引っ越しとは人生である
先日、スキマ時間バイトで引っ越しアシスタントに応募した。
二十代の頃、日払いバイトで同じ様に引っ越しアシスタントをやったことがあってその時は箱を作ったり、荷物を積めたり本当に軽作業だった。
だから、今回もそのイメージで現場に行ったらとんでもなかった。私のほかに男性ふたり(引っ越し業者さん)計三人で、かっつり荷物を運ぶ、まじの引っ越し作業だったのだ。
その日、結局二件の引っ越しの手伝いをしたのだけど最初の一件目はエレベーターなしのアパート。三階にあるおうちの引っ越し作業で開始して一時間で、私はすでに応募したことを後悔していた…。
はあ…はあ…最初こそは軽快に登っていた階段も段々と一段一段踏みしめるようになり、抱えている段ボールもずっしりと重さを増してくる。
途中から業者さんも気を遣ってくれて軽い荷物を持つように言ってくれてありがたいと同時に(戦力外だよなあ…)と申し訳ない気持ちになってきた。
荷物をすべて運び終え、今度はその荷物をおろすべく次の場所へ向かうことに。
事前に頂いた案内では電車移動が発生する場合があるとあったので迷子体質の私としてはちゃんと指定の場所にたどり着けるだろうか?とドキドキしたが一緒にトラックで移動ということで安心した。
しかし一件目で荷物を運ぶ作業を終え、改めてプロのすごさに驚いた。大型家具の梱包のスピード、荷物を運び入れる順番や必要な資材の的確な指示や準備、適所適所でのお客様への確認などなど…。もちろん「えっ、それ一人で持ってっちゃうの?」という荷物を持つスキルにもびっくりした。
すごい、すごいよ、いや、ほんと私、場違いですみません…。だけど来たからには最後まで私なりに頑張るしかない!
とりあえずそう決めてトラックに乗り込んだ。
次の現場への移動中、都内の景色を眺めつつ引っ越し業者さんの引っ越しあるあるや様々なエピソードを聞いた。↓()内は業者さんのつっこみです(笑)
引っ越し当日なのに、まったく荷造りしていない人。(引っ越す気持ちある?)タワマンの部屋は実はすごく狭いという事実。(まじかー)
とびきりドラマチックだったのは、夫婦で、奥さんが依頼主の引っ越し。
「旦那帰ってくる○時までに済ませて!」
しかし旦那さん早目に帰ってきて、「え、なにこれ?」と驚いているその横で引っ越し作業進めた(気まずい…)エピソード。
いやあ…色々な人がいるなあ。
「引っ越しって…なんか人生感じますね」
と思わずぽつり。
それを聞いた業者さんがこう答えた。
「そうなんですよね。引っ越しってその人の生活見えるんですよね、そこがあるからこの仕事やってます」
うーむ。なるほど。
確かに引っ越しって人となりが見える、ちょっと生活を覗ける部分があるなあ。
そして一件目での仕事を無事に終え、途中休憩を挟み、最後の現場へ。そこではひたすら荷物を乗せた台車をエレベーターを使って往復する作業だった。
マンションだったのだが、たまたまほかの部屋の住人で同じ様に引っ越し作業をされている方がいた。
エレベーターを待っている間、「引っ越しって力仕事よねえ。あなたも大変だけど頑張ってね」と声を掛けていただいた。心がじんわりと温かくなった。
最初の現場でも私がエントランス前のちょっと坂になっている場所で荷物を乗せた台車を運ぶのに四苦八苦してたら手伝っていただいたりして、最後は「お世話になりました、ありがとうございました」と言葉までもらった。
最初は応募したこと、かなり後悔したところからスタートしたけれど業者さんから面白い話を聞けたり、色々なかたの優しさに触れた。
最終的にはやって良かったな…。人々で賑わう夜の街を眺めながら駅へと向かうなか、私はそう感じた。
しかし翌日、腕や足などの筋肉痛に悶えながら強く思った。「良かったけれどやはりもう引っ越しアシスタントはやめよう…」
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
真夜中のカフェでした。