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岐阜県大垣市から福井県敦賀市・福井市へ行った話

岐阜県から福井県へ


岐阜県大垣市から日帰りで福井県敦賀市と福井市へ行ってきた。
 
目的地は、3か所。
 
①YouTubeで文芸評論家の三宅香帆さんが紹介していた敦賀駅近くの「ちえなみき」という書店

②「こねこ」という写真展が開催されている福井市美術館

③福井市橘曙覧記念文学館
 
この3か所の感想も語りたいところだが、それよりも一番言いたいことがある。
それは、大垣から福井まで行くのがとてもめんどくさいということだ。

大垣から福井まで行くのが大変だ


よく知られたことだが、2024(令和6)年3月に北陸新幹線が敦賀まで延伸して以降、特急しらさぎは名古屋と敦賀の間しか走らなくなった。よって、名古屋・岐阜方面から福井駅まで行きたければ、敦賀駅で北陸新幹線もしくは旧北陸本線の第三セクターであるハピラインふくいに乗り換えなければならない。
 
もし福井駅まで乗り換えなしで行けるなら、奮発して特急しらさぎに大垣から乗ろうという気にもなる。しかし、特急しらさぎが敦賀までしか行ってくれないとなると、米原発で敦賀まで行ってくれる(つまり近江塩津が終点ではない)在来線を狙ってしまえば、乗り換えは米原での1回だけで済むから、そんなに大きな負担ではない。
 
大垣駅で米原行きを待っている間、大垣駅に到着する特急しらさぎを数本見たが、はっきり言って回送列車と見間違えるほど乗客は少なかった。
 
現在、北陸新幹線を米原ルートにするとか小浜ルートにするとか議論されているようだ。ただ、どちらのルートになっても、東海エリアの人間にとっては、米原か敦賀で乗り換えなければ福井や金沢に行けないのだから、結局は昔に戻さない限り不便なのだ。
 
ちなみに、今回、大垣駅の券売機で大垣~敦賀の往復乗車券を購入しようとしたら、なぜか「窓口で買ってください」という内容の表示が出た。筆者の操作ミスなのか、本当に大垣駅の券売機は敦賀までの乗車券すら買えないのか、どちらなのかはよく分からないが、とにかく筆者は急いで窓口で大垣~敦賀の往復乗車券を購入した。JRの範囲であれば、東海ゾーンと西日本ゾーンをまたぐ乗車券は作れるが、敦賀~福井は第三セクターだから、「大垣~福井」という乗車券は作れない。ただ、券売機だとさらに作れる乗車券が限られるということなのだろうか。

敦賀到着


大垣を8:35に出発し、米原には9:10に到着した。そして、米原9:30発の北陸本線に乗り、10:17に敦賀に到着した。これを逃すと、夕方までは近江塩津で乗り換えの必要な列車ばかりになる。
 
福井行きのハピラインは、11:12敦賀発だった。時間があったので、ちえなみきに行ってみた。分野別に整理された本棚が特長で、ゆっくり背表紙を眺めたかったが、早めにホームに行って並ばないと座れなくなると思ったため、早めに退出した。

ちえなみき


敦賀から福井へ


ハピラインの乗車券は基本的にハピラインの駅で買わなければならない。時間がなかったから、急いで敦賀~福井の乗車券を券売機で購入した。1,140円だった。
 
……改札を通過してから、あっと思った。お買い得きっぷを調べ忘れていた。例の長方形を使って調べたら、「ハピラインふくい1日フリーきっぷ」というのがあった。1,500円で、ハピライン全区間乗り放題だった……つまり、敦賀~福井の普通の乗車券を行きも帰りも買ってしまうと、780円損するのだ。
 
確かに、リサーチ不足だった自分が悪い。しかし……敦賀~福井を利用する乗客は非常に多いはずだ。だったら、券売機の近くにポスターを貼るなどして、「土日祝日などはお得なフリーきっぷがある」と宣伝してくれてもいいのではないか?
 
ただ、ハピラインだけが不親切というわけでもないだろう。例えば、以前、筆者は西岐阜駅と豊橋駅を往復する機会が何度かあり、券売機で乗車券を買っていたのだが、ある日券売機が故障していて、当時有人だった西岐阜駅の駅員さんに切符の購入を頼んだら、「青空フリーパス」のほうがお得だと言われ、その存在を知った。JR東海も、青空フリーパスの存在を券売機付近のポスターなどで宣伝している気配はあまりない。
 
まぁごちゃごちゃ言っても仕方がないので、おとなしく普通の切符で11:12敦賀発のハピラインで福井駅まで行った。列車は2両編成で、非常に混雑していた。

福井駅到着


福井駅に着いたのは12:03。そこから福井市美術館へ行くのに使ったのが、12:30福井駅東口発の「フレンドリーバス」である。これは、福井駅から図書館や美術館といった公共施設へ行きたい人のためのバスで、なんと無料である。車内には、図書館、生活学習館、歴史文化館、美術館を利用する人以外は乗車を控えてほしいという内容の貼り紙があった。

フレンドリーバスの停留所


公共交通機関に乗ると、その地域のモラルの高さを感じることがある。
 
例えば、たしか山陰本線の一部区間だったと思うが、車内に小さなごみ箱が置いてあるのを見たときは驚嘆した。1箱だけだから、どんなごみを捨てるかは乗客が自身のモラルに基づいて判断するわけだ。無論、家庭ごみを捨てるような乗客がいるようなら、ごみ箱は置けないだろう。
 
福井市のフレンドリーバスの場合も、言うことを聞かず悪用する市民が続出したら、あの無料のありがたいバスは廃止するしかなくなるだろう。モラルだけで成り立つ社会は素晴らしい。
 
福井市美術館では、「こねこ」という企画展を見た。世界各地のネコの写真が多数展示されていて、かわいかった。

写真展の看板


帰りもフレンドリーバスを使った。そして、今度は橘曙覧記念文学館へ行くため、「すまいるバス」に乗った。これもまたどこまで乗っても100円という太っ腹なバスだった。福井市はバスが便利だなと思った。
 
橘曙覧(たちばなのあけみ)は、現在の福井市出身で、正岡子規に高く評価された歌人である。よく知られているのは、「たのしみは……」で始まる「独楽吟」(どくらくぎん)という数十首の歌である。

岩波文庫『橘曙覧全歌集』

今回、記念館を訪問するにあたり、筆者は岩波文庫の『橘曙覧全歌集』(水島直文・橋本政宣編注、1999年)に目を通した。心を揺さぶられる歌はいくつもあったが、ここでは思わずクスッと笑った歌を二首紹介しよう。
 
たのしみは いやなる人の 来たりしが 長くもをらで かへりけるとき
(楽しいのは、イヤな人が来たけれど、長居しないで帰ったときだ)
 
我(わ)がりきて 人あしくいふ 人はまた 人がり行きて 我をそしるひと
(私のところに来て、人を悪く言う人は、人のところに行って私を悪く言う人だ)
 
橘曙覧記念文学館の見学を終え、すまいるバスで福井駅に戻った。この日の福井県は大雪だった。福井駅の近辺で食事をしようと思ったが、いつ電車が止まってもおかしくない感じになってきたので、とりあえず17:05福井発のハピラインに乗って敦賀に移動した。

福井駅と恐竜


敦賀駅に着いたのは17:57だった。この日、夜遅くの北陸本線は運休が決まっていたため、米原に行ける在来線は残り2本だった。最初は18:49敦賀発に乗る予定だったが、敦賀駅の近くで見つけた飲食店で暴飲暴食をしてしまい、19:55敦賀発に乗ることになった。
 
米原には20:45に付き、21:07米原発の在来線で大垣に戻った。大垣には21:37に到着した。ちなみに、この列車は世にも珍しい米原発浜松行きという超ロングラン列車であった。


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