にこちゃん

文化や社会について、何となく考えていることを思うままに書いています。 フラ・アンジェリコの配色や小説「細雪」の船場言葉が好きです。

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最近の記事

さすらい(奥田民生)と船越英一郎と徴候と

YoutubeのTHE FIRST TAKEで奥田民生の「さすらい」を聞きました。 テレビ番組でも良く流れていて、割と耳にすることが多いこの曲を、ちゃんと聞いたのは久しぶりかもしれません。今更ながら、その歌詞の爽やかな深みに驚かされてしまいました。 自然が発するサインを受け取ること。その「やって来た」サインに心と身体を委ねてみること。それを「さすらい」というのでしょうか。 歌詞では終列車に「一人飛び乗った」のですが、「さすらう」ことは必ずしも身体の移動が伴う「旅」のことだ

    • ウクライナ国立バレエ、続くカーテンコール

      ウクライナ国立バレエの「ドン・キホーテ」に行ってきました。 神奈川県民ホール、12月17日、曇天の下、そこには紛れもなく奇跡的な時間が流れていたように思います。 特に第三幕の回転や跳躍といった超絶技巧は息を飲む他ないものでした。 終了直後、オケの演奏者数人が、隣の演奏者の膝を手のひらでポンポンと優しく叩き合っていました。 幕間にバレエ少女らしき子は、身体が勝手に動いてしまっているかのように休憩用のロビーで踊っていました。 母親達(かつてバレエ少女だった面影のある)は、側にい

      • スナックキズツキ(第4話)と社会階層と絶望と

        ドラマ、スナックキズツキ(第4話)(原作・益田ミリ)を見ていたところ、社会の階層とは何か?ということをぼんやりと考えてしまいました。 どうやら、階層を見分けるリトマス紙は存在するようです。それは ・知らないことを知らないと言えるか ・お金が無い時に、お金が無いと言えるか 誘われて行ったバーベキューで、参加者達がワインの「シャトー・マルゴー」で盛り上がっていた。すると、それを横目に初対面のお金持ちの女子が、自分はシャトー・マルゴーを知らない。知ってる?と聞いてきた。彼は「

        • 「文にあたる」と言葉の多様性

          「文にあたる」という牟田都子さんの本が新聞やWEBで紹介されており、校正とは何か?を知るために、早速読んでみました。 内容は校正者の仕事についてのエッセイなのですが、単なる校正・校閲の奥深さだけではなく、仕事を通じて得られた柔らかな人生訓のようなものが散りばめられていて、印象深い本でした。 著者が校正者として駆け出しの頃、「間違いでは」という言葉を「拾えた」と思っていた鉛筆(指摘のコメント)を見た師匠が「全部引いた?」と言ったようです。そこで校閲部の書架にある三十種類近く

          aiko カブトムシ/和の感性

          先日、サントリー美術館の「歌枕 あなたの知らない心の風景」[6/29~8/28] 展に行ってきました。 そこには歌人の間で共有される心の風景が、和歌を中心に美術や工芸品に投影されていて、日本の美を体感することができました。 そして何やらaikoのヒット曲「カブトムシ」と通底する世界観のようなものがあることに気づきました。 そういえば昔のインタビュー記事で、文学的背景について問われたaikoは、本よりも漫画の影響が大きい、と答えていた事がありました。 なるほど日本漫画の文学

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          aiko 花火 / その時代性について

          本来は綾戸智恵が歌うブルージーな拍子と旋律を、オーバーオールのじゃりン子チエらしき少女(?)が跳ねまわるように歌っていた。 1999年、ミュージックステーションだったか、スペースシャワーTVだったか記憶は定かでない。衝撃だった。動物的なまでに躍動するリズム。メランコリックに揺らぐメロディー。個人的に大好きな曲なのは間違いない。 でも何故、この風変わりな曲がリリース後20年以上を経ても根強い人気を誇るのか?  曲の普遍性を別として、その歌詞と時代性との関連から考えてみたい。

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