ポケット大増殖/毎週ショートショートnote
あるところにそれは大層片付けの苦手な魔法使いが居た。
年中、書類やらインクやら薬草やらよくわからない材料なんかにまみれていた。そしてそれは年々、量を増やしていっていたのである。
本人は工房から出ることがないため問題はないと感じていたが、事態を重く見たのは工房を貸している学園側であった。
そしてついに一ヶ月以内に片付けができなければ工房を追い出すという勧告が出され、工房が惜しかった魔法使いはやっと重い腰を上げたのだった。
しかしながら片付けという概念が欠如していた魔法使いはそのやり方がわからなかった。
魔法使いは考えた挙げ句、いっぱい仕舞える場所があればいいと考えたのです。
そして一ヶ月後、魔法使いの工房はすっかりときれいになっていました。
喜んだ学園の関係者はどうやったのか尋ねました。
魔法使いは転移魔法の応用で、空間にポケットをそこら中に作り、そこに仕舞ったと説明しました。
空中を指差す魔法使いに皆は首を傾げます。
どうやって取り出すのだと尋ねられた魔法使いは、空中にポケットのフタを出して見せ、これが無数にあるのだと説明しました。
これに皆は驚き、すごい魔法だ!これで仕事が進むと喜んでいました。
しかし魔法使いはゆっくりと皆を見渡してから言うのです。
どこに何が入っているかはわかりません、と。
↑こちらの企画に参加させていただきました。
初めての投稿になります。
もし、やり方が間違っていたり、参加の仕方が違っていましたら、教えていただけると助かります。