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【詩】焚香

焚香

ときに

街灯に追われて明滅する
影法師の輪郭が

杏ジャムクッキーの
見せかけの橙色が

老木にへし曲げられた
アスファルトの軋む音が

額装されたポスターの
当てつけがましい甘美な嘘が

鉄と灯油の混じり合う
燻んだ蒸気の肌感触が

しきりに私を
煽ってくるので

灰汁の強い期待が
みるみる膨らんで

どうにも落ち着かない

焚香 “Freesia”(2024年/アクリル画)

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