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バンコクの安ホテルのエレベーター恐怖体験

店の備品などを買いに2年に一度くらいのペースでバンコクに行ってた時は、会社から3泊4日で4万円くらいの激安ツアーを予約されてたので、ホテルもラチャダー周辺とか、中心部から離れたところにある安ホテルに滞在していた。

日本の大手旅行会社と提携している最下部ホテルの為、大学生の卒業旅行シーズンなんかは日本人の若者達がウジャウジャいて、とても居心地の悪いホテルが多かったが、

若い頃、タイやインドなんかを旅してる時は、お金が無かったのでエアコンはもちろん、風呂やトイレもないベニヤ板で無理矢理仕切ってるだけの部屋と言うより狭くて窮屈な箱の中に、オンボロのベットと変な木の台の上に「ほ〜ら、オレ様がいて嬉しいだろ?」

と言ってるが如く扇風機が一台、首振り機能すら無いくせに偉そうに置いてある「留置所」ような

一泊、当時日本円のレートで¥300くらいのゲストハウスなんかに泊まっていた者にとっては十分に思えた。

そんなラチャダーにある最下部ホテルに宿泊してた時の話。

一人早朝に目が覚め、バイキング形式の朝食を食べに一階のレストランに行くと、壁に設置されてるテレビから朝のニュースが流れてた。

「どんなニュースがやるんだろ?」と、綺麗なタイ人女性キャスターを見ながら食べてると、ツカツカとホテルの若いボーイがテレビの前にやって来て、

あろうことか、テレビ画面の真前の中央に立ちニュースを見始めた。

直ぐに退くもんだと思ってたら、そいつは大アクビをしながらニュースを観てて一向に退く気配がない・・・

俺も綺麗なタイ人女性キャスターの読み上げるニュースを観たいので

「お〜いボーイ君、画面の横に退いてくれないとお客さんが見えないよ〜!」とジェスチャーを交えて声をかけたら

我に帰ったように「オー、ソーリー、ソーリー」と言ってその場から退き、テーブルの片付けをしに行った・・・

すると3分もしないうちにさっきのボーイがツカツカとやって来て、なんとまた、テレビ画面の中央に立ちバカ面してテレビを見始めたのだ。

うっそだろ〜〜?

と思ってそいつの横顔を睨み付けると、そのボーイは実に見事なバカ面をしながらアゴの辺りをゴリゴリしながらニュースを観ている・・・

その完璧な「バカ面」に、つい吹き出してしまい、もういいや、勘弁してやるか、あんな見事なバカ面されちゃぁなぁ・・・

タイ人ずるいよなぁ・・・

などと一人で面白がってそのボーイを見ながら食事を続けてたら、大声でふざけながら5〜6人の大学生らしき若い日本人男性がレストランに入って来た。

そいつらは、もう何泊かこのホテルに泊まってるようで、慣れた感じでブッフェの料理を取り、ガヤガヤと食事を始め、昨夜のゴーゴーバーだか何だかの風俗遊びの話を大きな声でゲラゲラ笑いながら話だした・・・

そいつらの席から俺の席は離れてたのに、周りの迷惑も考えずに大きな関西弁で話してるので、聞きたくもないのにそいつらの会話が耳にグイグイ入ってきてしまう・・・

一人のヤツの連れの女の子がブスだったのを笑って話てて、そいつの事を「汚物処理班」と他の奴らが呼んでゲラゲラ笑ってる・・・

大人数で海外旅行に来て調子に乗ってるクソガキどものせいで、朝っぱらから酷く気分が悪くなり、わざと椅子をドカンと音を立てテーブルに押し付け席を立ちエレベーターへと向かった。

5階にある部屋に戻るため、エレベーターに一人で乗り込み5階のボタンを押しゆっくりと扉が閉まった。

二階を越えたあたりだろうか「ゴゴゴゴッ ガクン…」と、突然エレベーターが急停止し、「あれ?なんだ、なんだ」と思ったら、
間髪入れずに「ゴゴッ ズルズルズル ゴゴッ ズルズルズル 」とエレベーターがズリ下がって行くではないか!

コレはヤバイ!どうしよう!と慌てながらも、咄嗟に「地面にエレベーターが落ちた瞬間に飛び上がるしか無いっ!」
と閃き、ズルズル落ちて行くエレベーターの中で2分ほどピンチ汗をかきながらエレベーターが地面に落ちる瞬間を全神経を集中しながら中腰で構えてると
突然「ビビ〜〜!」と音がした瞬間、ドアがスーっと空いた・・・

ドアの空いた先は一階で、まだ中腰のままで構えてる俺の目の前には、さっきまでテレビ画面の中央に立ってた「バカ面ホテルボーイ」が、さっきとは同一人物とは思えない引き攣った顔をして立っていた。

そしてそのボーイは、エレベーターの中で変な中腰スタイルをしている俺を見て、少しだけ「ニヤッ」っとしやがったのだ!

「くぉの〜〜クソガキがぁ〜〜〜!」と、思いっきり引っ叩いてやろうと思ったが、極度の緊張状態で身体が硬直して直ぐに動かなかった…
落ち着いてから、ホテルの支配人らしき人に聞いたところによると、よくある故障みたいで、マイペンライ(大丈夫)だと、謝ってたが、

マ、マ、マイ ペンライだとぉぉぉ〜〜!

「こんな状況でマイペンライとぬかすクチはこのクチかぁぁぁ〜〜〜っ!」と下唇を思いっきり摘んでやりたかったがグッと堪えてやりました・・・

皆様もタイのボロホテルのボロエレベーターには気を付けて下さいね・・・




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