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横溝正史『姿なき怪人』を読んで※ネタバレ注意

こんにちは。横溝ジュブナイル、今回は『姿なき怪人』を読みましたので、感想などを記載します。ネタバレを盛大に含みますので、ご注意ください。

『姿なき怪人』は200ページ以上の長編であり、次々に事件が起きます。無理な展開はあまりなく、「ついて行けない」という心配はないと思います。今回も御子柴くん、三津木さん、等々力警部が登場します。また、そのほかに『あかずの間』という15ページほどの短編が載っています。こちらの短編についても、少し触れたいと思います。

『姿なき怪人』というのは、「犯人の正体がまったく掴めない」というような意味かと思いましたが、そういうことではありませんでした。

犯人について
途中までは「木塚陽介」という男が犯人であるかのように思えますが、辺見氏という探偵が殺害された辺りから、ある人物が怪しく思えてきます。横溝ジュブナイルでは、「捜査に協力していた人(事件の被害者だと思える人)が実は犯人だった」というパターンがときどき出てきますが、今回もそれに該当します。それにしても、この犯人は本当に狡猾な奴で、アリバイ作りも自作自演も得意です。なので私は、途中まで全く怪しいと思いませんでした。そして、犯人は、自分にとって少しでも不都合なことがある人はすべて抹殺しようとする、恐ろしい奴でした。
とはいえ、木塚陽介も何か悪いことを企んでいたと思います。早苗さんのアパートに侵入して三津木さんたちと鉢合わせしたときも、何か企んでいたのだと思います。でも、本当の犯人に先を越されてしまったのでしょう。

太田垣氏の家の謎
この謎が解けた方は多いかもしれません。「エレベーター仕掛け」は横溝ジュブナイルでもよく出てくるパターンですよね。部屋がまるごと変わってしまうのであれば、「さっきあったはずのものがない」となるも当然です。私も、エレベーター仕掛けか、もしくはほとんど同じ家が2軒あるかのどちらかだと推測しました。
それにしても、荒木婦人はなぜ押し入れの中に隠れていたのでしょうか?「今日の8時までに指輪が届く予定なので、私の家に来てほしい」と太田垣氏に言われたのでしょうか?それで応接室で待っている間に太田垣氏のところに犯人がやってきて、何やらものすごい言い争いや喧嘩が起き、怖くなったので押し入れに隠れた。というようなことでしょうか?記載がないので、あくまで想像です。また、御子柴くんが「女性が家から出て来て逃げて行った」ということを言わなければ、荒木婦人は狙われなかったかもしれませんね。ダイヤさえ手に入ればよかったのであれば。

短編『あかずの間』
小学生の女の子が主人公の、少しゾッとするお話ですが、最後はハッピーエンドです。横溝ジュブナイルの短編は、殺人事件が起きるものだけでなく、怪談っぽいお話や、怖いというより少し不思議なお話も多い印象です。

今ではなかなか入手しにくい『姿なき怪人』ですが、手に取る機会がある方は、ぜひお読みください。最後までありがとうございました!


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