横溝正史『怪盗X・Y・Z』を読んで※ネタバレ注意

こんにちは。応援している広島カープは9月に大失速。昨日は読売巨人軍に優勝されてしまいました…。なかなか元気が出ない時は、読書もいいですよね。

横溝正史のジュブナイル、今回は『怪盗X・Y・Z』の感想などを投稿します。ネタバレを盛大に含みますので、ご注意ください。(以降、面倒なので「XYZ」と書きます。)

今回は、ほかのジュブナイル作品とは大きく異なる点がいくつかありました。

1.怪盗XYZは悪者ではない
『怪獣男爵』『まぼろしの怪人』『蝋面博士』など、犯人のあだ名がそのまま作品のタイトルになっていることも多いため、今回も「怪盗XYZ」が窃盗や殺人などを起こすのかと思いましたが、違いました。怪盗XYZは確かに窃盗などもしていますが、この作品の中では、殺人事件などを解決する探偵的な役割を果たしています。

2.3章あるがすべて別の話
この作品は3章からなりますが、すべて別の話であり、どの章から読んでもいいと思います。しかし、どの章でも、怪盗XYZが事件を解決するストーリーになっています。そのため、この作品は短編集ではありません。

以上の2点が、今までにないスタイルで新鮮だと思いました。

おもな登場人物は、いつも通り御子柴くん、三津木さん、等々力警部です。しかし、この作品では、御子柴くんにお姉さんがいる設定になっており、お姉さんとアパートで二人暮らしをしているようです。別の作品では、御子柴くんは一人っ子の設定だった気がしますが、細かいことを気にするのはやめます。また、この作品には挿し絵があります。

先ほど、「3章からなる」とお伝えしましたが、それぞれの章を簡単に振り返ってみたいと思います。

第１章
犯人は怪盗XYZかと思いきや、少し意外な結末。下手したら国際問題になりかねない事件。

第２章
個人的に一番好きな章。御子柴くんが野球観戦の帰りに、怖いお兄さんと上品なお姉さんに絡まれてしまう。10円玉にこれほどの価値があるとは想像できなかった…。

第３章
一番複雑な話。簡単に整理すると、
早苗が叔父の遺体を発見する→加納に電話をする→加納が早苗のもとにかけつける→加納は早苗に「犯人はおじいさんではないから安心して。これから僕の言う通りに演技して。」と言う(あくまで私の想像)
という流れではないでしょうか？早苗と加納は口裏を合わせていたようなので、早苗の証言(12時前に音楽会から帰ってきて…)というのは嘘だったことになります。また、これも私の想像ですが、加納は早苗の祖父とも口裏を合わせていたのではないでしょうか。これらは「犯人は怪盗XYZだ」と思わせるための、加納の思いつきですね。警察が手がかりを掴めない間に、加納は真犯人を突き止めていたようです。すごい…。

3章の考察が長くなってしまいましたが、3章まで読んで始めて「怪盗XYZの正体は、もしや…？」と思わせるような展開になっています。さて、怪盗XYZとは誰なのでしょうか？皆さんはどう思われますか？最後までお読みいただき、ありがとうございました！