でも、その時は退職直後で意気込みも強かったぶん、ほとんど売れることのなかった「現実」をとても苦しく感じていた。
何とか本を広めようと毎日noteに投稿したり、インスタで発信を続けても、状況はほとんど変わらない。次第に発信そのものが重荷になり、「私は一体何をしているんだろう」と頭を抱えてしまう日々。気持ちを切り替えて原点に戻ろうと作品作りに専念し、2冊目の本も出したものの、それも数としてそんなに動くこともなく、発信自体が苦しくなっていった。
そんな状況から抜け出し、再び書くことへの情熱を取り戻させてくれたのが、起業家の川田和代さんだ。パーソナルスタイリストという華のある仕事をしながら、同時に脳科学コーチングも教えている彼女と繋がり始めたのは、和代さんが出版している2冊目の本を読んだ後のことだ。
「可愛いの教科書」
和代さんとはオンラインのワークショップで知り合った。スタイリストや同行ショッピングといった職業が新鮮で、しかも本も出版していると聞いて、かわいらしい表紙の電子書籍を早速ダウンロードしてみた。

それは、女性としての自分を心から愛しく思うためのあれこれが涼やかに語られた本だった。水のような筆致ながら、後半では「子宮と宇宙、フェム・ケア」といったデリケートな話題も取りあげられていて、どの話題も無理なくすっと頭に入ってくる気がした。
さらさらとした語り口。
読み始めてすぐにそう感じたが、本に込められた書き手の思いは、そんなに単純なものではなかったようだ。後に作家としての彼女の在り方にふれて、書き手としての私の意識は大きく変化した。彼女からの一通のメッセージが、思いがけず起業の世界に足をつっこんで悶々としていた私に、書くことへの喜びと集中を取り戻させてくれたのだ。
②起業のきっかけ
作家を目指して教員を退職したはずなのに、気がつけば起業という道に足を踏み入れたそもそもの始まりは、最初に出版した「貴婦人の予祝」でチャクラについて描いたことだった。
本を出版してしばらくして、一人の読者の方から「チャクラについて教えてほしい」というメッセージをもらい、Zoomを通してお会いすることになった。その女性は裕福ながらも心に深い痛みを抱えた方で、話の流れからチャクラの力を利用したヒーリングを試してみることになった。
私には幼い頃から「ここではない世界」と繋がっている側面があり、その混乱を収めてくれたのが、本で描いたマダム・ロゼとの出会いだった。若い頃、偶然出会ったマダムから「チャクラを使った意識のヒーリング」を学んだ私は、その後の生活で日常的にセルフヒーリングを行い、次第に感情と意識、肉体のバランスを取ることで現実を好転させる力を得た。その話をしたところ、その女性は「私にもぜひしてほしい」と言った。とても真剣な表情で、興味本位ではないことが伝わってきた。
ヒーリングを終えた時、女性は「こんなに楽になったのは生まれて初めてだ」と涙を流し、結構な額のお金を支払ってくれた。予想もしていなかった展開だったが、そのことがヒーリングという新しい仕事を始めるきっかけになってくれた。
③「起業」という沼の中で
それ以来、様々な講座を受けながら、安心したサービスとしてヒーリングセラピーを提供するための試行錯誤が始まった。
あの時に味わった「誰かを楽にすることが対価に繋がる」という感動は、ビジネスの世界では当たり前のこととして受け止められた。何人もの起業家の発信を追いかけ、セミナーへの参加が続くうちに、気がつくと私は「もっとできるよ」という風潮に無意識に巻き込まれていた。起業に対するいろいろな価値観やノウハウが嵐のように押し寄せ、ビジネスの知識も経験もなかった私は、その中で激しく混乱してしまっていたのだ。
今思えば、ヒーリングのサービスを始めたばかりのころ、過度に「集客」を意識し始めたことがまずかったのかもしれない。最初に得られた感動は成果という目標になり、「ビジネスを学んで成果を出さねば」という気持ちへと搔き立てられてしまっていた。それ自体は間違ったことではないと思う。でも、作家という夢との両立は私の手にあまり、文章を書く喜びや物語を生み出したいという渇望自体が、知らず知らずのうちにししぼみかけてしまっていた。
ワークショップで和代さんを知ったのは、ちょうどその頃だった。オンラインの向こう側にいる和代さんは、東京のハイクラスなホテルでコンサルや撮影ディレクションを行い、有名ブランドのショップで同行テョッピングもするという「超売れっ子」の起業家のようだった。見た目も美しく装いも艶やかで、起業したばかりの私には遠目で見るだけで十分の存在だった。
そんな和代さんと個人的に繋がり始めたのは、何気ないインスタグラムのDMだった。
④書き手のしての在り方
ある日、「可愛いの教科書」の感想をインスタのストーリーに投稿したところ、ご本人から直接メッセージを頂いたのだ。
「読んでくださってありがとうございます」
このシンプルなメッセージが、私の書き手としての姿勢を根本から変えるきっかけになった。
この世界でお金を出して、自分の本を買ってくださった方がいる。なんて幸せなことなのでしょう。
そんな思いが流れ出ているような一言だった。同じ日に、和代さん自身のインスタのストーリーで私の投稿がメンションされ。丁寧であたたかなコメントも載せてくれていた。それは、私自身の紹介も兼ねているような投稿だった。直接言葉を交わしたことはなかったから、インスタかnoteのプロフィールを読んでくれたのだろう。それは、読者に対する心からの敬意の表れのように思えた。
可愛いさや美しさ以上に、読者に対するその在り方がとても印象に残った。おそらく、ご自身のクライアントに対しても同じなのだろう。そう思える出来事だった。
和代さんとのやりとりを境に、私の中でも読者の方やブログを読んでくださった方、見よう見まねで始めていたYoutubeの「あなたとお喋り」のリスナーの方への感謝が、一気に増していった。読んでくれるのも、聴いてくれるのも当たり前ではない。そんなシンプルな真実に気づかされ、はっと目が覚めたような気がした。
大切なお金を私の本のために出してくださる人がいる。毎日の忙しい中、無数に存在するチャンネルの中から、わざわざ私の声に耳を傾けてくださる人がいる。noteの記事にしてもインスタの投稿にしても、最後まで読んでくれたとしたらそれは奇跡に近い。この地球上には80億人の人がいるのだから。
だとすれば、ページの向こう、画面の向こうにいる「大切なあなた」に、少しでもほっとする感情を抱いてほしい。読んでよかった、聴いてよかったと思ってもらえるような発信がしたい。
そんな気持ちが募るにつれ、販売や集客といった呪縛がほどけ、作品を書いたり発信を始めたばかりの頃のピュアな気持ちが戻ってきた。感情も言葉も少しずつ自由になっていく。その気持ちに呼応するように、2冊目の本の順位がKindleで11位まで上昇していった。ヒーリングを受けてくださるお客様との深い心の交流が始まったのもこの頃からだ。更に不思議なことに、発信への気持ちを変えたことで、思わぬ方が私の目の前に現れ、人生の流れが変わっていった。
⑤新たな出会い
2冊目の本、「ルディのダイヤモンド」は、世界で初めてダイヤモンドを研磨した宝石職人のストーリーを描いた童話調の薄い本だ。その小作品がきっかけで、私は実在の宝飾師、田村有弘氏と出会うことになった。不思議なめぐりあわせで私の目の前に現れた田村さんは、出会って間もない私に、本をイメージしたダイヤモンドリングを制作することを提案した。
江戸時代から伝わる「錺(カザリ)」という技法を駆使して美しいジュエリーを制作し続ける田村さんも、常に高いプロ意識で宝石を制作し、お客様を第一に考えたビジネスを展開している。競争の高い銀座で15年も開業し続けている彼のお客さんは、必ずといっていいほどリピーターになってくれるのだという。素晴らしい作品を提供するという誇り、そして一人一人の顧客に対する感謝に満ちた接客や関わり方。オーダーメイドジュエリーの名にふさわしい、素敵な仕事の仕方だ。発信に込める思いを変えただけで、予想を超えた深まりのある出会いに恵まれた。ダイヤモンドの真実を語った作品に、まるで天から降ってくるように、本物のダイヤモンドの価値が与えられたのだ。
DMのやりとり以降、少しずつ和代さんと繋がり始めた私は、彼女の発信や会話を通してビジネス観や人生観にふれ、そのたびに何かしらの驚きや学びを受け取ることになった。
東京の築地で老舗のコーヒー店を営む両親に育てられた和代さんは、大都会を訪れる客の様々を知り尽くしている。ジョン・レノンも愛用したというそのコーヒー店は、築地市場のすぐ隣にあり、こじんまりとした店内の扉は、すべての人を迎え入れるように、外に向かって大きく解放されている。地元の古くからの顔なじみも外国人の旅行者も、どこかの社長らしき佇まいの人も、私のようなお上りさんも、みな等しく薫り高いコーヒーを手に朝のひと時を楽しむことが出来る。

彼女がよく口にする
「憧れは上ではなく横におく」
という言葉は、人はみな平等であるけれど、現実のリアルな側面での経済の力もしっかりと見極め、常に発展を目指すという実業の世界で育まれた価値観なのだろう。
和代さん自身もスピリチュアルな世界との繋がりを色濃くもっているようだが、彼女と私が違っていた点は、和代さんが現実のビジネスの世界でのルールをしっかりとわきまえていたことだ。
出会うすべての人を自分のビジネスに繋がり得る人と捉え、敬意をもって接する。明らかに成功しているに人もそうでない人にも、彼女は分け隔てのない話し方をする。その態度には内も外もない。縁や繋がりは時に有形、時に無形。売り上げや販売実績以上の「見えない何か」に繋がるための、「ビジネスと私生活を分けない在り方」を実践している。
そしてその在り方を軸に、卓越したファッションセンスとメイクの技術を使って女性の自己肯定感を上げ、「なりたい姿」を見事に可視化する。クライアントの女性たちは、彼女の力強いガイダンスに支えられ、そろぞれの「まだ見ぬ、でも辿り着きたい未来」をしっかりと脳裏に焼きつけるのだ。
彼女はまた。クライアントに対し長期にわたる脳科学コーチングも実践している。内面の葛藤を科学的に解明し、内からも自己肯定感を育む。内と外を一致していくための多様なアプローチ。そのすべては、「女性が幸せになることは、世界平和に繋がる」というミッションのためなのだと彼女は語る。ヴィジュアルの変容、脳の望ましい活かし方、そして人生を引き上げるブランディング。彼女の起業の目的は、あらゆる面で自立した女性を一人でも多く増やしていくことだ。

和代さんとの対話の中で、私もまた作家業やヒーリングを通して、自分がどんな価値を提供できるのかを深く考えるようになった。「読者やお客様のために、何を語り何を形にし、それによってどんな価値を提供できるのか」という視点で世界をとらえたいと思うようになったのだ。
⑥徳を積む発信
昨年の12月から和代さんの主催する「Writing lab」に参加し、ブログやメルマガの発信について学ばせてもらっている。小説やエッセイと違い、ブログなどのSNSでは、読みやすさだけでなく「読み手のためになること」がダイレクトに求められる。独りよがりの書き方では読者はつかないという点は、noteの投稿を通して身にしみて感じていた。ブログではおそらく、瞬時の「価値提供」をピュアな心で行うことが大切なのだと思う。媒体によって文体を変えるという視点も必要だ。
「発信は徳を積むこと、つまりは徳積みです。どんどん徳を積んでください」
週に2回のラボで、彼女は参加者に何度もそう伝えてくれる。
「徳を積む発信」
情報のあふれる時代で、アナログ的で温かみのあるその表現は、聴くたびに私の胸をうつ。発信の「徳」は、時に気さくで時に笑いがあっていい。くすっと笑える、ただそれだけで、読者は次も来てくれる。読者が何かを得たという体感、あるいは心の震えがあれば、それはよい記事、よい投稿なのだ。
「徳を積む発信」は、本づくりにもあてはまる。物語そのものの質は言うまでもなく、読みやすさ、装丁の美しさ、言葉の力への敬意と責任、倫理観。適正な価格。読者をつまらない場所に置き去りにしない決意。そのすべてに細部まで丁寧に向き合った本だけが、苦しい出版の世界において生き残っていく本なのだろう。
追い求められるモノづくり、信頼される在り方。
ハードルは高いけれど、それが出来てこそ何事も生業となり得るのかもしれない。「人を大切にする」ことを学び続けた教員としての25年の成果も、別の仕事で再現できてこそ、本当の意味で「体現した」と言えるのだと思う。
パーソナルスタイリスト,脳科学コーチングコーチ、そして作家の川田和代さんが情熱をもって広める、幸せにみちたSNSビジネス。
多様な仕事のすべてを「Happy専門家」と束ねて、日本の女性のために活躍する女性起業家。東京築地出身のかわいらしくも芯の強いこの女性は、個人ではあるけれど「推したい会社」に相応しい、そしてその在り方をどこまでも広めたい”The one and only”の、私の「推し」の女性である。

いいなと思ったら応援しよう!
