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3 七側県の特殊な事情 ~政令指定都市と県の関係~ ②”ひも”という立場

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飽きたと思いますが、これはフィクションです。

(2) 七側県の限りなく”ひも”に近い立場
①”ひも”という立場の確認
 七側県も政令指定都市をいくつか抱えています。「(1) 都道府県と政令指定都市をめぐる課題」で述べたように、七側県が政令指定都市域で行っている事務は、一部を除き、ほとんどありません。
 しかしながら、七側県の主要な財源である税収の過半を政令指定都市域の企業等に頼っています。
 つまり、七側県は、金のあがりは、ほとんどが政令指定都市。だけど、その金を政令指定都市に還元しておらず、七側県内の他の市町村に投下しているという構図になります。
 金をもらって、使うだけ使っている、つまり、”ひも”のような存在です。

②パトロンの御無体な意見
 しかしながら、もっと歪な構造にしているのは、議会の存在です。これは、いいとか悪いとか、価値判断の話ではなく、実態としてそうなっているということですので、勘違いはしないでほしいです。私はこれについて、価値判断をしている訳ではありません。
 七側県の県議会の定数を、70人としましょう。
 そのうち、50人が政令指定都市から選出された方々です。議員の定数は主に人口比で決定しますので、人口が多い政令指定都市のほうが、結果として、議員の定数が多くなるのです。
 そもそも、議会は、その地方公共団体の条例や予算を審議して議決する唯一の機関で、大変重要な役割をになっているのですが、七側県の議会の構成員のうち約7割強の方々は、都道府県がほとんど仕事をしていない地域から選出された方々です。
 しかし、七側県は、これらの方々が選出された地域からの税収に頼って、食いつないでいます。つまり、これらの方々は、パトロン、スポンサー代表ということになります。
 当然、スポンサー代表ですので、その税金が自分たちのために使われるものでなくても、あるいは、自分たちのために使われないからこそ、有効に使って欲しいという思いは強くなると思います。このため、地方創生、保健衛生、福祉、観光振興、なんでも良いのですが、スポンサーサイドが考える最適な施策を打つようにという働きかけをします。
 しかし、冷静に考えると、彼らが選出された地域では、七側県はほとんど仕事をしていないのです。つまり、七側県が施策を展開する地域の住民の方々が、本当に彼らが考える最適な施策を欲しているのか、あるいは、もっというと、サービスを提供する地域の実情を的確に反映した施策になっているのかは、わからないということになります。サービスの客体ではない方々が、もっとこうした方がいいなどと言っても、一般的には、説得力は生まれないと思われます。
 こうした制度的なギャップを乗り越えようと、様々な取り組みがなされています。しかし、このギャップを十分に埋めるほどにはなっていないのではないでしょうか。
 七側県でも、議会でギリギリ質問攻めにあうことがありますが、この質問をしている方々の大半が、そのサービスを受けるわけではないとなると、本当にこんなことでいいのかと疑問に思います。
 七側県は、”ひも”ですので、パトロン、スポンサーの意見を聞かなければなりません。極端な例を言えば、こうした状況では、サービスの客体ではない方々の議論を反映した結果、サービスの客体である人たちが、全く望まない施策を打つことになるということも、理論上は、ありえます。
 つまり、地域の人たちのために尽くしたいって思って一生懸命仕事をしても、システム上、必ずしもそのようなことにならない可能性があるということです。

 昔、「政令指定都市は鵼のようなものだ」ということをおっしゃった、どこぞの知事がいらっしゃいました。その方の真意は計りかねるのですが、”ひも”だよねといったことも含めて、地方自治制度の歪な構造を念頭に置いていらっしゃったのではと思います。
 
 次は、七側県では、「なんとなく、知的なレベル感が違うよね」という違和感を覚えることが日常茶飯事ですが、その原因を探って行きたいと思います。「行進」より上の学歴の方、地方公務員になるには、より一層、覚悟がいりますから、心して読んでください。

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